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私はあんなやり方でメイクが完成するはずがない……と思ってたんだけど……そこはカサノヴァの奴の技術なんだろう。まるで魔法少女が変身するかのようにポンッ! ――となってピンクや紫……そんな煙が立ち上る。そしてそれが晴れると……あら不思議、なんとメイクができてるではありませんか!
「便利だね」
そもそもあのメイクの原料っていったい? カサノヴァは神だからね。別に原料が必要ではないだろう。だって神の体はエネルギー体だからだ。エネルギーを変質すること、それかメイクをした風な顔にすればいい。でもそれは始祖の龍には使えない。さすがに始祖の龍の外見を勝手に変質させる……なんてできないだろうからね。
だからあのメイクするための材料ってやつが必要になる。巨大な始祖の龍に使うベースの液とかさ、キラキラしてるチークだって始祖の龍はでっかいんだから、その材料は途方にもなる。まあきっとカサノヴァのエネルギーを変換しメイク道具の材料にしてるんだと思うけど。
今度は始祖の龍の頭にまるでクジャクの開いた時の派手な……あれだよあれ。派手な羽がつけられた。おいっておもった。遊んでる? カサノヴァの奴、始祖の龍で遊んでる? そう思ってしまう私はおかしくないはずだ。あれをその場で見てたらそう思うだろう。
けど、どうやら現場は違うみたいだ。
「ヒメエエエエエエ!! お願いします!!」
「ヒメエエエエエエ!」
「ヒメエエエエエエ!!」
なんかやばい場所になってる? まるでアイドルのライブ会場かな? てかカサノヴァの奴、自分のこと姫って呼ばせてるの? 私があったときはそんな風な呼び名じゃなかったとおもうけど? プライベートな時はその呼び方なのかもしれない。でもさすがに他者の前では体裁を保ってる……ということなんだろう。
よかった、少しの常識をカサノヴァの奴が持ち合わせてて。私の前であんな呼び方されてたら「ブフォー!?」――と噴き出したのは間違いない。だって姫……姫って……それならもう少し「姫」にふさわしい見た目にすればいいのに。だって今のカサノヴァの見た目は姫というよりも「女王様」のほうがあってる。
それかスナックとかの「ママ」? って感じ。まあそれはイメージでしかないが……けど少なくとも姫ではないよ。姫ってなんか十代とか高くても20台前半くらいの小娘的なイメージがあるじゃん? それなのにカサノヴァには小娘なイメージ全くないからね。だってどうみてもカサノヴァは妙齢といっていい見た目だ。
見る人が見たら「おばさん」……と呼ばれそうな……そんな見た目だね。私? 私は完全にお嬢さんって呼ばれる。まあけど神の見た目は自由自在。だからカサノヴァはあの見た目が一番自分が美しく見える見た目だと思ってるに違いない。だからあれでもカサノヴァにとっては姫なんだ。
そこは……うん、認めてあげよう。価値観は人も神もそれぞれだよね。




