乙女の世界
「ナビ子さん、GMさんと連絡は取れそうですか?」
姿が見えないナビ子さんに向かって話しかける。
『……ダメっぽいですね。専用の回線がつながりません。いつもだったら何も悪いことをしていないのにお仕置き部屋まで強制連行するのに』
「緊急ログアウトの方法などは……」
『マニュアル通りにやっても反応がないです。安心と信頼のク〇運営だし、どうせいつものやらかしじゃないですかね?』
ナビ子さんでもわからないようだ。
念のためにりょーちゃんと連絡を取ろうとしてみたけど、ログアウト状態になっていて会話はできなかった。
メールやメッセージも送れない。
公式ページや外部の攻略サイトなども閲覧できなくなっている。
『ナビゲートシステムだけは動いてるんで情報収集だけはできそうです。ちょっと調べてみます』
「お願いします」
今はどんな情報でも欲しい。
早く現実世界に帰る方法を見つけ出さないと。
『ここって、なんちゃら皇国っすよね?』
「はい。えっと……なんだったかな?」
一度聞いただけなのではっきりと覚えていない。
なんとなく親しみがある名前だったような。
ビボ……ビルボ……ボディ……。
「あ、ビルボディ皇国です」
『ほぅほぅ、ビルボディ皇国と』
ナビ子さんが調べてくれる。
『お、あった。グレントニー学園に通うヤツでいいんすよね?』
「合っています」
『わかりました。どうやらこの世界は、キャッスル☆キングダム~イケメンラブラブ学園ドキドキハーレム~という乙女ゲーム(18禁)のようです』
「乙女ゲーム……?」
『女主人公がイケメンとイチャイチャするヤツです。我々おなじみギャルゲーの逆バージョンです。何が悲しくて男を攻略しないといけないのか私にはまったく理解できませんが』
新しいシステムになるどころが、ゲームそのものが違っていた。
タイトル名を聞くのは初めて。
当然のことながらダウンロードやインストールした記憶もない。
「どうしてその乙女ゲームの中に……?」
『運営が接続設定をミスったんじゃないっすか? とんでもないバグを連発しまくる〇ソ運営ですし』
「修正を待つしかないのでしょうか?」
『運営のやらかしならそれしかないっすね。ここの運営の技術力だと何か月どころか何年かかるかわかりませんが』
何か月も戻れなかったらお母さんたちがすごく心配しそう。
寝たきりの状態が続いたらせっかく育ってきた筋肉もなくなってしまう。
学校にも行けないから留年になる可能性も。
いろんな問題が起こる前に復帰しないと。
『運営とか関係なく別ルートで乙女ゲーの世界に入り込んだパターンも考えられますが……暴走トラックにひかれたり、ブラック企業で残業しまくりました?』
「いえ、事故には遭っていないです。学校に通っているのでお仕事もしていません」
『じゃあ転生令嬢モノではないっすね。その辺の異世界導入ルートを通らないと異世界にはいけませんからね』
寝て起きたらこの世界に来ていた。
寝ぼけて新しいゲームをインストールした可能性は否定できないけど、いくらなんでもその状態でアカウント情報を登録してログインまで行くのは難しいと思う。
(18禁)。




