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ファイターズ11

 インナーヴィジフォンから向き直ったグリフォンに部下の一人が尋ねた。


「あのジプシーを捕まえやしたんで?」

「まあな」


 そっけないグリフォンの返事にスネイクの冷たい音声がダブっていく。


「空圧OK、計器おーるぐりーん、てすとろすえんじんOK、こんぴゅーたーるーむ異常ナシ……」


 そしてその音声に歩き回る部下達の足音がBGMを添える。

 ここはヘルメス号指令室。しかし本来のクルーは一人もいない。


「ボスが無傷で手に入れろと息巻いてた理由が分かったような気がしますぜ。確かにいい船だ」


 いつもはマイクが座っている席にいる男が言った。


「あの頃には人工知能は載せてなかったにしろ、やはり良い船だ」

「あたりめーだ」


 熱っぽいセリフを冷静な一言で止められた部下は一瞬きょとんとしたが、何とか持ち直して言った。


「しかし兄貴、あれだけボスが大騒ぎしてた割にはどっか抜けてるんじゃねーですかね、奴ら。こんな簡単にのっとっちまえるなんてよ」

「奴らが抜けてんじゃねーよ」


 グリフォンは当たり前だというように言った。


「うちのボスがずば抜けてんのさ」

「兄貴が、でやんしょ?」


 媚びるように一人の部下が言った。


「聞きやしたぜ? 前のヘルメス号襲撃と今回の乗っ取りは兄貴がボスに提案しやしたと」


 グリフォンは無視するかのようにスクリーンに見入っていた。


 確かに彼の献策だった。それをここまでに仕上げたのは彼のボスではあるが。


「つまりは陽動作戦なんすよ、ボス」


 そうグリフォンは言った。


「船内を引っ掻き回した後、爆弾を仕掛ける。しかもそれを発見させなきゃならねーんです。つまり、俺らの目的がそれだと奴らに思わせなきゃならんのですぜ」

「……ブラックボックスは?」

「すでに完成しておりやす」


 黒ひげが言った。


「この”スネイク”は一度コンピューターに取り付けると、人工知能の知らないうちにプログラム内に侵入し本体の一部であると思わせ、コンピューターウイルスを発して本体を乗っ取ってしまう。つまり、人工知能体“スネイク”にしちまう。このブラックボックスが壊れねえ限り元に戻ることもねえ。ま、壊すこと自体無理だからな……」


 ヘルメス号をだけでなくクルーも襲うこと言い出したのは、ボスであるヴェルドゥだった。


「やられるなら、それだけのやつということだ」


 そうヴェルドゥは言った。


「お前らが行くことはない。切り捨てられるやつ、始末したいと思うやつを使え。そいつらでやられるなら……」


 司令室のドアが開くと、セラを担いだ数人の男と鎖手のジョーンズが意気揚々と入ってきた。


「どんなもんです、兄貴。いけどってきやしたぜ」

「その辺に置いておけ」


 そう言いながらグリフォンは顎で示して見せた。


「起きないように睡眠薬を染み込ませたガーゼを顔に乗せておけ。殺さないよう分量に気をつけろ」

「へい」


 ゆっくりセラの身体が床に横たわると、今まで続いていたスネイクの声も終わりに近づいてきた。


「……以上オールグリーン。命令ヲ、マスター」

「発進する」


 スクリーンを見つめたままグリフォンが言う。


「目的地はアラハン内小惑星H-25」


 そしてスネイクはお決まりの台詞を言って見せた。


「……イエス、マスター」



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