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魔眼転生~第六王子の最強で最恐の力は最悪だった~それは死神を呼ぶ呪いの眼  作者: あんちゃん
第一章:王国崩壊と死神の目覚め

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第4話 次の標的

◆◆◆第4話 次の標的◆◆◆



「そうなのね。分かったわありがとう」


 ここは城壁内にあるお城の北側。騎士団の訓練場になっている場所の更に奥。北に広がる魔の森と呼ばれる魔物の巣窟と城との間に打ち立てられた城壁の側に建てられた尖塔。


 離宮と呼ばれたていの良い牢獄にマクダレーナとレオナルトは閉じ込められていた。

いいえ、生きる為に自ら牢獄へと入った。



 私も伯爵家の娘ともなれば、この子のように魔眼持ちの子供を産むと、どうなるかなんて考えなくても分かる。

家に、城に、国に被害が及ばないように、すぐに殺すの。


 魔眼が人を殺すかどうかなんて、ある意味どうでもいいの。悪い噂が蔓延っているので、生き残るには自ら隠れなければいけなかった。



 だけども悪い事は重なるようで、エミリアお母様の葬儀中に、私の子供であるアルブレヒトが死んだ。

教会の上から彫刻が落ちて逃げ遅れたアルブレヒトは、そのまま押しつぶされたと、今食事係を務めてくれている司祭見習いのエーリヒが伝えてくれた。



「ううう……アルぅ、私のアルう!うわあああああ!」



 初めての我が子を失った。

自分の分身のような、私から生まれた子供。

止めどなく涙が溢れ、床に、持って来た食事のおぼんに落ちていく。


一目を気にするほうだったが、今は生まれたばかりのレオナルトと、私しかいない。城が見える窓は板を打ち付けて目張りしてあり、見えるところは城壁越しに見える魔の森だけ。


私は何も気にする事なく泣き続けた。

人は泣けば楽になると言う人もいるが、私は泣いた事によりより一層の悲しみが襲ってきて、顔を覆ったまま私は泣き続けていた。



 その時だった。


一つの窓しか開いていないのに、フワッとした春の温かい風が顔を押さえている手を、髪を揺らす。


窓には近づいていないのにと不思議に思い、顔を覆っている手を退かす。


そこには生まれて間もないレオナルトが、私を心配してか、手をブンブン振っていた。

その指先には、淡く緑に光る指先があった。


「え?!魔法?」


緑色の魔力を使って手を振るごとに、風魔法の頼りないレベル1のそよ風が私に向かって漂っていた。


「ぶぁ、ぶぁ」


視線が合うと無邪気に声をあげて笑う我が子。


「ああレオ!喋れないのにもう魔法が使えるのね、心配させてゴメンね」



 身体強化系で人口の10%と少し、魔法になると2~3%まで落ちる魔法使いなのに、王族として生まれた子供は異常に魔素が扱える人が多かった。

それは王族の血なるものが影響しているのか、それとも……


「ううん、どうでもいいわ。元気に育ってくれれば……ね、レオくん」


「ばっばっ♪」


短い手足を動かし喜んでいる気がした。

私はレオを抱っこし、窓に近づき外を見渡した。


「ほら、お外がよく見えるでしょ。あの森の向こうにレオの未来があるかもね」


空は青く、清々しい風が頬を抜けていくのが気持ち良く、一瞬ではあるが、次男のアルブレヒトが亡くなった悲しみを忘れることが出来たのだった。





◇エーリヒ・ノイエンシュタイン宰相見習い:視点◇


「さあ、マクダレーナ様への報告は終わりと。次は……今のうちに現場を見ておこう」


朝ご飯のトレイを厨房へと返し、そのまま事故のあった教会へと足を進めた。


そこは昼休みの時間だと言うのに第二宰相のルドルフ・エッケハルト・シュトラウスが現場で指示を出していた。



「これはシュトラウス様ご機嫌麗しゅうございます」


「世事はいい。何の用だ」



シュトラウスは宰相と言っても内政、人員調整、都市運営に特化した、特に財務関係を守る番人みたいなものであった。

父のフリードリヒとシュトラウスの二人体制での宰相となるはずだったのだが、陛下の父への信頼が厚すぎて、行き場を失っていたシュトラウスが方向転換した事で、上手く回り出したと聞く。


「いえ、事故現場の調査をと思いまして、来たしだいです」


「そうか、もうすぐ工事を始めるからな、サッサと調べておきなさい」


「はい、早急に調査をしておきます」



 工事を行う民間業者と話に戻るシュトラウスは、「ああ、また余計な予算を使わないといけなくなった。誰だこんな手抜きをしたんだ。腹が立つ」とブツブツ言っているのが聞こえた。


