超ク〇ゲー
「どうしよう……」
ゲームをログアウトすることも、誰かと連絡を取ることもできない。
誰かがボクの異変に気づいて起こしてくれるのを待つしかないのかな。
『とりあえず、原因がはっきりするまではこのゲームを進めるしかないんじゃないっすかね? ゲームをクリアすれば元に戻れる可能性もありますし』
ナビ子さんが提案する。
「このゲームはどんな内容なのでしょうか?」
『そうですね……一言で説明すると、超ク〇ゲーです』
はっきりと断言する。
『フラグ管理が複雑ですぐにバッドエンドに突入する恋愛パートと、無駄にエンカウント率と難易度が高くて即死しまくるRPGパート。やけに長いオープニングロゴや会話シーンがすべてスキップ不可能の嫌がらせ、ついでに会話ログも見返せない。収録時に調整をミスったのかやたらと声がうるさいキャラクターがいるのに個別音量調整不可、そもそも音量の調整がオンとオフしかない。場面が切り替わるたびに長めのローディング、たまにそのままフリーズしてやり直し。なぜか顔だけしか表示されないバグった立ち絵に無限に増殖するキャラクター、ついでにフリーズやり直し。文字化けとノイズ混じりになるBGMでホラーと化しゲーム進行不能になるバグ。当たり前のように突然のフリーズからのセーブデータ消滅。さらに、イベントCG率の90%がマッチョシーンというク〇っぷり。一部のク〇ゲーコレクターしかプレイしない大爆死作品となったそうです』
「クリアを目指すとなるとかなり難しそうですね」
『裏技を使えばそこまでクリア自体はそこまで難しくないそうですが……SENRI様は裏技を使える主人公じゃないんですよ』
「?」
『ベルダン公爵令嬢っていうのは主人公のライバルポジションのキャラクターなんですよ。いわゆる悪役令嬢ってヤツですね』
「そうなのですか」
サブキャラクターでもプレイができるようだ。
自由度が高いゲームシステムなのかもしれない。
『男どもを手玉に取って装備をむしり取るSENRI様にこれ以上なくぴったりな役柄だと思います』
「この場合はクリア条件が変化するのでしょうか?」
『主人公にとってのバッドエンドが悪役令嬢にとってのグッドエンドになりますかね。主人公と仲良くしている攻略対象を片っ端から誘惑して女子受け最悪のムキムキマッチョに仕立て上げるっていうとんでもねー悪女ルートですが』
マッチョを量産するということは、元のフローレイズさんはジムのトレーナーさん的な役割なのかもしれない。
筋トレの本なら暗記するくらい読んだしある程度ならボクでも力になれそう。
「つまり、攻略対象のみなさんをマッチョにすればクリアできるわけですね」
『え? マジっすか? ガチでやるんすか? 乙女が好きな細マッチョとかじゃなくて大会に出るようなガチマッチョですよ? ロン毛のイケメンも血管が浮き出るスキンヘッドになりますよ?』
「何か問題でもあるのでしょうか?」
『おぉ……なんという曇りなき眼……。こいつはやべぇわ。本物の悪役令嬢がいるわ。これっぽっちも悪いことだと思ってねぇっすわ。まさに純粋な悪そのものですわ』
筋肉だったら誰でも欲しいと願っているはず。
筋トレのお手伝いは人助けそのものといっても過言ではない。
誰かを傷つけるようなストーリだったら困るけど、筋肉を傷つけるのはその人のためになる。
できる限り応援したい。
筋肉狂信者の思考。




