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魔眼転生~第六王子の最強で最恐の力は最悪だった~それは死神を呼ぶ呪いの眼  作者: あんちゃん
第一章:王国崩壊と死神の目覚め

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第7話 熱いベーゼ

◆◆◆第7話 熱いベーゼ◆◆◆



 ここは狭いけど、快適で良い。

離宮と呼ばれる高い尖塔に幽閉?隔離?軟禁?

とにかく、閉じ込められている俺たちは、日に三度の飯と、1日1回の身体を拭くお湯、そして週に一回の水と火の魔石を与えられ、下の階にあった小さいバスタブのような物に入り日がな一日を過ごした。


お陰で前世から好きだった色んな本を母に呼んでもらい退屈する事は無かった。


 だが、ハイハイするようになり、筋肉が付いてくると、立ち上がってあちこち歩き回るようになった。


「キャァ立った立った」


「だぁ だぁ」


まだ声帯が完全ではないのか、ハッキリものが言えない。

だが、それでも我が子の成長は母は嬉しいようだ。


 暑い夏を風の魔法でやり過ごし、寒くなる秋を通り過ぎると、冬に備えて階下にある暖炉にあの男が薪を運び始めた。



「今日もご苦労様」


「いえ、マクダレーナ様とレオナルト殿下の為ですから。それとこちらに異常はなかったですか?アルブレヒト殿下の悲劇から城内は静かに時が流れています」


「こっちはレオと二人っきりだから。でも、何ごともないのは良い事だわ」



そもそも、こんな高いところに、この兄ちゃん以外は寄り付かないし、窓からの出入りも事実上不可能だからな。外で何が起こっているかは何となく話の内容から分かるが……



そうそう、お風呂に入った時に、全身を移せる鏡があり、そこに抱っこされてて写った自分を初めて見た。


誰が見ても母に似ており、俺の金髪と青い目が俺を抱っこしている母と同じであり、その大きな目と高く通った鼻筋、そして小ぶりな口はなんとなく母親にそっくりだった。


そして何となく歳を取っているような気がしていたが、俺は9番目の子供であり、6男だと言うのが分かった。それも父親はこの国の王だ!


財力があり、母譲りの美形。そしてまだ風しか母には見せていないが、他にも使える魔法があった。


これはチートだ。勇者だ。無敵な俺TUEEEE伝説の始まりなんだと思ったが、青い目の反対側にある左目が、燃えるように赤かった。


そしてある日ポツリと母が言った。



『レオちゃんの魔眼はずっと休ませておきなさいね。そして強くなるのよ。誰が来ても負けないくらいに』



そのマガンと言うのが魔の眼だと言う事にやっと気が付いた瞬間だった。


何か身体の中に黒い力が蠢いているとは感じていたが、それが魔眼の元だとは。

まだ大した事は出来ないが、いずれこいつは嫌でも大きくなっていく。そんな事がなんとなく分かっていた。


他にも『呪い』や『不幸』、『厄災』など、へこみそうな単語が並んでいく。

やっと虐められる立場から脱する事が出来たのに、虐められそうなワードがずらりだ。

こうなりゃ引きこもりだ。俺はこの国一番の引きこもりになるぞ!



そう思った時もあったなぁ。

だが、この国と言うか、この世界にはゲームと言う概念がなかった。テレビも漫画も、サイコロだって無いに違いない。


本は本でそれなりに楽しいが、万全な身体が出来上がっていくにつれ、身体の限界を試したくなってくるんだ。


俺はマミーに頼んで、1階にある少し広めな場所へと連れてきてもらった。


 ここで俺はこの塔の全容を掴む事が出来た。

実質二階建てなのだが、その一・二階は遥か上空に位置していた。

外からせっせと食事を運んでくる兄ちゃんは、通常で言う三階辺りに位置する外階段のドアから入って来て、更に上まで内階段で上がってくるのだ。

 一階は、広い部屋か物置小屋だと思っていたが、この実質一階に位置する部屋は、草などを置く貯蔵庫だったらしい。馬の餌の貯蔵庫だ。まあ、サイロだと思えばいいだろうか、たまに何かトウモロコシに似た粒々を発見できる。地面は土のままで、少し乾いた感じが絶好の遊び場に変わった。


「でっでっでっでっでっでっ――」


やべえ、体内にある魔力を隅々まで循環させると、身体機能が高まり、小学生低学年程度には走れた。


「レオくん、あんまり頑張ったら疲れるわよー」


「はーい!」


ここは円形の競技場だ。

ここのブロック壁を壁走り出来るようになるのを第一の目標としよう。


それまではここをグルグルグルグルグールグルと回る。

たまにズザザーと意味も無いスライディング。


「レオくんカッコイイわよ!」


喉が乾いたら親指から魔法の水を出し、指を咥えながら水分補給する。

こうすれば、流石のマミーも指を咥えているだけに見えるはず。

これで俺は隠れながらに強大な魔王に対抗できる存在になるんだ!





