08-14.辻褄合わせ
「結局連れて来ちゃったんですか?」
「パティが勝手に転移したのだ。私は知らん」
もうマジで知らん。私は関係ない。今更だ。姫の一人や二人や三人くらい。大丈夫さ。きっと……やっぱマズいかぁ。
「レティはどう思う?」
「手配しておきます♪」
「手配? 何をするのだ?」
「身請け……でしょうか♪」
流石にその表現はなぁ……。
なんならレティ自身すらもマズいと思ってるくらいだし。
「今から送り返したら許してもらえるだろうか」
「パティが譲りませんよ?」
「だよなぁ……」
……取り敢えず行くか。奴らも探してるだろうし。
「レティも付き合っておくれ」
「はい♪ エリクちゃん♪」
ありがとう。すまんな。こんな有様で。
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「よぉ大将~! よぉ~く! 顔出せたもんだなぁ!!」
めっちゃキレてるやん……。
「おい。姫さんはどうした?」
「……悪いなベルトラン。このコンテストは始めから仕組まれていたのだ」
「んなこたぁわかってんだよ!!」
「元はと言えばお前のせいだ」
「んだと!?」
「お前に魅力がないからだ。あの姫君はニコライがいいそうだぞ。つまりは私たちをも踏み台にするつもりなのだ」
「……んで。それをわかっててなんで大将が抱え込むことにしてんだよ」
「……魔王だからな。姫くらい攫うだろ」
「他人事だなぁ!!」
げっ!? 斬り掛かってきた!?
「やめんか! お前では勝てんとわかっておろう!!」
「だからって引下がれっか!! これ以上近衛の名を貶めるわけにはいかねえんだ!!」
デスヨネ~。
「待ちぃや! お二人さん!!」
アカネ!? 何故一人で戻ってきたのだ!?
『そりゃ戻ってきますよ。商会だって無事ではすみません』
デスヨネー!!
「どうせなら相応しい場所でやりや!」
「ふざけんな! これ以上見世物にされて堪るか!!!」
相当追い詰められているな。ベルトランらしくもない。幼い少女を相手に怒鳴りつけるとは。
「魔王様かてそらわかってる!」
それでも一歩も引かぬアカネ。凄い胆力だ。あの近衛騎士団長相手に……それも剣まで抜いているというのに、怯む様子もない。
「せやから代理戦争や! 魔王様が出るなんて大人げあれへん真似はせん! 勝ったら姫様も帰したる!」
なんだ? 次は闘技大会でも開くつもりか?
「カルモナド王国としてもこのまま引き下がるなんてわけにはいかん筈や!!」
まぁ~なぁ~……。国一番の美姫が妖精女王相手に大差を付けられて完敗してしまったのだし……。
妖精女王。そう名乗ってたもんなぁ。妖精王の伴侶だってバレてるよなぁ。
魔王と妖精王の関係ってどの程度知られてるん? その辺りもバレバレ? 知っている人もそれなりにはいるよなぁ。
「……」
あら。ベルトランったら真面目に考え始めちゃった。
「……おい」
私か。
「約束しよう。こちらの立てた代表者に勝利すれば彼女は返却する」
「……行け」
副団長に指示を飛ばした。流石にこの件をベルトランの裁量で決断するわけにもいかぬか。
「レティ」
「タマラちゃんが適任では? それ以下では手抜きだとバレてしまいますし」
知名度的にも都合が良さそうだな。
しかしタマラでは負けてくれるかどうか……。
「それでいい。受けてやる」
あらま。いいの? 勝手に判断しちゃって。
「本気でかかってこい」
めっちゃ燃えてる。やる気に満ち溢れている。
「すまんな。ベルトラン」
「うるせ」
ベルトランは部下たちを引き連れて去って行った。
おそらく着替えに戻るのだろう。奴だけ私服だからな。お忍びのリーゼシア姫に付き添って町を歩いていたからな。
しかしまたどうなるやら。カナレス商会の面目を保たねばならん。リーゼシア姫の件は祭りを盛り上げる演出の一環とでも思ってもらわねばな。
「旦那はん! ボサッとせんと! 会場作って!」
え? 私が? 無理だよ?
「母さんに頼もう。姉さん」
『はい♪ ユウコにも頼んでおきますね♪』
なんかそれっぽいの。ちょろっとでいいからさ。よろ。
「レティ。作戦会議だ。勝ってしまった場合のプランを決めておこう」
「はい♪ お姉ちゃんにお任せを♪」




