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「これが……ふふふ、これで私は……」
宇宙の種を得たカサノヴァはそれはそれは嬉しそうだ。まあ、まさに悪者の顔ってやつをしてる。そこは一応さ、一応美しくはあるんだからもっとこう? かわいらしく……はやっぱりカサノヴァにはあってないと思うから却下だけど、もっとこうあるじゃん? 上品というか? 気品というか? それこそ妙齢の女性から漂う色香? みたいなのを漂わせるように微笑むとかにしてればまだいいのに……完全にその含み笑いの顔は悪役なんよ。
でも……ここからだね。
私はとりあえずその他大勢……の神に混ざって遠巻きにカサノヴァ陣営の様子をうかがってる体である。後方腕組みおじさんと化してるといっていい。そんな私にククール神の視線が一瞬きた。それを次の段階に言っていいか? という合図だろう。私は腕を組んでる指を開放して二本伸ばしてVサインを送る。
それによってククール神は次の段階に移った。それと同時に私は頑張ってるであろうヴァラヴァレレイドたちに「もうちょっとで援軍が行くからね」――と伝えておいた。もちろん、その援軍ってやつはカサノヴァたちだ。だってさ、ただで利益なんて求めないよね? 等価交換は世界の必然だよ?
「それで、これはどうやって使うの? 早速私の宇宙を作りたいわ」
それはそういうよね。だってすでに始祖の龍は復活を遂げたのだ。一刻の猶予もない。今にでもここに始祖の龍が追突してこないとも限らないのだ。そうなったら勝ち目なんてないってここにいる誰もが思ってる。せっかくこれだけ神も龍もいるのにね。それでも勝てる……なんて思ってる神も龍もいない。
いやせめてなんとかしようとかさ……「戦ってやる!」とか思ってないのかね? ただ食われるよりはもちょっとはいいと思うんだけど? まあそれはいいよ。だってこいつらは戦うしかないんだからね。
「それは……」
「なに? はっきり言いなさい」
もごっとするククール神に対して、すでに敬意も何もなくなってるカサノヴァ。もう自分の部下だもんね。一応自分の陣営にいない尊敬を集める神……だったからそれなりの態度をとってたわけだけど、すでに自分の中に取り込んだら、その力を搾りかすになるまで吸い尽くしてやろうって魂胆なのだろう。
もっと部下は大切にした方がいいと思うけどね。まあそこは方針の違いだけど。でもそんなカサノヴァについていってる奴らだからね。
「はっきりいえ!」「カサノヴァ様に失礼だぞ!」
――とかククール神に野次を飛ばしてる。うん、あいつら全員似たもの同士だね。




