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罪過を綴る  作者: asahi
中学生編。

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15/20

薄闇

「制服、洗濯してしまったわよ?」


そう、小春のお母さんは僕に告げた。


「洗濯に出てたから、今日は泊まっていくのかと思ったのよ。」


「…」


「…」


「僕は、どうやって家に帰ればいいんでしょうか。」


「別に、そのままメイド服で帰ればいいんじゃない?」


小春が僕を嘲笑する。


「問題ないなら父さんの服を貸し出してもいいが…」


「やめて。」


小春が、素早く反応した。


「…酷い。」


「あ〜、違う違う!サイズが合わないんじゃないかなぁ〜って。」


流石にマズイと思ったのか、すぐに言い訳をした。


「ふふ。夕日くんさえ良ければ家に泊まっていってもいいのよ?」


「はい。お言葉に甘えて、是非お願いします。」


メイド服で帰りたくなかった僕は、食い気味に反応してしまった。


失礼ではなかっただろうか。


「ふん!仕方ないから泊まらせてあげる。」


「小春ったらね〜、本当は泊まって欲しいんでしょ?」


「ち、ちがうよ!」


「あ!私、お布団の用意してくる!」


「はいはい。分かりました。」


そう言って小春は部屋から出ていった。


「も〜。小春ったら、食器も片付けていかないで。」


「あ、僕が運びます。」


「ん?いいのよ、お客さんはくつろいでいて。」


僕が、食器を片付けようとするのを制止した。


「あ!夕日くん。ご両親に連絡しないとだね。」


小春のお父さんがそう僕に言った。


「そうですね。何か、電話出来るものを貸していただけますか?」


小春のお父さんが僕にスマホを貸してくれた。


「ありがとうございます。外で電話してきます。」


僕はなるべく音を立てないように玄関から外にでた。


「…」


知らないんだよなぁ。


両親の連絡先なんか。


それに、家にいなくたってバレないから連絡しなくてもいいか。


足がスースーする。



僕は頃合いを見て、小春の家に戻った。


「どうだった?夕日くん。」


「はい!泊まってもいいとのことでした。」


「今日は厄介になります。」


「厄介だなんて。今日は、賑やかになるな。」


「はは。ありがとうございます。」


「そうだなぁ。何して、遊ぼうか…」


「だめだよ、お父さん!」


後ろから小春の声がした。


「夕日は私のものなんだから。」


「お〜すまんすまん。あんまり、うるさくしたらダメだぞ?」


「うん!分かった。お父さん。」


明るく小春は返事をした。


本当に微笑ましい雰囲気だな。


「っけ、僕は別にいいなんて言ってないけど?」


春輝くんが不機嫌そうに口を挟んだ。


「春輝〜?また、お姉ちゃんに怒られたいの〜?」


「別に…そんなんじゃないし。」


小春の怖い一面を知っているからか、すぐに静かになった。


僕に対しては、女装させたけど、春輝くんにはどう怒るのだろうか。


柔道技で押し倒すのか、それとも強く叱るのか、


「夕日、お風呂先いいわよ。」


「あ、うん。分かった。」


僕の、何気ない考えは小春の声で簡単に中断された。


「お風呂こっちだから。」


「うん。」


僕たちは、お風呂場まで移動した。


「着替えは、これね。あと、バスタオルはこの黄色の。歯磨きはこの青いのね。」


「うん。ありがとう。」


「じゃあ、ごゆっくり。」


そう言って小春は脱衣所を出た。


僕は、重々しいメイド服を脱いでお風呂に入った。







今日はやけに、疲れたな。


湯船に浸かりながら、一日を振り返る。


思い返してみれば、色々な事が起こった。


小春とコンビニに行って遅刻して怒られて。


それで、小春に手を握り潰されて。


春輝くんに会って。



嫌われてはないよね?多分。


なぜだか、小春に怒られて。


渾身のギャグもスルーされて。


メイド服を着て。


ご両親に会って。


いま、家に泊まっていると。



よくよく考えたらここまで小春は計算していたんじゃないか?


