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(5)最初の戦い-1

 僕にとってとびきり特別だったあの日から、一週間ほど過ぎた頃だった。


 まだ暑くて仕方がなくて、袖や裾の短い格好に毎朝着替えて学校に行き、毎朝のように鹿屋さんと会い、何冊か本を借りたり返したりして、学校で退屈な時間を過ごし(特に運動会の練習、これほど退屈というか不快だったことは学校では他にないというくらいだった)、図書室や帰り道で辺根さんと行き会うこともあった。要するに、僕はずっと同じような時間の過ごし方をしていた。


 しかし、ああ、いよいよその日がやってくる。僕にとっての悪夢が始まったその日が。これは、それほど大げさな言い方でもない。本当に、それは悪夢に違いなかった。しかし悪夢とは違って、あまりにも大きな足跡を残していった。僕を踏み潰してしまいながら。


 その日の僕は、いつも通りだった。いつも通りの日になると思っていたし、いつも通りの格好――半袖のTシャツにハーフパンツ――で、いつも通りの少し遅い時間に家を出た。


 この日も鹿屋さんと会った。学校でまた名前をからかわれて、本気で怒った。昼休みに辺根さんと図書室で同じ机に座った。運動会の練習があって、体操服に着替えた。あまりにも暑くて、水道の金臭い水を、全身をポンプのようにして飲み続けた(今思うと、そうやって暑さの中で飲んだあの水道の水ほど、おいしいと思えた飲み物もないような気がする)。


 学校が終わる頃になっても、暑さはほとんど変わらなかった。ランドセルを背負い、体操服の入った袋を持って、先に行ったはずなのに下駄箱でしばらく待ってみても辺根さんが現れなかったから、僕は帰り道を一人で歩いていた。


 僕があの夏祭りの日、光を見た山は、家よりは学校に近い。相当な遠回りになるけれど、帰り道にそこを通ることはできた。


 その日、僕はそうした。


 理由は僕にも分からない。その日鹿屋さんとほとんど何も話せなくて、そんなことが続いていたから、話の種を見つけにいこうとしたのかもしれない。


 あるいは、もっと単純に、運命に引き寄せられた、とでも言ってしまうべきなのかもしれない。本当に、その日にそんなことをしなければ、僕の運命は全く違ったものになっていただろう。それほどのことが、一つの気まぐれを起こしただけで、僕の身に降りかかってしまったのだった。


 山あいの道を、山裾に沿って歩き、光が見えたはずのあたりを目指した。何が見えると予想も期待もしていなかったし、できるはずもなかっただろう。


 日が落ちかけて橙色から紫色にグラデーションを作っている黄昏時、山の近くは影になっていて、なおいっそう暗かった。山を覆う木々が、その幹をさらしている。その向こう側は本当に真っ暗で、何も見通せなかった。


 道を歩き、ガードレール越しに見える山の様子に、何も変わったところはなかった。ついでに言えば、僕はあの日、あの光を見てから、普段は全然読まない新聞に目を通したけれど、どこにもそんなことは書いていなかった。だから結局、鹿屋さんに話すこともためらわれた。


 そしてそうだったからこそ、正体を僕自身が暴かなければならないという思いに、心のどこかでとりつかれていたのかもしれなかった。


 だから僕は、遠回りをしてまでその場所にやってきた。しかし結局、やっぱり何も見つかりやしなかった、とため息をついたとき、僕は見たのだった。あの日見たものに比べればずいぶん控えめだったけれど、白い光が輝くのを。

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