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魔眼転生~第六王子の最強で最恐の力は最悪だった~それは死神を呼ぶ呪いの眼  作者: あんちゃん
第一章:王国崩壊と死神の目覚め

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第12話 不審人物とジャンキー

◆◆◆第12話 不審人物とジャンキー◆◆◆



 大地だ!

この世界に来てから初めて大地に降り立った。


 闇に紛れてだが、確実に俺は異世界に立っている。

決してバレてはいけないのだが、隠れてコソコソと何かをすると言うのが、ものすごくワクワクさせるものであり、秘密の特訓と言うべき主人公としての義務を果たそうと周りを見渡した。



「よお綺麗な月夜だな」


ビクッ!とした。

魔眼の影響で、周りの生き物の気配は全てわかるのに、城壁に背を当てて俺に話しかけて来た奴がいた。


 俺は振り向きながら奴を見た。

俺と似たような黒いローブを羽織り、フードを目深にかぶってはいるが、夜目が効く俺には丸わかりだった。


黒い目、黒い長髪、病的に痩せてはいるが、死臭がする程では無く、逆に生き生きとした目で俺を見ている男。


「ほとんど月も出ていないと思うが?」


「いひひ、言葉のあやってやつだよ」


何かめんどくさい奴だ……



「何か用か?今から散歩なんだよ」


「俺も散歩してたんだ、面白そうだから見てただけなんだが……邪魔だったか?」


「いいや、邪魔じゃないさ。一人の方が好きでね。どこかに行ってくれるか?」


「ああ、元よりそのつもりだ……ああ、一言いいか?」


「あん?……なんだ」


「とりあえず、おめでとうと言いたくてね」


「はい?」


返事をした時、凍てつく風が正面から吹いてきた。



「え…………」


二・三度瞬きをしたつもりだが、その間に奴は消えていた。



反応を探すが、辺りに魔物以外の生命反応は、最初から無かった。


「まさか……幽霊?いや、足はあったぞ。異世界は足があるのか?うわぁ、俺初めて幽霊を見ちゃったよ。こええ、南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏……」


俺はしばらくお経を見よう見まねで唱え、男の言っていた言葉の意味も忘れていたが、寒い季節のはずなのに、背筋に妙な汗が流れていた。





「レオナルト殿下。昨日もまた魔物の骨と魔石が散乱していたようですよ。今度は今までと違い、王都の北側広範囲で」


次の日、眠気覚めの朝紅茶を飲んでいると、朝ご飯を持って来たエーリヒがずいずいと中へと入って来て喋り出した。


「寒いからなぁ、食べ物の取り合いでもしてるんじゃないの?貴重なたんぱく源でしょ?」


「たんぱく源と言うのが私にはよくわかりませんが、騎士団もそう考えているようですね」


「まあ魔物だもんね。何を考えているかは分からないよね」


「ですね。殿下の考えも分かりませんが」


ジト目で見て来るエーリヒを無視し、平べったいマフィン

と言うパンみたいな物にハチミツを垂らして食べる。

食べた感じは少し甘いパンだな。フワリとして膨らんだマフィンではない。


「お前は心の中を覗こうとするな。俺が関係しているとでも思うのか?」


「さあ、そこまでは言ってませんよ。身体強化の魔法を使って城壁の外へと出て、得意な風と水の魔法を使い、外の魔物でも駆除……いや何かに備えて特訓でもしているとでも?」


「頭が良い奴はこれだから……勝手に妄想するなよ。勇者が活躍する本でも書いてみたらいい」


「いいえ、殿下の側の方が面白そうですので断ります」


「面白そうって……人を何だと思ってるんだよ」


オニオンスープを飲みながら腹の探り合いというか、こいつカンが良すぎると思いながらはぐらかす。


「殿下は殿下ですよ。まあ、こんなに気軽に喋れるのもいないですし、まだ6歳にもなっていないのに、私と変わらない喋り方をするおかしな殿下です」


「失礼だな。おかしいと評する事が宰相見習いが言ってもいいのか?」


「ええ、ここでなら良いと殿下が言ってましたから」


「めんどくさっ」


「ええ、めんどくさいですね。裏でなにやらコソコソしている気がするのは私だけですので、ご安心を」


「じゃあめんどくさいついでだ、一つ頼まれてくれないか」


「今度はなんですか?」


「今はまだ冬だ。ジャガイモってあるか?」


「あージャガイモですね。ここでは余り獲れないみたいですし、味も悪いので滅多に聞かないですがありますね」


「あるのか?!」


「ええ、あると思いますよ。たまに聞きますから」


「ではそれを10個ほど買ってきて欲しい。それと油だ、油。炒める用の油と塩を持ってきてくれ」


「分かりました……が、何をするんですか?芋を炒めるなんて聞いた事無いですよ」


「いいから持ってきてくれ」


「では、発注しますので夕方までには届くと思いますよ」


エーリヒはおかしな顔をしながら出て行った。

それはそうだろう、自分でも分かる。俺は頬が上がりっぱなしでずっと笑みを浮かべていたのだから。




 念願のブツは夕食時にやって来た。


「殿下、夕食と頼まれたジャガイモと塩、油です」


「おお!キタか!」


 俺はとりあえず子羊のローストと言う、王様御用達の豪華な食事を一気に食べる。

庶民では食べられない高級な食事だと言うのは俺が王子だからだと言う事を知って、あたらめて良かったとは思った。


 だが、何かが圧倒的に足りないんだ。

ジャンキーな物がない!


