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ファイターズ3

 地形を説明しよう。


 ヴェルドゥたちがテントを張っている所は、ゴルゴダの荒野の中でも山脈の斜面に当たる。一番高い所にマイクは縛られているわけだ。古典的に土に挿した木の杭に縛り付けられている。

 南に向かって下がっているので、街の方からくる三人は斜面を登ることになり苦しい戦いになる。

 マイクのいるところは一番高いところなので相手の防衛体制がよくわかる。縛られていては何ともならないが。


「ふむ。兵法の理には合っているな」


 マイクのそばには先ほどの少年が一人いた。マイクのセリフでそれまでビクビクしていた少年、ロビンソンはかえってむかっ腹を立てたらしい。


「うるさいんだよな、おっさん。人質だっていう自分の立場わかってないだろ、あんた。いい加減にしろよ」

「猛り狂うな、少年よ」


 茶化すように言うマイク。


「ここまで年季が入ると物事に余裕というものが出てくるものでね」

「少年とは何だ。俺は22だ」


 途端に爆発音が被さってくる。

 さっきからの爆発がだんだん近くなってきていて、お互いの声が聞き取りにくい。


「は? なんだって?」

「にじゅうに! だ!」


 さらにかぶさる爆発音。


「……まあ、人の歳を聞いたって面白くもないし」


 マイクは平然と言ってのけた。


「あ! テメー! 最初っから聞こえてたんだろう!」

「さあね」


 マイクは視線を正面から戦いの前へと向けた。


 地雷でも埋めてあるのだろうか。だだっ広い荒野から突然火柱が立ち昇る。

 それをかいくぐり走ってくる一台のオートバイがあった。今こちらの方面で若者に人気のあるオートバイの中でも一番を誇るビッグワンであることがマイクに分かったのは、マイクの目の悪さから言えば奇跡であろう。

 華麗なテクニックで地雷原を抜けると、ヴェルドゥの軍から約100アムル先でそのバイクは止まってみせた。黒光りするボディが火柱に映えて美しく見える。


「よく来たな、この大バカ野郎!」


 ヴェルドゥの軍から黒髭の男が怒鳴った。


「大馬鹿野郎はどっちかな」

「な、何ぃ!?」


 落ち着いた声音を返されうろたえる相手に構わず、バイクの男はヘルメットのゴーグルを指で上に跳ね上げ、ビシッと敵の軍団を指さした。


「俺が来た事がお前らの地獄行きの第一歩だ! 今更後悔しても遅いぜ!」

「だ、誰だ、お前は!?」


 その声を待っていたかのように、バイクの上の男はオーバーに腕を振りながら言ってのけた。


「天呼ぶ! 地が呼ぶ! 人が呼ぶ! 悪を倒せと俺を呼ぶ!

ズバッと参上! ズバッと解決! 

人呼んでさすらいのヒーロー! 快傑っ! アっレーックスっ!」

「……あれさえなけりゃいいやつなんだが……」


 マイクのつぶやきはアレックスには聞こえたかどうか。

 当の本人はゴーグルをおろすといきなり敵中に突っ込み、相手を蹴散らしてしゃにむに走ってくる。


 敵は2、3人。相手になろうと走り出していったが、アレックスが来るとすぐに引いていった。

 次に5~10人が突っ込んでいき、引いていく。

 向かって行こうとしては引いていく。


「あちゃ、いかん。このままだと彼奴めの術中にはまるぞ」


「舌打ちしていうマイクの言葉が、ロビンソンにはわからなかった 。


「え?」

「君にもわからんのか。

アレックスは乗りやすい所があるから、ちょっと出ては引く、ちょっと出ては引くを繰り返されれば、弱いやつと頭に乗ってますます突っ込んでくる。

そしていつのまにか魔王の住処へと案内され、逃げようとした時にはもう遅い。あとは地獄への直行便さ。

ああ、どんどん突っ込んでくる。あいつに頭脳プレーを期待する方が無理なのかなぁ……」


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