その2
「…………さん。サンピさん!」
「はっ!」
「大丈夫ですか、サンピさん?」
気がつけば、サンピは王宮内部の広場にいた。あのコッパと出会ったデッドスペースからほど近い、今は崩れてしまった中門の近くだ。
壊れてその役目を果たさなくなって久しい噴水の周りに集まっているのはこの世界の人々。その中には理性をなくしてアサヒたちの部屋の前まで来た者も、サンピとともに王宮までアサヒたちの加勢に来た(そしてその後理性を失ってエクリプスに襲いかかった)者もいるだろう。
「えっと……どこまで説明しましたっけ?」
「もう、聞いてなかったの?」
「すいません」
隣に立つ全身鎧に頭を下げる。その向こう側に立つアサヒが教えてくれた。
「コッパさんがセト王を倒し、新しいこの世界の『コア』になったところまでです」
「もう王の目覚めを恐れる必要がないんだよな?」
「そういえば、ここしばらく鐘の音を聞いてないぞ」
「もうずっと自分のままでいられるってことか?」
王宮の襲撃に参加した者がそうでない者に伝えると少しずつ状況が伝わっていって、やがてそれは歓喜に変わっていった。
「それで、おれたちを集めたのはどういう用件でなんだ?」
男のその言葉によって周囲に広まっていたざわめきが引いていった。
「はい、今日はこの世界がどうあるべきか、方向性を皆さんと共有しておきたくて集まっていただきました」
「方向性?」「どうあるべきか?」
再びざわめきが起こった。今度は困惑のざわめきだ。
「説明の必要がありそうね」
リアが一歩前に出ると、一同はその漆黒の全身鎧に注目した。
「今、この世界の『コア』がそこにコッパにあることは説明したわね? それで、その『コア』にはこの世界の『属性』――わかりやすく言うと特徴が書き込まれているってわけなのよ」
「特徴って言うと、住民はみんなアンデッドってこととかか?」
「そう、そのとおり!」
リアはそう言った聴衆の一人を指さした。
「この世界はこれまでセト王の決めた『属性』に従ってみーんなアンデッドになっていたってわけよ」
「そのセト王が倒されたから自由に『属性』が変えられるってことか?」
リアは軽く頷いた。
「半分正解って感じかしらね」
「半分?」
「どんな属性にもできるわけではないってことよ。例えば、地面を掘ればお金が出てくるとか何もしなくても食べ物が出てくるとか」
「そりゃそうだ」
はははと笑う聴衆たち。似たような世界があったことは言わないほうがいいだろう。




