その5
ごぉーん、ごぉーん。
「な!? ど、どうして……!? 王が目覚めるにはまだ二時間以上あるはずよ!」
しかしその音はどう考えても王の起床を表わす鐘の音だ。
「あっ、そ……そうか!」
「何かわかったの、アサヒ?」
それはしごく当たり前のことだったのだ。
「誰でもそうなんだよ。枕元で大騒ぎされたら目が覚めるよ……!」
「そ……そんな……」
王が目を覚ました。それはつまり、アンデッド達の理性が失われたということにほかならず――
「ぎゃあああああああああああああ!」
背後でエクリプスの悲鳴がこだました。
「エクリプスさん!」
アサヒが引き返そうと踵を返したところ、リアがその手を掴んで引き寄せる。
「リア! エクリプスさんを助けないと!」
「落ち着きなさい!」
リアはアサヒの胸ぐらをつかんで鉄仮面の前に引き寄せる。
「あいつはそう簡単にやられる女じゃない。あたし達は予定通り王の所へ行くわよ」
「でも……!」
「よく聞きなさい。今戻ってもあの女もろとも数に押しつぶされるだけ。なら一刻も早く王を倒すべきよ!」
確かにリアの言う通りだ。王を倒せば住民達の理性は戻るし、騎士だって降伏するかもしれない。
アサヒは鉄仮面を見た。その奥で真剣な眼差しがこちらを見ているように思えた。
「わかったよ、リア。王を倒そう」
「わかればいいのよ。さっさと王を倒すわよ!」
二人はそのまま王宮の最奥部まで走っていった。




