ファイターズ4
一方アレックスは、そうとも知らずにご機嫌だった。
なんといっても日頃の運動不足は解消されるし、ストレスもすっきりなくなる。
何だ、キャップもこんなにビビってんのかよ、なっさけねーの。キャップも歳には勝てねえのかね、と考え始めていた頃だった。
突然目の前に現れたのはバズーカ。オメス式爆弾、ロケットランチャー、レーザータンク、 ETC、 エトセトラ……。今までのレーザーライフルを持った兵士と大違い。大体バズーカーとかそういうものは、対戦車戦の時に使うもので……。
危機一髪!
爆風を上げて2アムル横にバズーカーの玉が落ちた!
これを回避できたんだからなんて俺っていい男……とか言ってる場合じゃねえ!
ついにアレックスは兵法三十六計中一番いい方法を思いついた。
すなわち、逃げるべし!
一番近くの戦車にアレックスは突っ込んでいた。こういうものは近くに行けば行くほど攻撃しにくくなるのだ。キャタピラーの真横で車体を斜めに倒し、方向転換をする。攻撃の手の一番弱いところをつけば、突破できるぞ!突破……!
アレックスは一瞬真っ白になった。
あっけにとられた。
呆然となった。
ゴーグルを上に上げると動けなくなってしまった。
すでに東西南北四方八方、ありのはい出るすきもないほどの戦車の群れ。隙間には重装備の歩く装甲車のような兵士が配置されている。
「……ちょっとオーバーなんじゃねぇですかい?」
ふとそうつぶやいたアレックスに対する返事はすぐ隣から来た。バルカン砲の雨あられとして。
レーザーしか戦車にはないと思っていたアレックスの落ち度だった。必死のところを掠めるだけに止めたアレックスだったが、その銃声が攻撃の口火を切ったのだ。
タップダンスか、雨霰か。次から次へと砲弾が降ってくる。
「ひえええええぇっ!」
さすがのアレックスも避けるのに必死で逃げ出すことなどできやしない。ヘルメットに手を伸ばし、無線のスイッチを入れるとキャップに呼びかけた。
「キャップ! キャップ、遅いぞ! 宇宙一優秀なメカニックを見殺しにしたらなあ、ヘルメス号は二度と飛ばねえんだぞ、こんちくしょうめー!」
「こちらディアス」
アレックスとは打って変わって、のんびりしたキャップの声が返ってきた。
「さっき戦車を乗っ取ったんだが、どうやらバルカン砲がいかれちまったらしくてなぁ」
「バルカン砲なんて大して使わないでしょうが! レーザーさえ生きてりゃ……とと。後で後悔してたって知らねえですぜ! 早く来てくださいよ! 頼んます!」
「だがねぇ、この運転難しそうだぜ? あと3ミニッツ待ってくれねえか? その間にマスターする」
「3ミニッツぅー!? ジョーク!! ……わかりやしたよっ! キャップからの借金1500クレジット、返すから早く来いっ!」
「すぐ返すか?」
「返す、返す!」
「了解。すぐ行く」
戦車のコックピットの中。ニヤニヤ笑いをさらに顔に広げていくと、レバーに手を伸ばすキャップだった。




