奪回1
あけましておめでとうございます。
お正月集中連載と題しまして、1/1~1/5まで毎日連載の予定です。
「……わかったぞ。やっと吐いた」
少し疲れ気味な様子でディアスは扉を開けた。
「小惑星H25だ。向かってくれ」
「ステロイドベルトか」
リスター老のシャトルの中。
ディアスの言った惑星名の位置を確認すると、同乗していたサム・ローマンが他の乗組員に知らせた。 というより、他人の船にヘルメス号クルーが間借りしていると言った方がいいだろう。今まで落ち着いて本を読んでいたマイクがふと顔を上げ、ディアスを見た。
「キャップ。やっと終わったのかい?」
「ああ。それが? ……おいおい、そりゃあ、やりすぎじゃないか?」
キャップが頷くのを見たマイクが耳栓を外すの見て、ディアスはついつい大声を出した。その脇をすり抜けて、ドクと2、3人の男たちが部屋に入り込み、よろめいたディアスを横目に見てマイクは言った。
「やりすぎなもんかぁ。随分手痛い目に合わせたらしいな。いくらやつらの一味だからって、ちょっと酷すぎやしなかったかい? そっちがドタバタやってる間、アレックスが飛び込んで行きたがって困ったし、相手が悲鳴あげるたびに応急キット抱えてドクが飛び込むのを止めるのに困ったんだ。そしたら僕としちゃ、耳栓して黙殺するしかないじゃないか」
「ないじゃないかって、なぁ、おい」
「そうだそうだ! キャップは横暴だ!」
拗ねたようにアレックスが喚いた。
「ちっとはこっちにも出番よこせ! いつまでもメンテナンス屋とギャグメーカーじゃやだ! こんないい男ほっとく手はねえだろう!? 主人公の地位ぐらいポンとよこせ!」
「……お前、それ誰に言ってんだ……。そうだ、アレックスで思い出した」
「ギク」
キャップの言葉に、アレックスは胸に手を当ててそう言って見せた。
「なんだよ、それ。おいお前、ハワードの故障直したろ? そんとき変なもん見つけなかったか? これくらいの四角い機械らしいんだが」
「あったっけかなぁ……。それがどったんです、キャップ?」
「どうしたもこうしたもねぇ。やっこさんがぽろっと漏らしたところによると、そのせいでハワードはむざむざとヘルメス号を奪わせたらしい。知らないか?」
「ちょぉっと待ってくださいよ……」
少しマジになってアレックスが考え始めると、ドアが開いた。
さっき駆け込んだドクと2人の男たちが、治療を済まして包帯でグルグル巻きになった男を担架に乗せて医務室へと運んでいった。三人の間に沈黙が降りた。そしてマネージャーと船長の会話。
「……ちょっと……やり過ぎたんじゃないか……?」
「……そうかい……?」
*
惑星国家アラハン。アレキス星系中心部に位置する惑星……第1惑星である。
周りをぐるりとアレキス星系政府に取り囲まれたこの星が、国発足以来700年間今まで併合されなかったという事実は多くの歴史家の興味を引いている。それについての定説は未だにはっきりしていないが、有力なものは二つある。
一つはアラハンより産出されるウィトゥリアンに寄る経済力がバックにあるという説である。
ウィトゥリアンはアラハン原産の鉱石で、他の星系惑星には一切見つかっていないという珍しいものである。
その色と輝きから、その精錬されたものは昔からアクセサリーの原料とされていた。今でも対外輸出額の4/5はウィトゥリアン製のアクセサリー、または鉱石の精製品である。最近はラッキーグッズとしての評判も高くなったため、この先どんどん増えることは目に見えている。
二つ目としては地理的要因である。
元々アラハンは大昔(それは約30000万年ほど前と言われている)は第2惑星であったのだ。ところが、まだ原因は分かっていないが、突然第1惑星と第3惑星が爆発したのだ。時間的には第1惑星の方が爆発は先であったと言われる。
今、その二つの惑星があった位置には多数の小惑星が取り巻いている。恒星に近い方からカロチノイドベルト、ステロイドベルトと呼ぶ。この二つが他の惑星からは攻めにくく、守る側には基地を作りやすいという得点を持っている。
しかし今の状況では、この小惑星も反乱軍等の隠れ基地に利用されるという皮肉な状況になっているのだが。