 大好きなジャンキーな物が!塩分たっぷりで、香辛料たっぷり!油まみれのチーズ倍掛け、マヨネーズ倍増のコテコテで油ギトギトでスパイシーで刺激的な奴が!!


 1階の調理スペースに降りるとエーリヒも一緒に降りて来た。


「見張ってなくてもいいんだぞ」


「いえ、結末を見届ける所存でありますので」


「他言無用だぞ」


「もちろん……食べ物ですよね」


「ああ、ビックリドンキーでお手軽、メチャウマな一品だ」


「わたくしめにもお零れが?」


「任せなさい。間違えようがない」



 俺はボールに水を出し、鍋に油を入れて魔道具のコンロで鍋を温める。

サッと洗ったジャガイモを果物用のペティナイフで皮むきする。

皮剥きをした芋を次々に水に入れ、10個頼んだジャガイモを全て皮剥きした。


 ついでに芋の芽が出てきているのをナイフの先で丁寧に穿り出し、出来るだけ薄くスライスする!


本来ならスライスしたジャガイモは水に晒すのだが、今回は時間が無い。

サッと付けた水をキッチンペーパーでは無く、清潔なタオルで水分をふき取り、熱した油の中へとそのまま投入する。


熱した油の香りが脳髄に侵入し、ジャーと揚がる音が前世の記憶をよみがえらせる。



「普通に揚げてますね」


「ああ、薄いからあっという間だ」


へらで揚げたジャガイモを別の網の上へと乗せて油を落とす。

まだ熱したままの揚げイモを新しいボールに入れて塩を振り掛ける!


「出来た…………食べてみろ」


「ど、毒見じゃないですよね」


いぶしがるエーリヒを放置し、その一枚を口へと放り込む。



パリッ パリッ パリリ


「ん――!これこれ!これぞポテチ!」



揚がったばかりのポテチをむしゃむしゃと次々に食べる!


「ちょっと全部食べないでください!私も…………むしゃ……むしゃ、ムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャムシャ


何じゃこりゃー!」


ビックリしながらも手が止まらない俺達。


「旨いだろ」


「美味しい!こんな簡単で安いジャガイモなのに!何でこれが出来るのを知ったんですか!」


「秘密だ」


「あの本ですか。あの古文書の読めない本!」


「バレたか。少しだけ解読に成功したのがコレだ」


「マジですか……」



 そうなのだ。

先日読む本が無くなり、何でもいいから持ってきてくれと頼んだら、昔の古書を持ってきやがった。

そこには謎の文字と謎の絵が書かれていたのだ。


これはヴォイニッチ手稿か!と思ったが、なんと書いてある文字は昔懐かし日本語だった。


そしてこの本はこの世界で食べたい料理、食べられそうな料理が絵付きで書かれていた。


ありがとう転移者。サンキュー転生者。


そこに書かれていた中を読み、一番ジャンキーな物で簡単に作れる物を調べると、このポテチが浮かび上がった。

本当はコンソメ味を欲していたのだが、原料が牛や鶏のエキス、香味野菜(玉ねぎ、人参、セロリなど)、食塩、醤油、香辛料と書かれてあった。

この完全昔のヨーロッパなみの貴族様式から考えると、香辛料はあっても醤油が無い事は察しがついた。

だから今回は塩味で我慢なんだ。



 俺らは10個のジャガイモを全部ポテチにして食べた。

指を舐め舐め、口の周りをギトギトにし、ジャンキーな味を堪能した。


「どうだ?」


「またお願いします」


「そう言えばこの国に米はあるのか?」


「米ですか?たしかサハル王国と交易している南の交易都市ラグナ=ザハル市、カーディア公爵領ならあると思いますよ」


「たしか姉が疎開していたと言う公爵領だな」


「はい、馬車で10日程掛かりますので、すぐには取り寄せも無理ですが。取り寄せますか?」


「そうだな……(カレーを作ろうと思ったのだが、香辛料もあるし、同じ名前かどうかも怪しいな)……では米10kgと色んな香辛料も小さい瓶でいいから取り寄せてくれ」


「分かりました。明日にでも頼んでおきます」



「ところで、この国にケチャップはあるか?マヨネーズとか知ってる?」


「ケチャップですか?それは……」



 この国の食料事情を聞き、次のジャンキーな物を考えるのだった……




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