5:無自覚とは罪
次々とゴールする生徒達の間を縫って歩いた先には、まるで花の絨毯のように、あたり一面に小さな美しい花が咲き誇っていた。
「わ、キレー!ここ、小さい頃に2人でよく遊んでた場所に似てない!?」
嬉しくなってつい駆け回っていると、隠れていた木の根っこにつまずく
「わっ、と……ありがと」
はしゃいだ自分が急に恥ずかしくなって頬を赤らめ、抱き止めてくれたレオに小さくお礼を言う
「ふっ、そんな可愛い反応してくれるのは随分と久しぶりだね。」
「そ…んな事はないけど…」
少し寂しげに笑ったレオに気まずさを覚え、目を逸らし木の根元にそっと座る
「レオのグループが1位だったね、みんなでちゃんと協力したの?」
「僕が全部解いてあとはずっと後ろをついてただけ」
「グループの女の子達みんな可愛かったし、レオと同じグループで喜んでたでしょ?明日もまだあるんだからもっと愛想良くしなよ」
「別にリリー以外はどうでもいいからね。」
「またそんな事言って…応接室の鍵も貰ったんでしょ?みんなで1年間仲良く使わないと!」
「はっ、何それ、他の女と仲良く使えって?」
突然、雰囲気が変わった事にたじろぐと
レオは、私の手を取りその手に唇を寄せそのまま私の目をじっと見つめた
「リリー達も鍵を貰ったんでしょ?」
絶対に他の男と使わないでね、と言う。
レオの目がいつもより暗く、そして怖いほどに美しくて目を逸らせずにいた。
ハッと我に返り手を振り解く
「同じグループの子達が頑張ってくれたのよ、仲良くなれたしみんなで試験勉強に使う事だってあるでしょ?そんな約束できないわ」
「……リリー、君と他のみんなとは違うんだよ。いつになったら分かるの?」
「な、にが違うの」
「リリーは僕のものなんだよ。いつになったら自覚するの?自由に恋をするだのくだらない事を、いつまで言ってるつもり?」
「な、何なの!いきなり!私はあなたのものじゃない!くだらないなんてあなたに言われたくない!」
バカにされたようで頭に血がのぼり声を荒げている私を静観するレオにますます怒りが沸く
「あなただって、本当に私を好きな訳じゃないでしょ!?お父様に決められた婚約者よ!そうやって家の言いなりになって私を好きな振りを………っ!」
言い過ぎた、と思った時にはもう遅くて
頭を抱き寄せられ、噛み付くようなキスをされていた
「ん… やめ、」
何度も何度も角度を変えてされるそれに
息苦しくなりレオの胸をたたくと、やっと唇が離れる
息苦しさで涙目になりながらキッと睨みつけると
レオは顔色ひとつ変えずこちらを見ていた
「君がどんなに悪態をつこうが構わない。そんな事はどうだっていい。リリー、本当に分かってないようだから言うよ。君が君である限り僕は君を愛し続けるよ。君が泣こうが喚こうが他の男に縋ろうが、君は僕のものだ」
今度僕の気持ちを否定して逃げようとするなら、どんな手を使ってでも君から全てを取り上げるからね
だから、「いい子にするんだよリリー」
私の髪を一房とりキスをすると、レオはその場から立ち去った。
「な、んなの。」
一連の出来事に頭が追いつかずそのまま座り込んでいると、遠くの方でセシルが私を呼ぶ声が聞こえた。