 俺は教会へと入り一番前に飾られてある女神様の像へ一礼して見つめた。



 『無事にこの騒ぎの犯人が見つかりますように』


 この地に我々の祖先がたどり着いて約3000年余り。

荒れ果てた大地を開拓し、家を作り、森を切り開いて小さな小さな集落を作った。

だが、今でこそ言う魔の森を切り開く事がとても大変で、心も身体も休まる時が無かったと言う。


 これは人間に与えられた使命だと言う、リーダーと共に大地を切り開き、畑を作り、畑を荒らす魔物を討伐し続けた。


だが、それも長い年月変わりが無かった。


心が折れそうになったリーダーは、この地にある小さな丘で神に祈ったと言う。



『神よ、我々はこの地に住む事を許されないのか。この果てしない荒野を独り占めしようとしている訳ではない。悪き者を討伐し、良き者の楽園を作る第一歩なのだ。それでも天は我々を見放すのか』と。



 そこへ天から光り輝く7組の羽を持つ神が現れたそうだ。


そして神は言った。


『其方たちにこの地に住む事を許そう。私は大地母神の神。名前を……』


ダイアとか言う名前だったらしいが、肝心の名前の部分を虫に食われ、よく分からない名前になったと言う。



「とにかく、俺はこの一連の事件を少々疑っている。安心に過ごせるためにダイア様御力を貸してください。そして俺らの無事を……」


御前に近寄らないようにと御神像の前に支柱と柵が並べられ、鑑定の儀式に備えて使われないようにしている後ろで俺はお祈りをした。



「よし!上へと登るか」



 天上にあるステンドグラスを綺麗にするため、壁に着けられたハシゴを登り狭い通路へとあがった。

そこから再びハシゴで天上近くの作業用足場へとあがる。そこは神様がこの地に降り立ったかのように大地と神様を描いていた。

 そして人間と神様を橋でつなぐ、その橋に付いた大きな石細工が落ちたのだ。


「う、こんなにも分かりやすいのを誰も気が付かないのか」


現場を見るからと誰も上がらせなかった成果が此処にはあった。


そこには薄っすらと残る埃の上に幾つかの足跡が残っていたのだ。

それも中央辺りにあるガーゴイルの所にまで続き、また先まで足跡が続いていた。


他にも何か証拠が残っているかもしれな――


ドン


「おっとごめんよ。ちと横にずれてもらえねえかな」


「あ、はい…………って何をしてるんだよ!」


ゴリゴリのマッチョが列をなしてこの一番上まで登って来ていた。


「こっちも仕事なんだよ。早いとこ新しい石細工の橋にやり替えないといけねえんだわ。おーい、みんな、足場を立てろ!2週間で終わらせるぞー」


「「おー!」」


下を見れば、ハシゴや足場の木材を持った職人風の野郎どもが大勢教会へと入り出していた。



俺は頭を垂れながら、強制的に上から降ろされ、厳つい男らに追い出されるように教会から押し出された。


「ちょっとシュトラウス様!誰も入らないようにと言ったでしょ!」


俺はまだ業者と話を……主に工事費で折り合いを付けようとしている第二宰相に詰め寄った。



「何を言っているのだキミはっ、午前中は開けておいただろ!国教である聖光教会をいつまでも閉め続ける訳にはいかんのだ!この王城周りのお布施やお祓い、鑑定式でいったいいくらに……お前も見習いなら分かるだろう、『国は理想ではなく帳簿で動く』のだ!」


シュトラウスはドーン!と人差し指を俺に向かって指差した。



 崩れ落ちる俺。勉強が足らぬわと吐き捨てるように言いながら、職人のボスを引きつれ教会へと入って行くシュトラウス第二宰相。


間違っては無いけど、間違ってねえけど、これはあんまりだ!


オヤジに頭が上がらないからって、そこまで言わなくてもいいだろ。


「まだ二十歳だぞ、結婚もしてないんだぞ、泣くぞ」


俺のボヤキは空しく風に掻き消されていた……






◇ハインリヒ・テオドール・エル=カーディア第四皇子:視点◇



 心臓麻痺、心臓麻痺、落下物に挟まれ死亡。


魔眼は実際見た相手を殺すんじゃなかったのか?呪い?これが呪いって奴か?


