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航跡 ヴァナヘイム国興亡記  作者: 秋山 文里
第4章 若き総司令

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【4-5】産を殖やし業を興す 上

【第4章 登場人物】

https://ncode.syosetu.com/n8102if/32/

挿絵(By みてみん)



 キアン=ラヴァーダ。


 彼は、帝国宰相を3代輩出した名門・ラヴァーダ家の末裔まつえいである。


 そして、帝室第八皇子・フォラ=カーヴァルの幼馴染でもあった。


 帝国から亡命し、流浪の身となった皇子を支え、戦場に臨むこと50余度、彼は常に勝利をもたらしてきた。


 ブレギア建国の最大の功労者であるといえよう。


 皇子とともに帝国本土を逃れ、大海アロードを渡り切り、東のイーストコノート大陸を北東に進むこと2,000キロ、ヘールタラ――土地の言葉どおり、「茫漠ぼうばくたる草原」が広がっていた。


 この地に根を下ろすと、ラヴァーダは国名を「ブレギア」と改めた。



 帝国からの若き亡命者が、まず力を注いだのは、この土地特有の良馬の増産であった。


 ブレギアには、古より帝国皇族の御牧みまきが各所に置かれるほど、名馬の産地として知られている。


 しかし、それらはどれも家族業の域を超えていなかった。国内に点在する牧場は、畜産に従事する一族が各個に経営しており、横のつながりは一切なかったのである。


 牧場ごとに、馬匹の生産にしのぎを削りあってきたが、名馬の定義は少なからず世相の影響を受けてきた。


 大陸に戦火の空気が渦巻くと、より速く、より遠くまで駆け抜ける頑健さが求められた。


 大陸が束の間の安息を得ると、毛並み、色つや、その体躯の美しさを競い合った。


 ラヴァーダは、そうした馬事畜産業へ積極的に投資し、その見返りに各牧場の良馬飼育に関する技術・情報・経験を次々と得ていった。


 すると驚いたことに、彼はそれらノウハウを他の牧場に惜し気もなく公開してしまったのである。


 牧場秘伝の手法を開示することに、抵抗する声も少なくなかったが、「ブレギア新政府」の精力的な資金協力は、各牧場の経営を安定させていった。


 そして安定した経営は、積極的な事業拡大につながり、国内全体の経済を活気づかせていった。


 こうした取り組みによる効果は絶大であった。わずか数年の間に、ブレギア全土での馬の産量は、それまでの5倍にまで飛躍したのである。量だけでなく、質についても向上したことは言うまでもない。



 この新興国家で生まれる名馬を各国はこぞって買い求めた。


 かつては、帝室や一部の高級貴族しか手が出せなかった「ヘールタラ産」の名馬が、手の届く価格で市場に出回り始めたからである。


 それでも、「ブレギア産」の馬匹は、他産のものよりも3割から5割以上も上乗せされた価格で取引されていく。草原しかなかったこの国に、外貨が次々と舞い込んでいった。



 ラヴァーダは、馬商いによって得た外貨をもとに、産をやし、業をおこしていく。


 道水路を整え、灌漑かんがい設備を充実させ、発電送電網を拡充させる。


 同時に、諸外国から専門家を招き、小麦から小銃まで自給自足に舵を切り、医術から教育制度の整備も忘れなかった。


 食糧・医療事情の充足は、ブレギアの民の寿命を延ばし、その数を増やした。


 ラヴァーダの内政により、国内にヒトとモノ、そしてカネが満ちるようになった。


 あふれたヒト・モノ・カネにより、集落が村へ、村が町へ、町が街へ、街が都市へ発展していく。


 草原の国は、わずか10数年で見違えほどに成長した。



【作者からのお願い】

この先も「航跡」は続いていきます。


草原の国の発展に興味を持たれた方、

キアン=ラヴァーダという人物に興味を持たれた方、


是非、ブックマークや評価をお願い致します。


このページの下側にある「ブックマークに追加」や「いいね」ボタン、【☆☆☆☆☆】をタップいただけましたら幸いです。




【予 告】

次回、「産を殖やし業を興す 下」お楽しみに。


草原の国の「貴婦人」、おそらく航跡シミュレーションゲームのなかでは、「知力」・「政治」・「魅力」とも、その能力値はトップクラスなんだと思います。


それでいて容姿端麗とか……天は二物を与えましたな( ̄▽ ̄)

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