08-12.準備期間
祭りの準備が始まった。
パティは姫チームに加えてリタをも巻き込んで、急ピッチで計画を推し進めた。
しかし祭りはもう間近。良い場所は既に埋まっている。アカネの実家であるカナレス商会に手配を頼むったって無茶もいいところだ。
と、思っていたのだが。どうやら王家から横槍があったらしい。御上の鶴の一声で横取りしてしまったようだ。絶対恨まれるぞ。カナレス商会が。
パティはいったいどうするつもりなんだか。そもそも誰が口出ししたのだろうか。リーゼシア殿が言い出したんじゃ、計画に感づかれてしまうだろう。ベルトランやニコライはともかく、元第一王子の目は誤魔化せまい。
「ねえ~エリク~」
「右だ。シュテルにはそれが似合う」
「え~」
ユーシャ的には左が本命だったらしい。
「なら別に左でもいいぞ。どちらでも可愛いさ」
「む~」
結局どっちでも不満なのか。面倒くさい。
「片方はキャロちゃんに着せてみたらどうだ?」
「そうだね~……」
「ユーシャとおんなじの作ったるよ♪」
「できるの?」
「もっちろんや♪ うちに任しとき♪」
「じゃあそれで。ありがとう。アカネ」
「おおきに♪」
よしこれで決まったな。シュテルの浴衣。
「旦那はんはどない♪」
「私は……必要か」
変装と言い張れる程度には印象も変わるだろう。
「エリクも一緒」
「がってんや♪」
決まってしまった。いいけどさ。
「キャロちゃんも一緒でいいのか?」
「……うん。いい」
よし。偉いぞ。ユーシャ。最近頑張っているではないか。
『甘すぎではぁ?』
まあそう言うな。
『ふふ♪ 妹たちの成長はお姉ちゃんも嬉しいです♪』
『えらそー』
『ネルケ』
『よわっちい』
『のに』
『クルス~だめ~なかよく~しよ~』
『……』
『がってん』
ふふ♪ 仲良いな♪ お前たちも♪
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「へぇ~。お祭りね。ふふ♪ 私も行ってみようかしら♪」
「ええ。是非。母さんが側に付いていれば少しくらいは問題無い筈ですから」
「ふふ♪ エルちゃん来てくれるかしら♪」
「もちろんです。他ならぬアニムスさんの望みですから」
「なら楽しみにしているわ♪ あの子たちもね♪」
「ええ♪ 皆で行きましょう♪」
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「ふふのふ♪」
「アニタ? 何を企んでいるんだ?」
「なんだろうね~♪」
なんか最近怪しい行動ばかりなのだ。元々怪しいけど。
「シルクはどうした?」
「え~♪ ふふ♪ お遣いよ~♪」
本当に何企んでんだか。シルクが止めずに協力してるなら問題は無いのだろうけれど。
「楽しみにしていてね♪ あなた♪」
まいっか。アーちゃんがご機嫌で何よりだ。
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「主様!」
ご機嫌斜めなソラが飛んできた。
「なんで会いに来てくれないの!!」
「毎日会ってるだろ。食事の時に」
「部屋に来てよ! 今から行くよ!」
あらま。積極的ね。
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「「シクシク……」」
「何故泣く?」
折角可愛がってあげたのに。
「「こんなの(主様 / クーちゃん)じゃない!」」
また言われた。
「ボクだって……ボクだってぇ……」
ファムが泣きながら押し倒してきた。これ私は何もしない方がいいやつっぽいな。
「我だって負けないもん!」
ソラも迫ってきた。好きにさせてやるか。私も十分楽しんだし。
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「「いいな~ずるいな~」」
箱庭生活がおじゃんになって皆不満を抱えていたようだ。
「いずれ必ず補填はするさ。もう数年の辛抱だ」
「なら毎日通って」
「無茶言うな。三十人もいるのだ」
「クーちゃん増やしすぎ」
「不満ならパティを止めるといい。まだ増やすつもりでいるぞ」
というかもう二人増えたし。バレンシアとフェリシアも眷属にしちゃったし。一旦帰したけど。色々工作せねばならんからな。
「止まるわけないじゃん」
ごもっとも。
「ソラ君! ボクたちで作ろうよ!」
「やる!」
ダメだってば。
「アウルムに協力させる!」
マジで作っちゃいそうじゃん。
『神の作ったものでなければぁ~問題ないのではぁ~?』
『そうですね。テミス叔母様が禁じられたのは主様による製造のみではないかと』
ダメだってば。二人も知恵を貸したりしないでよ。
『『がってん♪』』




