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おいしい朝食

「使用人ではない方はいらっしゃるのでしょうか?」


 ちょっと気になったのでナーランさんに聞いてみる。


「いいえ。こちらは別館となっていますので、お嬢様と、カール様と、我々メイドを合わせた計5名しか住んでいません」

「こんなに立派なお屋敷なのに5名ですか?」

「本館の大きさはこの5倍はあります」

「!」


 ただでさえ広いお屋敷なのに、この5倍……。

 スケールが大きすぎて想像ができない。

 本館には王様が住んでいるのかな?


「お嬢様にはご不便をおかけするかもしれませんが、なにとぞ容赦くださいますようお願い申し上げます」

「ボクにとっては身に余る好待遇です」


 千合の姫(※1)としてメイドさん付きで行動することはあるけど、普段はごく一般的な男子中学生。

 特別扱いされるような人間でもない。


「人数は少なくともサービスの質はどこにも負けません! さっそく『はい、あーん♪』といった食事のお手伝いをいたしましょう!」

「ふーふーするならお任せください!」


 ベベシッ!


 ナーランさんのチョップが決まりプーリーさんとステアさんが下がっていく。


「冷めないうちにどうぞ」

「いただきます」


 湯気が漂っているポタージュに手を伸ばす。


「……!」


 ちゃんと味がする!

 じゃがいもの優しい甘みにバターの風味がすごくマッチしている。

 五感すべてが現実世界と同じように感じられる。

 あきらかにゲームシステムが変わっている。


「お味はいかがでしょうか?」

「とってもおいしいです」


 他にも、卵料理やお肉料理、サラダやデザート。

 パンだけでも10種類くらい用意されていた。

 ホテルのバイキングをひとまとめにしたような華やかさ。

 できれば全部食べたいところだけど、さすがに1人では食べきれない。


「ごちそうさまでした」

「お口に合いませんでしたか?」

「いえ、元々小食なのでおなかがいっぱいです」

「まぁ」


 驚いた表情をするナーランさん。

 気持ち的にはおなかいっぱいで満たされている。

 ただ、現実の体は空腹のはず。

 元に戻ったらちゃんと体の空腹具合が一致するようになるのかな?

 こんなことは初めてだからよくわからない。


「お嬢様は少々やせ気味のようですからもう少し召し上がったほうがよいかと」

「なるべくがんばってはいるのですが……」


 少しずつ食べられるようになってきたけど、まだまだ人と比べると少ない。。

 筋肉のためになる栄養素を多めにとっているからそのうち効果が出てくるはず。

 いつかはマッチョになれるはず。


「やはり『はい、あーん』をしていっぱい食べてもらったほうが……ぐへへへへ」

「いっそのこと口移しで……ふひひひひ」


 ベベシッ!


「お嬢様のご都合がよろしければこのあとカール様からの説明を受けていただきたいのですが」

「はい、よろしくお願いします」


 どんなクエストなのか早めに把握しておきたい。

 内容によっていろいろと準備することもあるだろうし。


「それではこちらへ」


 ナーランさんのあとをついていく。

 お屋敷内が広すぎるから案内がなかったらどこかで迷っていたかも。

 場所を覚えるだけでも一苦労しそう。

 メイド付きの生活に慣れている一般的な男子中学生。


※1、千合の姫:千合女学園(1067話~)でもらえる称号。

 年に一回開催される千合の乙女(1161話~)イベントで一番淑女にふさわしい人に贈られる。自薦他薦でエントリーして学園生の投票によって選ばれる。任期は1年間でその間は学園の代表としていろんな場所に公務としておもむくことになる。姫に選ばれると学園生から二つ目+○○姫と呼ばれるようになる。千里くんの場合は聖天使千里姫。千合の姫決定は第1199話・千合の姫

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