その4
休日の昼。いつもよりもおめかしをして待ち合わせ場所に向かおうとしたら、少し時間に遅れてしまった。
噴水広場には、すでにスラリとした長身の女性がサンピを待っていた。
「ごめん、待った?」
「ん? いま来たとこ」
いつも通りコッパはそっけなく答えた。
研修期間が終わってそれぞれの持ち場に配属されてからもサンピとコッパの交流は続いた。いや、より親密になったと言っていいかもしれない。
メイドと騎士。お互い仕事も違うし性格も正反対と言えたが不思議と二人はウマがあった。休みのタイミングが合えばこうして二人でよく外出もした。
「気になるお店があるんだよ、行ってみない?」
二人の外出はいつもこんな感じだ。予定など組まずに集まり、その場のノリで行く場所を決める。そのノリもたいていサンピが決める感じでコッパは後をついていくだけという感じなのだが。
そんないつもの楽しいお出かけだったなずなののだが――
「ねえねえお姉さん。おれたちと一緒に遊ばない?」
この一言で台無しになった。普段はコッパが一緒にいるのでこういうことはないのだが、たまたま彼女がトイレに行っているタイミングだった。
間が悪い、とはまさにこのことだ。
「いえ、間に合ってます」
「そういうこといわずにさー、いいでしょ? 絶対楽しいよ?」
断っているのに空気の読めない男たちはグイグイ距離を詰めてくる。
「行かないって言ってるんです! 友達を待たせてるんで!」
強く言ってその場を離れようとした時、男の一人がサンピの腕をつかんで彼女を引き寄せた。
「だったらさー、その子も一緒に楽しもうよ。大丈夫。おれたち多人数でも楽しめるから」
男たちはゲラゲラと笑う。何が楽しいのだろうか。
「痛い! やめてください! 離して!」
必死に振り払おうとするが、男はサンピの手を力任せに掴んで離そうとしない。
男の醜悪な顔がサンピに近づいてくる。
「それじゃ、行こうか、可愛い子ちゃん。どのホテルにする?」
「ギャハハハ! こいつ、下心丸出し!」
「うるせー。お前らも一緒のくせに」
男たちが何やら騒いでいたようだが、サンピの耳には全く届いていない。
楽しいお出かけのはずだったのに、どうしてこうなってしまったんだろう。
「助けて、コッパちゃん……」
言葉とともに涙がこぼれた。




