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魔眼転生~第六王子の最強で最恐の力は最悪だった~それは死神を呼ぶ呪いの眼  作者: あんちゃん
第一章:王国崩壊と死神の目覚め

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第15話 背負う想い

◆◆◆第15話 背負う想い◆◆◆



「殿下……王都が……落ちます」


「うっ……」


きたか。

これがエーリヒが言っていた魔眼の厄災ってやつか。少し早いじゃねえかよ。せっかちな奴らだぜ。



「エーリヒ、何が起こっているか、説明しなさい!」


後ろで聞いていたマリアが、王女の立場を思い出し、凛とした声でその場を支配する。



「はっ!朝から正騎士団ロイヤル・バンガードを指揮する騎士団長であられますジークフリート殿下が謎の罪状で地下牢へと拘束。王都防衛隊である第一騎士団が王城へ入り謎の防衛を開始。ついさっき殆どの守備隊が謀反したとの情報で、王城内、王都内で小競り合いが始まっています」


「首謀者は誰!」


「分かりません!すでに国旗は燃やされ、赤い髑髏の旗が!」


魔法騎士団アルカナ・センチュリオンは何をしているの?!」


「分かりません。ですが、魔法を打つ姿を目撃したとの声を聴きましたので、謀反した可能性が強いかと」


「教会は?教会防衛隊がいるはずよ!」


「噂では教会はすでに占拠されているとの噂が」


「噂、噂、何にも分かっていないじゃないのよ!父は何をしているのよ!」


「行方不明だと言われています」


「また不明!一体何が起こっているのよ!」



マリアの癇癪に誰もが静まり返っていた。



その時、外階段を登ってくる足音が聞こえた。



ドンドンドン!ガチャガチャ!エーリヒさん!開けて!開けて下さい!メイドのリリーです!


その声に、マリアが反応した。


「私の専属よ。開けてあげて」


だが、エーリヒは俺の顔を窺ってきた。


「開けてやれ、何かあったらすぐに殺すから」



今や誰が味方で、誰が敵かが分からないのだ。それでも情報を入れる為に入れない訳にはいかないのだ。



ドアを塞ぐ薪を退かすエーリヒ。

そしてゆっくりとドアを開けるとそこから顔を覘かせる白いカチューシャの顔が見えた。


「あ、マリア様…………ヒイッ!」


俺と目が合い、悲鳴を上げるメイド。


「煩い。何があったか言え」


俺の言葉に気を取り直すメイド。


一礼をしたメイドは俺を見ないように口を開いた。



「マリア様、えっとれ、れお、れお……」


「レオナルトだ」


「申し訳ありません、レオナルト殿下。反乱です!第三宰相が騎士団と一緒に反乱を起こしました!」


「「「なに!」」」



メイドは続けて言った。


「陛下は執務室に第一宰相と軟禁、王族は捉えられて地下牢へ捕らわれてます!」


「ううっ……」


エーリヒが唸る。

まあそうだろう、第一宰相は奴の父だ。そう言う陛下は俺の父親だが、まだあった事もないし、王として会えないのは分かるが、どこか他人事って言うのもあるんだよな。



「どうしようかレオくん……」


マリアが困っている。

そう言われても俺も困る。


「エーリヒ、何かいい案はあるか」


俺は宰相候補としてエーリヒに丸投げした。



「一度冷静になって考えましょう。では上で」


俺らは2階へと揚がり、昼の日光が入ってくる窓際で円状になって話しを聞いた。



「まず、第三宰相が騎士団と反乱を起こしたと、これは私も出回っていた噂の一つとして聞いています。そして王族が地下牢へと閉じ込められている。これは朝一番でジークフリート殿下が拘束されたとの話は持ち切りだったから、本当なのだろう。では味方は?小競り合いが起こっているとなると味方はいるのでしょうが、騎士団を掌握されている可能性が高いので、城内はすでに無理。となると王都外にいる第二騎士団となりますが、あちこちに散らばっている第二騎士団は、揃うまでに時間が掛かる。それでも王を、王族を助けるかどうかですが……王族が生き残っている事が最優先とされるでしょう」


