教室。
学校に着いたあともずっと考えていた。
今日は、授業の内容がまったく頭に入ってこない。
あのことがずっと頭の片隅にある中、
隣の席の小春が心配して声をかけてきた。
「ねぇ、大丈夫?」
「ちょっと顔色悪くない?」
「ねぇ?聞いてる?」
「ねぇ!」
小春が声を大きくして私に話しかけた。
「うるさいぞ柴田!」
授業中に話かけているため、当然怒られる。
「すみません、先生......」
私は、それを見て少し笑った。
「ちょっと万代のせいで怒られたじゃない。」
「ごめん、ごめん。」
そんなことがあってようやく、放課後になった。
「ねぇ、万代」
「ん?なに?」
「なにじゃないよ!さっき、あんなに無視した癖に。」
「ごめんごめん。」
「なんか悩み事とかあ」
「ないよ。まったく。」
小春の言葉に食い気味に反応してしまった。
「そう。それならいいんだけど。」
「そういえば、借りていた漫画の話なんだけど。」
小春はよく私に漫画貸してくれる。
というより、席替えをして隣になった私との、
共通の話題がなく、漫画を読まされている。
「そうそう。どうだった?」
「おもしろかったよ。」
「そっか。じゃあ、また漫画貸すね。」
「え?また?」
私と小春は部活に入っていない。
なので基本、放課後はこうして、漫画の感想を交換している。
「具体的にどんなところが好き?」
「そうだね、特にキャラクターの心情描写が明確に書かれていたのが良かったかな。」
「そうそう!分かってるじゃん!」
今日の話はいつもより、白熱して、気がついたら5時30分。
最終下校時刻を告げるチャイムが鳴る。
電気が消えていた教室は、すかっり夕焼け色に染まっていた。
でも、小春との会話の中でもあの手の事を忘れられずにいた。
「じゃあ帰ろうか。」
私がそう切り出すと小春はそれを静止した。
「ねぇ、話があるの。」
小春が改まって私の方を向いた。
「実は、私、万代のことが」