ご両親が帰ってくる時間だって分かるはず。


それなのに、メイド服を着せた。


それに、僕の制服が洗濯されていたのも、きっと小春の仕業だろう。



敵わないな、小春には。


そろそろ、上がるか。


僕は、体から水を切ってお風呂場からでた。


タオルは、確か黄色だったかな。


黄色のタオルを取って、体と髪を拭いた。


服は…これか。


なんか、少し可愛らしいデザインだな。


サイズはぴったりかな。


よかった。着れる服があって。


このままじゃ、ずっとメイド服で過ごすことになっていた。


ドライヤーはないな。


次は、歯を磨いて、


…コップはこの、紙コップかな?


よし、終わり。


僕は、小春の部屋へ向かった。


「あがったよ。」


「ん。こっち来て。」


小春は既にドライヤーとヘアオイルを持って準備していた。


脱衣所にドライヤーがなかったのは、これか。


今日一日、小春のペースだな。


小春は初めに、手をヘアオイルで馴染ませた。


小春の匂いだ。


なんて、考えている僕は少し気持ち悪い。


ヘアオイルをコームで馴染まされ、ドライヤーで髪を乾かされた。


ドライヤーで、小春の匂いが部屋中に広がる。


「ちょっと。前髪。」


「私しかいないんだから。いいでしょ。」


「…うん。」


「あ、服のサイズは大丈夫だった?」


「うん。大丈夫だったよ。」


「それ     のだから。」


「ん?なに?」


ドライヤーの騒音で小春の声がかき消されて、よく聞こえなかった。


「それ、私のだから。」


「!!!」


耳元で囁かれたのと、告げられた衝撃の事実に僕の体が過剰に「ビクッ!」っと反応した。


こんなの、まるで小春に。


「私に抱かれているみたい。かな?」


「ち、ちがう!」


「え〜、図星でしょ?」


「…う〜。」


俯いて、照れている顔を見られないように抵抗した。


早く終わってくれ。と思っても僕の長い髪がそれを許さない。


今以上に、この長い髪を恨んだことはなかった。







「歯磨きは?」


「もう、終わったよ。」


「じゃあ、先寝てていいわよ。」


「え?」


「え?って何よ。」


「もしかして、もっと遊びたかったの?」


「うん。少し。」


「それなら、漫画とか適当に読みながら待ってて。」


「分かった。」


小春はそう言ってお風呂に行った。


漫画か。


そういう気分でもないな。


布団で待っているか。





眠いなぁ。


起きてないと……


僕の意に反して、意識は深い眠りについた。









ん?


寝返りをしたとき、何か固いものに当たって僕は目を覚ました。




小春との約束を破ってしまったか。


当たった固いものなんかより、そのことに意識がいった。


慎重に確認すると、それは。










小春の頭だった。


「うわ!」


反射的に声が出た。



起こしてはいないか。




少しくらい触ってもいいかな。


少し大きな声が出たが、小春が起きる気配はない。


少しくらい。いいよね。


抵抗しない小春の体に僕は手を伸ばした。

























「いつも、ありがとう。小春。」


僕は、小春の頭を優しく撫でた。



















「どういたしまして。」


小春の目は開いていた。


「…起きてること知ってたし。」


「嘘つき〜。」


「嘘じゃないもん!本当だよ。」


「ふふ。夕日のことなら、何でも分かるよ。」


「…ズルい。」


「意気地なしだね。てっきり、体でも触るのかと思ってたのに。」


「そんなことするわけないだろ!」


「や〜い、童貞。」


…こんなこと言うなんて、小春は誘っているのか。


薄闇の中で目が慣れてきて、


小春の顔がはっきり、見えるようになった。


「小春?」


「なに?夕日。」


「そういうつもりで来たんだよね?」


「…さぁね。」


「…僕だって、小春の考えていること分かるよ。」


「エッチ。」


僕は、小春の腰に手を回して、自分の体に押し付けた。


その時偶然、僕の手が小春の素肌に当たった。


「キャッ!」


「ワザとらしい声だね。」


「バレてるか。」


「でも、可愛いかったよ。」


「バカ。」


小春の素肌に触れたのは、今のが初めてかもしれない。


2人の間に長い沈黙が続いた。





「寝よっか。」


「うん。そうだね。」


「おやすみ。小春。」


「おやすみ。夕日。」




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