「それは再建が出来ると言う事ね」


「そうですマリア様。敵は乗っ取る事が最優先。でも我らは逃げる事が最優先事項となります」


「でもな、ここで逃げるのか?みんなを放置して、王を失い、兄弟を失い、みんな捨てて一から始めるのか?それでいいのかよ、まだ時間がありそうだぜ」


俺の言葉にみんなが視線を下げた。


「悪いが戦力はあるぜ。ここにな」


自分を親指で指差す。



「でもここから分かるほど時間が!」


「ないかもしれないよな。でも、このまま尻尾を巻いて逃げる、そんな事の為に俺は生まれてきてから今まで頑張って来た訳じゃねえんだよ」


自然に頬が上がっていた、口角が広がり上にあがって笑っていた。


「夜な夜な伊達に魔の森まで出張って、魔法を鍛えてたわけじゃねえ。今使わずして誰のために使うんだよ」


「ですが殿下、マリア様がっ」


マリアを見た。

少し心配そうな顔をしている。そうだろう、回復能力はあるが、身体機能としては無いに等しいのだ。



「もちろん分かっている。エーリヒ、昔ここの離宮は王族の一人が使っていたと言っていたよな。王族が使う場合、必ず脱出経路があると思わないか?」


「あっ…………その通りです、ある可能性は確かにあります!」


「俺一人だけだとどうにでもなる。お前らは脱出経路を探し、外へと逃げろ。急げ!一番下しかない!どこかにあるはずだ!トンネルがな!」



「はい!」「うん!探してみるわ」


エーリヒ、マリア、そしてメイドの三人は即座に動き出す。



「リリーと言ったな。少し待て。聞きたい事がある」


「はいレオナルト殿下」


動かしだした足を直ぐに止め、再び澄ました美人顔を俺に向けた。



「お前、陛下は宰相と一緒に執務室に軟禁といったな。その情報どこからだ」


「それは別のメイド達が確認したと言ってました」


「聞いたところによると執務室は城の中心部だ。別の者が簡単に軟禁されてある陛下の軟禁される場所を見て、その場から逃げれるメイドなどいないはずだと思わないか?」


「運が良かったと言ってましたが」


「運だけで生き残れると思うか?」


「思うんじゃないの?だって、殿下も運が悪いんでしょ?」


喋り方が急に変わった。

おかしいとは思ったが、やはりこいつも敵の一味かよ

入ってきた時から感じていた。


臭い


とてつもなく臭い臭いがしていたのだ。



「へー俺って運が悪いんだ」


「そうそう!生まれて直ぐに呪われて、こんなキッタナイ所に閉じ込められて、他の兄弟は綺麗で優雅な生活。これは運が悪いなんてもんじゃないわよね!ねえ怨んでる?怨んでるわよね!誰から殺しちゃおっか?誰でも言って、協力してあげるわよ」


白かった肌が浅黒くなり、慎ましかった胸が急に盛り上がる。そして急に両手を胸に当てると、着ていた清楚なメイド服を左右に破り捨てる!



ビリビリビリイイイイイ!


若い顔からは想像もできない、グラマー過ぎる大人の身体がそこにはあった。

言ってみれば、外国の有名ピンナップ雑誌の表紙の様な男がむしゃぶりつきたくなるような女が窓枠に腰掛け、片足を上げる。



「ねえ、この身体、自由にしてみたいと思わない?」


足首から舐るように俺を舐め上げるように見て来た。上げた片足を大きく開き、股間が見えるように足を組みなおす。

これが夢の中なら、前世であったのなら、俺は躊躇する事なくむしゃぶりついたのだろう。

だが……今は違うのだ。



「くせえ!ああ、臭い臭い、ヘドロのような匂いがするぜ。お前自分の顔を見た事があるのか?昆虫の眼をしてるぜ」


「煩い!うるさいうるさいうるさいうるさいうるさーい!お前を先に殺してやるうう!」



メイドの腕だった物は、瞬時に大きな鎌のようになり、俺に飛びつくように向かってきた!



