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お嬢様の奇行

『運営の目が届かないところでハレンチ無双できると思ったのに全年齢版とかどうなってんだ! パンツ一枚見えねぇよ! お風呂シーンでハスハスしようと思ってもやけにまぶしい謎の光が入っちまうじゃねぇか! こんなん夢も希望もねぇっすわ! 脱衣実況して楽しむくらいしか……ん? 言葉攻めならイケるのでは……? お〇〇〇! お〇〇〇! ダメだ規制されてやがる〇ァーーーッ〇!』


 頭の中にピー音が鳴り響く。

 全年齢版だけあって使用禁止ワードが設定されているようだ。


『触れない嗅げない見れない言えないとか……どうしろってんだこのク〇みたいな世界はよォ! これだけ制限があったらナニもできねぇよ! ナビゲート商売あがったりだよ!』


 コンコン。


 誰か来たようだ。

 さっそくフローレイズさんになるための特訓が始まるのかな?


『お嬢様?』

「はい、どうぞ」


 ガチャ。


 入ってきたのはプーリーさんだった。

 部屋の中をぐるっと見ていく。


「今、誰かとお話していませんでしたか……?」

「ナビ子さんです」

「何者ですか!? 侵入者には注意していたはずなのに!」


 スカートの中からナイフを取り出し逆手で構える。


「侵入者ではなくて、ゲーム進行を手助けしてくれる妖精さんです」

「……妖精さん?」

「はい、妖精さんです」

「……?」


 ナイフを構えたまま首をかしげる。

 ナビ子さんがいなかったら何をしていいのかわからず途方に暮れていた。

 ゲームのジャンルが変わってもしっかりナビゲートしてくれるのは心強い。


「ここに妖精さんがいる、と?」

「今は姿が見えなくなっていますが、いつも見守ってくれています」

「えーと……つまり、目に見えない妖精さんとやらがいて、お嬢様のお話し相手をしていると?」

「その通りです」


 今のところりょーちゃんたちと連絡を取る手段がない。

 頼りになるのはナビ子さんしかいない。

 もしかしたらきゅーちゃんたち(※1)も召喚できるかもしれないけど、ナビ子さんの様子を見る限りうかつに呼ばないほうがいいと思う。

 

「私でよければいつだって話し相手になりますから! 朝でも夜でもお嬢様が寂しいときにはすぐに駆け付けますから!」

「あ、ありがとうございます?」


 両手をがっちりと握られる。

 この世界ではまだ友達がいないから話し相手が増えるのはうれしい。


「ナビ子さんの姿が見えるようになったら紹介します」

「お嬢様……」


 目頭を押さえてうつむくプーリーさん。

 うまく召喚できないのはゲームが違うせいかな?

 何かしら回避方法があるかもしれないしゲームシステムの違いについても把握しておきたいところ。

 壁に向かって1人で話す姿。


※1、きゅーちゃんとくーちゃん:千里くんがゲーム内で飼っているペット。

 どこからともなく拾ってきてなんとなくペットになった。きゅーちゃんは大きいトカゲみたいな姿をしていて、くーちゃんは大きい犬みたいな姿をしてる。ゲームの仕様上ペット時は中型犬くらいのサイズになる。くーちゃんは騎乗もできるためちょっと大きめ。どちらも飼い主に似てかしこさは低い。きゅーちゃん初登場は第161・黒い毛玉。くーちゃん初登場は第660話・ぴーちゃんの子育て日記

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