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ファイターズ6

 巨大な爆発音と連続する攻撃の中、ヴェルドゥの計画は着々と実行されていた……彼の部下においては。


 全景を見てみよう。

今、彼らはアレックス、キャップを中心にして囲み北への方角だけを開けている、いわゆる馬蹄形の形で北に追い上げているといったところだ。

 普通に考えてみれば、集中砲火を浴び続けてもう随分な時間が経っているし、人質がいる方向ということから人のいなくなった北へと進むのが誰でも予想できるところだ。しかし……彼らは普通だろうか?


 二人は北を囲んでいた敵がいなくなったとみてとるや、いきなり反転し戦車重装兵団に……突っ込んできた。ええっ!?

 そして、マイクのことなと忘れたように敵さんと遊んでいらっしゃる。無論、幼稚園のお遊戯などの比ではない。怪我人は重傷者ばかり。運の悪い方は死んだかもしれない。


「……よっ-(この間10秒)ぽど人望がないんだな、あんた」


 ロビンソンがマイクに言った。確かにマイクを助けようともしないところをみると、そう思われても仕方がないかもしれない。


「……まあ、喧嘩好きだからね。二人とも」


 しみじみというマイク。その不幸な境遇にロビンソンもホロリときたらしい。


「あれでも本当に仲間かよ」

「あ、やっぱりそう思うかね?」

「思う思う。敵の俺さえそう思っちまう」

「なら、あいつらをコントロールして一生懸命商売に励んでいる僕の気持ちが分からんでもないだろう? そう思うんなら縄を解くとか、コーヒーを一杯持ってきてくれるとかしてくれないもんかなあ」

「お前なあ……」


 自分の立場ってもんがわかってねーな。ロビンソンが複雑な表情をした時だった。


 どこからか一筋のレーザーがマイクとロビーその間を貫いた。


 ブラスターだ。

 ロビンソンは咄嗟に倒れこみ、転がって撃ってきた方向を見た。

 ロビンソンの運が良かったのか、打ってきたやつの腕が悪かったのか。二人とも怪我はなく、ただロビンソンの制服が焦げただけだった。

 二人の間に沈黙が漂う。ただ、やってくる来訪者の足音だけが響く。

 誰かが山の裏側、キャップたちが暴れていない方の斜面を登ってきた。縛られているマイクには死角の位置だ。その手に握られたブラスターは、ロビンソンを狙っている。


「……今すぐは無理ですけどね」


 ブラスターを持った男が言った。


「一アワーズ待っていてください。ヘルメス号に帰ったらすぐにコーヒー、入れますから」

「ドクか!」


 声を聞いたマイクが男にそう呼びかけた。果たして彼はドクだった。

 ドクはまだ倒れているロビンソンの側にしゃがむと、銃を突きつけて行った。


「すいませんけど、ナイフ貸していただけませんか。持ってくるの忘れてしまって……。おかげでマイクのロープ、切れないんです」


 ……ロビンソンは、口をきかないことでこの乱入者に立ち向かうことにした。

 こっちはうつむきに寝転がり、そして銃口を向けられている。それでも消極的と言っても抵抗することにしたのは、彼の男の意地のなせる業であろう。

 それはドクにもわかった。ふぅと一つため息をつくと話を続けた。


「ちなみに、私は医者です。それがどういうことかというと、人の急所をよく知ってるって事なんです。即死なら頭か心臓。お腹なんかに当たったら簡単に死にませんから苦しいですよ。……で、どこがいいんですか?」

「ばっ、馬鹿野郎! どこもいいわけねーだろ!」

「そうですか。なら、早くナイフを出した方がいいね」

「……鮮やか」


 ロビンソンから差し出されたナイフを受け取るドクに、ふとマイクは呟いた。ドクはニコッと微笑みかけて、縄を解いた。

 縛られて痛くなった体をさすっていたマイクは、ふと何か思いつくと、まだ暴れまわっているバイクと戦車を指差して言った。


「……じゃあ、あれは、陽動部隊なのか!」

「正解です。なんといってもうってつけですから、あの二人は」

「戦車は乗っ取ったとして、あのバイク、どうしたの? まさか……」

「……本人の言によりますとね、”道を歩いていたら一人で寂しそうだったんで、ナンパしてきた”んだそうです」

「……早い話、盗んだのか」

「……そうらしいですね」

「……あ~、で、二人にはどうやって知らせるんだい。無事救出のこと」

「無線がありますから、それで」

「無線? それはまた……聞きたくないなぁ……どこから?」

「実はあまり言いたくないんですが……ハイヤーが借りれたので、要らなくなったロボ・タクシーをばらしてアレックスが……」

「……」


 二人が救われ難い会議をしている間中、ロビンソンはずっと寝転んで二人を眺めていたわけではなかった。

 まず、ブラスターを確認した。そしてブラスターが使えなくなっていたことに気づいた。服を焦がしただけと思っていたが、どうやらブラスターの部品の一部をかすめたらしい。爆発しなかったのが儲けものでたった。少しとはいえ確実に使用不可能にされている。


 奴……できる、とロビンソンは思った(まぐれ当たりとはてんで考えなかったらしい)。


 とすると、一人で賊を取り押さえて人質も確保するということは、俺にはできそうもないな。そうすると、他の奴らに知らせるべきか。えーと、なんて言ってたっけな、あの片目の人は。そうだ、ブラスターを地面に、だったっけ。ブラスター……使えないぞ。


「……まあ、ここでぶつくさ言うのもなんだ」


 複雑な表情でマイクが言う。


「無線貸してくれないか。奴らに何か言ってやらなきゃおさまらん」

「いいですよ。えーと、どこにしまったかな……」


 無線を探すためドクが懐に手を入れた時だった。

 いきなりロビンソンが立ち上がり、ダッシュしたかと思うとドクの背中にぶつかった。


「わぁっ!」


 ドクが起き上がろうとしている間に、そしてマイクが呆気にとられている間に、ロビンソンはブラスターに飛びついた。


「南無三!」


 そう叫んでロビンソンは地面に向かって引き金を引いた。


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