3/93
(1)語る記憶
これは僕の打ち明け話。僕だけが知っている、僕の秘密の打ち明け話。
僕を示す一番簡単な言葉は、もちろんその名前。でも僕はその名前が嫌いだった。結局、今に至るまで、あまり好きにはなれなかった。
友利、静。
口に出してみよう。ともり、しずか。口にした感覚は悪くない。でも、どんなあだ名がつけられるか、わかりきっている。小学生の頃、つまり僕の打ち明け話の舞台となる時期には、うんざりするほど『ちゃん』を付けられて呼ばれていた。
もうみんな忘れているんだろうけれど、僕はしっかり覚えている。
へらへら笑いながらちゃん付けで呼ばれ、僕はいつも本気で怒った。その態度自体が間違っていたと気がついたのは、もうそんな呼び方をすっかりされなくなった、中学校に入る直前のことだった。
だから、というわけでもないけれど、その頃を思い出すと、憂鬱がまず最初に現れ、次に恥ずかしさで、頭も胸もいっぱいになる。おまけに後悔。一日一日が、そんな感情で満たされていた。
この感情の源にあったのは、その頃の僕が経験させられるハメになった、ある役割のせいだった。
だから僕の打ち明け話は、その発端となった日から始めることにする。正確には、それは発端というよりも、予兆だったのだけれど。




