↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
pieces of a puzzle comimg together  作者: AKIRA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/31

第二十三話 神無月家の双子という呪い

 志野は、置かれたままの古い衣装箱を見つめ、静かに語りだした。


「……浜崎はん、神無月の家門にはな、古くから忌み嫌われとる『習性』があるんや。神仏を奉るこの家に置いて、双子の誕生は『魂が分かたれた不吉』とされてきたんや」


志野の言葉は、冷たい夜風のように広間に染み渡る。


「双子が生まれたら、一人は『本物』として残し、もう一人は『予備』として影に隠すか、さもなくば存在ごと消し去る……それが神無月の血を穢さぬための残酷な不分律やった。うちの親……先代当主も、その習わしに忠実やったわ。うちに双子の姉がおったことは、一門の系譜からは完全に消されとる」


志野は震える指先で、自身の黒紋付きの袖を握りしめた。


「うちの姉さんは産まれてすぐ遠い親戚に養女に出され、うちは『本物』として、個性を殺して育てられた……でもな、本当は分かっとったんや。姉さんが病弱で、私が残されただけやったという事を。……うちらは人間やのうて、『予備がある道具』としてしか扱われてこんかったんや」


志野は続ける。


「菊人と綾の母親……うちの娘も、その呪いに取り憑かれよった。病弱な綾を諦めきれんと菊人を綾に仕立てた……愛することもせんとな。……結局、誰もこの家門の因習から逃れられなんだんやなぁ……」


志野はそれからゆっくりと立ち上がった。


「ちょっと待っとり。……契約書持って来るわ」

「……は?」

「あんたの覚悟、見せてもろうたからな」


そういって、志野が持ってきたのは二通の書類だった。

一通は「マンションの賃貸契約書」。神無月が借り上げているマンションだ。

そしてもう一通は「神無月 綾の後見人及び管理責任者の契約書」だった。


そしてマンションの鍵を机に並べた。


「これ……」


剛が低く問いかけると、志野は扇子を閉じ、その先端で書類を指し示した。


「あんたが覚悟を決めた……その契約書や。今日から、あんたが菊人の管理人になる」

「……でも、マンション……って……」

「あんた……あの神無月 綾をあの『犬小屋』から仕事に出すんか?それはあかんで」

「……犬小屋……」


剛の借りていた安アパートを「犬小屋」とバッサリやられたのだ。


「……なあ、婆さん、いや……志野さん、正気か?……得体の知れないこの俺に大事な孫を預けるってのか?こいつは神無月の至宝……なんだろ?あんたたちにとっちゃ、代わりのきかないお人だろ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。