ハインリヒは今もなお魔眼の伝承を疑っていた。

そして事故現場である教会へと足を運ぶのだが、そこには宰相見習いのエーリヒが大に宰相のシュトラウスに怒られ両膝を突いてブツブツ言いながら城へと思っていく。


 教会は事故があって丸一日が経ち、もう工事が始まっていた。

東の山脈から石を切り出したのか、すでに入れ替える石が運ばれており、橋の形状に削り始めていた。



「おい、ガーゴイルの細工を作るのか?」


「はい。宰相様より同じように作れと言う指示がありましたので」


「そうか。ならば二度と細工が落ちないように頼むぞ」


「はい!、そのように…………ここが出来て1000年以上何も無かったんですから。今度はそれ以上持たせます。普通は崩れる訳がないんですがね」


最後にボソリと言って再びノミを打つ作業へと戻っていた。



 その作業を暫く見ていると、見慣れた男が現れた。


「これは第三宰相のシュトルムじゃないですか、現場視察ですか?」



少し茶髪の髪を風になびかせ、35歳の若さで第三ではあるが宰相の立場に抜擢された男だった。


もちろん俺は17歳だが皇子と言う立場であり、シュトルムは年上で宰相と言う職種の立場だが、構わず呼び捨てにする。


「これはハインリヒ殿下。殿下も現場視察ですか?」


人の良さそうな笑みを浮かべたシュトルムが近寄ってきた。


「まあね。めったにない教会の改修だし、それに末の弟のアレの影響がどこまであるのかと思ってね、少し調べているんだ」


「で、その影響が何かあったのですか?」


「いや、アレの影響としては思っていたのとは違うね。もっと直接的な魔法だと思ってたよ。これがアレの影響ならば、効果は呪い的な、不運が重なっているようなものだろう。少し他殺の気配もあるからとお思ったんだけどね」


「気配とはなんだったんですか?」


「カンだよ、カン」


俺もまだ完全に確証は得られてない。

ただあの時、俺の風魔法が、空気の違う流れを感じただけ。それが何かは分からなかった。人々の逃げる流れと舞い上がる砂塵で風は乱れて分からなくなった。


今までとは違い、目に見える物理的な死亡。



 仮説を立てるとすれば。初めの二人は魔眼と言う恐怖に飲み込まれた精神的なショックで卒倒。運悪く頭を強打しての死亡。そして兄妹のアル兄は頭が切れるから、俺と同じようにこの魔眼と言う呪われた魔法をおかしいと不思議がるタイプだったはずだ。

ろくに話も出来ずに亡くなってしまったが、変に思っている事を誰かに知られ、第三者の手で、真下にくる時にガーゴイルの彫刻を落とされ、殺されたと。


まあ、全て魔眼の呪いと解釈する事も出来るが……何かがこの王城に、この国に怒り始めている事は確かかもな。




 ふと思い立って、俺はレオナルトと言う見た事もない弟が、母親と共に幽閉されていると言う北の離宮へと足を進めていた。



 そこは王城の北。正騎士団ロイヤル・バンガード魔法騎士団アルカナ・センチュリオンが訓練をする広大な広場の横にあった。


高さ30m近くはあるかと言う昔の祖先が建てた建物。

見張り台や馬の飼葉を保管するところにしていたらしいが、仮にも王妃である母と末弟の王子を噂だけの罪で閉じ込めて奥場所ではないような外見だった。


飼葉を出し入れしやすいように作られていたドアや、採光目的の窓は全てレンガで塞がれており、上の住居へとあがる為の外の螺旋階段はレンガで作られているにしても年季が入り過ぎていて登り降りするだけでも怖いだろう。


俺はもう一つ持っている土の魔法でレンガの表面を軽く研磨し、新しい硬質な石材へと上乗せしていった。



「殿下!申し上げます!」


螺旋階段を上りながら階段を上りやすくしようと加工している時、見張りの巡回をしていたであろう正騎士二人が階段横で地面に膝を付き、上申してきた。


「なんだ」


「この尖塔は王妃様と第六王子様殿下が住まわれている塔になります」


「知っている」


「この場所は決められた者以外は、たとえ王族であろうと――」


「だからそれくらいは知っている。階段を修理していただけだ。中へは入らん」


「はっ、申し訳ありません!では我々は見張りを続けますので」


「うん、分かった」


それだけ言うと見回りはサッと持ち場へと戻っていく。



「まあ、会ってみたい気持ちは強いんだけどね。それはまた何かの機会にでも……」



その時、魔素が動く反応があった。


まだ弱いながらも確実に空気が動いていた。



「ふふふ、俺と同じ風の魔法だね。そう言えば君が生まれた時は嵐だったからね、まあ当然か。楽しみにしてるよ。レオと会える日を」



 半分くらいの螺旋階段を修理すると、疲れは無かったが、ここで終わらせるのがもったいなくて、俺は階段を降りていく。



その時空気が動いた!


「エアーボール!」


風魔法で俺が使える最大のレベル3の魔法!

圧縮した空気が瞬時に手の平から打ち出されると、ヒュンッと言う音と共に何かに当たり、それは方向を俺から地面へと変えて側の土にグサッと刺さった。



それは鉄製の矢じりが付いた正騎士団の使っている矢だった。



「ふうん、情報が早いなぁ。面白くなってきたぞ、次は俺なのか」


地面に刺さった矢を抜き取り、飛んできたであろう練習場へと歩き出した。

矢は当たらずピンピンしている事を伝えに……


明日も同じ時間で5話投稿致しますので、

よろしくお願いします。

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