「風刃」


今や大きなモーションは必要なかった。指先だけの動きで発動する。

一瞬で三つの圧縮した空気の刃を出し、両手、そして首を一瞬で斬り裂く!


フラフラと立ったままで動きが止まる。そして倒れる、と思った時、ぬぼおっ、と新しい首が、頭が生えて来た!


「これくらいで死ぬかよおおおおおお!」


両手の鎌も生えてきてカマキリの様な顔で再び向かってくる。



その時、ドンッと空気の密度が高まったような気がして、カマキリ女がたじろいだ。


左の赤い目が輝き、女はその目の奥に闇を、混沌とした冥府を感じていた。



「死ね」



ずうんっ、心臓ではない。臓器でもなかった。

生命の根本となる魂が、無理やり切り裂かれる感じがした。


次の瞬間、カマキリ女はそのまま糸が切れたマリオネットのように崩れ落ちる。



「ゲスが」


死んだ女はシューと言う音と共に黒い霧となって消えてゆく。


「やっぱり悪魔かよ。インキュバスの時点で裏で操っている事はなんとなく分かってたが……エグいな」



俺は汚い物を掴むように残った服や下着を指先で摘まんで窓の外へと捨てる。



「さあ、トンネルが何処かにあるはずなんだ…………むっ!誰だ!」


いきなり気配を感じ取り窓を振り返った。

そこには以前であった黒いローブの男が、窓枠に座っていた。


そして昼間だと言うのに辺りは墨を流したかのように真っ暗になっていた。



「よお、忙しいな」


今までの事を見ていたような素振り。いや、見ていたのか?


「そうでもないさ。初めから分かっていた事だ。思っていたよりも少し早かったがなターナーって言ったか」



「ああ……良い事を教えてやろう。ここがターニングポイントだ。


さあ自分で選べ!

ここで、王子として死ぬか、それとも人間をも超越したモノになるのか!」



ターナーはそれだけ言うと空間に溶け込むかのように消えていった。


「一体何なんだ……ここで死ぬ?それとも人間を超越したモノに……?」



 せっかく生まれ変わって軟禁され、ようやく日の目を浴びる事が出来そうなんだ。流石にここで死にたくはないな……

もし、生き残るのが人間を超越した者にならないと駄目なのならば……


なってやるさ!



 どれくらい時間が経ったのかは分からないが、階段下からエーリヒの声が聞こえた。


「殿下―!あったぞ!脱出用の階段だと思う!」


「今行く!」


俺は夜中に着込む黒いローブを手に持ち階段を降りる。


このローブもこれですでに3着目だ。

サイズが合わなくなり、エーリヒに怪しい目で見られながらも新しいローブを持ってきてもらった。14歳になり、身長も170cmを超えた。どこまで伸びるか分からないが、もう少し伸びて欲しい感じだった。