「いたたたた」


筋肉痛になった。



「頑張り過ぎなんだって。今日はレオくんの好きな冒険書を読んであげるから、大人しくしておきなさい。昔、昔、東の山にドラゴンが住み着いていました。ドラゴンは……」



コンコン



「あら、エーリヒかしら、どうぞ」



その日は寒い冬は通り過ぎ、ぽかぽかと温かい春の日だった。


ドアを開けた若い兄ちゃんが悲壮感漂う顔で直ぐに言い出した。



「また殿下がやられました。奴らがまた動き出したんですよ!」


母であるマクダレーナは持っていた本を落とし、そのまま固まっていたんだ。



「誰……誰なの?」


「第三王子であるオットー殿下です。冬に入る前から風邪を引いたような感じだったのですが、冬になると部屋に閉じこもりっきりになり、今朝、食事を持って行ったメイドが冷たくなった殿下を発見したそうです。死因は枕元にあった薬、禁止されている麻薬を使ったようです」


「ああ!オットー……」


危ない危ない、引きこもりになると殺されるところだった。



「単純な病気だと思われていたのですが、残念です。しかし、御禁制の麻薬をどこから手に入れたのか。それだけが分かりません」



さて、兄のオットーですか。さあ、どんな男かも知らないですねー

残念だが、兄と言われてもほぼ他人だな。



「初めは特定のメイドが夜のお世話をしていたらしいのですが、故郷へ帰ると言って冬前にはメイドを辞めています。怪しいと言えば怪しいので、その村に照会させるべく冒険者ギルドへ手紙を書きました。ですが、本当に居るかどうかは怪しいものです」


まあ、ありがちなパターンだね。

戸籍謄本などないから、仲間さえいればどうとでもなるわな。

って事は、城内にはその手の者が蔓延っていると言う判断になるぞ。



「王は遂に女性殿下を公爵閣下の所へ避難する案を出しました。ですが、マリア様だけが……」


その時だった。

突然バーン!と言う鉄の扉が壁を叩く音が聞こえた。

そして次の言葉は『ひえー、ここも高-い』である。


姫様、姫様ここは出入り禁止でございますとしきりに声が聞こえる。


「余はなんぞ。王女であろうが!」


聞こえはいいが、その声はどう聴いてもまだ子供であった。

やけに声が近づくまで時間が掛かる。そしてドアをノックする音が聞こえた。



「お入りマリア」


ギギギと立て付けの悪いドアをエーリヒが開けてやると、そこには天使がいた!


金髪のクルクルロン毛に、大きな青い目のマミーを押さなくしてもっと可愛くした感じの人形みたいなカワイ子ちゃんがそこに立っていた。


たららららと小走りに走り椅子に座っていたマミーに飛びつく!



「母さま!」


その豊満な胸に顔をつっこみ、グリグリと押し付ける。久しぶりの御対面に「母さま」しか言わなかった。感動の瞬間だった。


だが、芯が強いのか、ムクッと顔を上げると、にまぁと笑みを漏らしながら俺が寝かされているお昼寝用の簡易ベッドに焦点を定める。



「キャー―――!カワイイ!!」


ズダダダダと激しく走りながら俺のベッドに飛び乗ると、そのまま両膝と両手で俺を囲うように跨る。


「あなたがレオくんね!」


「う、うん、おねえた――」



ぶちゅー じゅぱ じゅぱ ぶちゅ ぶちゅ


「んーま、うーわ、んあ、んあ、うーんカワイイカワイイ」


激しいチューの嵐を浴びせかけ、問答無用とばかりに俺を起こして赤ちゃんを抱きしめるかのように俺を胸に抱いた。


「私がオネーチャンのマリアよ。たとえ戦争が二人を離しても、この世で最後の二人になろうとも、この愛は誰にも止められなのよ!お姉ちゃんが守ってあげるからね!」


それ恋人に言うセリフやろ。

だが、今の俺は空気が読めるイケメン子供だ。


「う、うん、おねえたん大好き」


むちゅ――


俺の前世からのチュー無し記録は、あっさりとこの暴走姉ちゃんの熱いベーゼ(キス)によって打ち止められてしまった。

しかし、男と言うのは可愛い子に弱いものである、それからしばらくの間、俺はままごとをする姉のオモチャになっていた……


次は18時投稿です。

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