08-17.祭りは続く
「やっと捕まえたぞ。アーちゃん」
「あら♪ あなた♪ アニタちゃんも会いたかったわ♪」
勝手に逃げていたのはお主の方だろうが。そのくせして普通に部屋に戻ってきてるし。
「もう怒ってない?」
「怒ってない。だから聞かんぞ。今更」
「うふふ♪」
まったくもう。
「しかし珍しいな。シルクがこんな企みに加担するとは」
「申し訳ございません。エリク様」
「何か理由があるのか?」
そっちは気になるぞ。
「……強いて申し上げるならば危機感です」
「危機感? 何に対してのものだ?」
「エリク様はお変わりになられました」
……そうだな。
「お慕いしております。エリク様」
「私もだ。シルク」
「私は負けたくありません」
それでアニタのサポートを? 自らが目立つのではなく?
シルクらしいっちゃらしいけれども。
「ふふん♪ シルクったら可愛いでしょ♪」
アニタがシルクの後ろから覆いかぶさった。
「あなた♪」
そのままシルクを引き寄せて後ろのベッドに倒れ込み、二人並んで手を差し出してきた。
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「ふふ♪ エリクったら凄いでしょ♪」
「ええ……天にも昇る心地でした……」
なんか気恥ずかしいな。
「本当によかったのか? 初めてがアニタと一緒で」
「光栄でございます」
「まあ♪」
アニタは大喜びで頬ずりし始めた。
「エリク様こそご満足頂けましたでしょうか」
「もちろんだとも。とても可愛かったぞ♪ シルク♪」
「……」
照れちゃってまあ♪ 可愛いこと♪
「これで少しは安心出来ただろうか。それともやはり、今後もアニタと共に活発に行動していくのだろうか」
「……その時は叱って頂けますか?」
可愛い。
「ふふ♪ お仕置きプレイがお望みなのね♪」
「アーちゃんは黙ってて」
「なんでよ!?」
今いいとこなの!!
「シルク。もしシルクさえ良ければ、今後は私の側で支えてはくれないか?」
「エリク様!!」
抱きついてきた。喜んでもらえてなにより。
「え~! シルクはアニタちゃんの付き人よ~!」
「ならばアニタも側にいればよかろう」
「え~♪ アニタちゃんは自由気ままがいいな~♪」
とか言いつつ満更でもないようだ。
「だめだ。アーちゃんからは目を離せん。私の隣にいろ」
「きゃんっ♪」
イチャらぶイチャらぶ♪
「も~♪ しょうがないな~♪」
よしよし。これで……あ。
「しまった。明日はダブルデートだ。これではトリプルになってしまう」
「陰ながら見守っております」
「ふふ♪ 公認ストーカーね♪ 楽しそうじゃない♪」
う~ん……まあいいか。
「明後日はアニムスさんたちと回る予定だ。母さんも同行するぞ」
「アニタちゃんパ~ス」
いきなりか。そう言うと思ったけどさ。
「是非とも同行してほしいのだが」
「ごめんね♪ シルクは貸してあげるから♪」
「いや。悪いがシルク。明後日はアニタを頼む」
「はい。エリク様」
「別にいいのに~♪」
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「来たわね♪ エリク♪」
「待たせたか?」
「今来たところよ♪」
あら。リタったらそういう言い回しもするのか。
「エフィとルシアはまだか?」
「ええ。まだ約束より三十分は早いもの」
早く来すぎたな。というかリタはいつから来てたのさ。
「似合っているな。その服」
「ふふ♪ ありがとう♪ エリクも素敵よ♪」
テンション高いね。
「今日は何処に行くのだ?」
「先ずは劇場よ♪ 妖精王のお話をやってるの♪」
「……は? それはまさか私のか?」
「当然でしょ♪ これは観ておくっきゃないわよね♪」
えぇ……。
「なによ。不満なの? 私たちにとっては都合が良いじゃない」
リタ、エフィ、ルシアはあの頃まだいなかったものな。隣国にまで全ての情報が伝わっていたわけでもあるまいし。
色々伝えてはきたけれど、改めて演劇で観るというのも、それはそれで悪くはないのかもしれない。
当然、真実がそのまま上映されるというわけでもないのだろうけれど。
「まあいいか」
「でしょ♪ あ♪ 二人も来たわ♪ こっちよ~!」
ふふ♪