「どこだ!」


「階段裏だ」


声のする方を見てみると、コンクリートの階段裏にある土を退かすと、石の蓋があり、そこを退かすと下へと続く階段が見えていた。


「メイドは?」


マリアが不審に思ったのか聞いてきた。

それに対して即答する。


「アイツは敵の間者だった」


「そう……レオくんは大丈夫だった?」


「ああ」


そのメイドはここに来ていない。つまりそう言う事だと言うのをマリアは理解していた。

そして俺の事も気を使ってくれる。



俺はローブを羽織りマリアを見る。


「下に降りて様子を見て来る。直ぐに戻るからな」


「殿下、これを……」


エーリヒは俺に向かって一振りの剣を向けていた。


「俺は剣を持った事もねえぞ」


「念のためです」


「俺は自分の身は自分で守れる」


「それでも年の為ですし、私もこの通り持っています。ついでにかっぱらってきましたので」


「準備がいいな、貰っておこう。では少し見て来る」



 渡された剣を腰のベルトに結び付ける。

初めて持った武器は意外にも精神的に心強いものだった。

そしてここまでしてくれるエーリヒにも生き残って欲しかった。



階段下は真っ暗で何も見えないのだろうが、俺は異常なほどに夜目が効く。階段下からは真っすぐな通路が石造りで作られていた。カビのような匂い、そしてどんどん加速するごとに水の匂いがしてきた。空を飛ぶように真っすぐな通路を進むと今度は上へと向かう階段が!

その階段を登ると石の蓋から零れる明かりが見えた!その石の蓋を退かすとそこは小川の横にある水門のようだった。

森からは離れ、遠くに王都の城壁が見える。


俺は急いで戻った!


「あったぞ!出口だ!急いで着替えろ!1階に母の私服があったはずだ」


不安そうにしていた二人の顔が喜びに変わった。

私服とは言え、マリアは豪華すぎる服を着ており、質素な服を着ていた母は、脱出・逃走するにふさわしい服を持っていた。そしてまだ季節はまだ寒い。どうなるか分からない逃走なんだ。服は着こんでいった方がいいのは一目瞭然。



 動きやすい服に着替え、エーリヒも外套を着込んで降りて来た。


「殿下はそのままですか?」


「俺は残る」


「「え?!」」



「当たり前だろ。メイドは殺され戻ってこない。離宮に来てみたら脱出用のトンネルがあり、要人は逃げていた。当然追手がくるだろ。俺はここの蓋を閉め、二人の逃走時間を作る。たぶん東側に出るはずだ。山のふもとで馬を調達して、南側へ抜けろ。

南の交易都市ラグナ=ザハル市のカーディア公爵を頼れ!俺も後から向かう!」


「殿下……」


エーリヒは突然上着から黒い革製品を取り出した。


「これは……」


「本当は15歳の誕生日に……陛下へ軟禁を解除できないか上申しようと思っておりました。暫く目立った事件は無かったですからね。そしてこれは少しでも周りが恐怖心が無くなるようにと思って……」


両手の上にある物を取った。

それは黒い革にベルトが付いた眼帯だった。


「眼帯か」


「はい、殿下は少しカッコつけですので、趣味に合うように少し歪なデザインですが、作って見ました」


「カッコつけ言うな。でも……ありがとう。これはもらっておく」


サッと装着してみると、顔の左側1/3を隠すような大き目な眼帯だった。左下、左上、そして右下の三本のベルトで止められており、激しい動きでもずれない。裏側にはフェルトが張られており、肌にも優しい構造。

デザインも中二っぽく仕上げられており、男心を刺激する。

何より軟禁を解除しようと動いていた事が嬉しかった。



不安そうな顔をするエーリヒ。だが、マリアは流石王族だった。

凛とした顔で俺に……俺を心配させないように言い放った。


「レオ……御武運を」


俺は強く抱きしめられた。


これも王族の務め。

血を残すのが最優先だとマリアも分かっていた。



 ハグが終わるとそこからは早かった。

急いで階段を降りだす二人。


「道は真っすぐ!明かりを目指して行け!いつ来るか分からんぞ!」


「待ってるね」


「また後で……」


そう言い残して暗闇に消える二人。

蓋を閉めて土をかぶせる。

これで憂いを残す事もないだろう。



「さあ、俺は死ぬつもりなんてないぜ。なってやろうじゃねえか、人間をも超越した存在って奴に!」


階段を登り窓から下へと舞い降りた!



まだ誰も知らなかった。

魔眼を持つ一人の少年が、死神という運命をもって王都へと歩き出した事を…………






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