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罪過を綴る  作者: asahi
中学生編。

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11/20

綻び。


「ガチャ。」


玄関の鍵を開ける音がした。


最悪だ。


いつもは、もっと遅い時間に帰ってくるのに。


今日に限って、夕方に帰ってくるなんて.....


「ごめん。小春。」


「多分、親帰ってきた...」





「別にいいでしょ。」


「え?」


「ほら、早く挨拶しに行くわよ。」


「......」


「何か問題でもあるわけ?」


「ううん。何でもない。」


そっか。


別に、何もやましい事はないんだ。


親に付き合っている彼女のことを報告するだけ。


ただ、それだけだ。


「僕の目、赤くなってない?」


「大丈夫、治っているわよ。」


「.....」


「よし!じゃあ、小春のこと紹介しにいかないとね。」


そう言って、僕と小春は一階に降りた。


玄関にいたのは、パパだった。


「お帰り、パパ。」


「おう、ただいま。美月。」


「けど、またすぐ家を出ないといけないんだ。」


「荷物だけ置きに来たんだが.....」


「美月。そちらのお嬢さんは?」


「え~と。小春って名前なんだけど。」


「実は、僕。」


「私の彼女なんだ。」


「初めまして、小春です。」


「夕日くんとお付き合いさせて頂いてます。」


「美月。ちょっと、来なさい。」


パパが低い声で私を呼んだ。


「......お前は、美月だよな?」


「なぁ?」


「いや、違う僕は夕日で..」


パパが思い切り僕のことを平手打ちした。


小春は、何も言わなかった。


ただ、じっと私を見ていた。


「もう一度言う。」


「美月だよな?」


「......はい。私は美月です。」


パパの声色がもとに戻る。


「それならいいんだ。」


「美月に、彼女なんかいるはずないもんな。」


「はい。そうです。」


「あと、そのヘアピン。外しなさい。」


「気持ち悪い。」


「......」


「早く!」


「これは、小春が付けてくれたもので......」


「ブチッ!」


「痛ぃ!」


「その、睨んでいるような目。」


「不気味で仕方ない。」


「ごめんなさい。パパ。」


「はぁ~。」


「別に謝らなくていいんだぞ?」


「パパは美月のためを思って言っているんだから。」


「......」


「それに、もう遅い。友達を送っていきなさい。」


「はい。分かりました。」


「あと、小春さんでしたか?」


「はい。何ですか。」


小春が凛とした態度で返事をした。


「そうだなぁ。あんまり美月には関わらないで貰いたい。」


「.....嫌に決まってるでしょ。」


パパが鋭く小春を睨みつけた。


「それに、美月って誰ですか?」


「夕日は夕日でしょ?」


「.......君には関係ないだろ?」


「他所の家の事情に口を出さないで貰いたい。」


「.....」


「まぁ、いいか。」


「美月。パパはもう出るから。」


「ちゃんと、送るんだぞ。」


「はい。分かりました。」


そう言って、パパは家を出ていった。


「ごめんね。小春。」


「変なとこ、見せちゃって。」


「じゃあ、今日は遅いから送っていくよ。」


「......」


「小春?」


「部屋、戻ろっか。」


「私の前で無理しなくてもいいんだよ。」


「もう、お父さんはいないんだから。」


「......」


「うん。」


僕と小春は、部屋に戻った。


「ねぇ。」


「話したくないなら、話さなくていいんだけど。」


「美月って誰なの?」


「......」


「僕の、お姉ちゃん。」


「僕が、生まれてすぐに死んだ、お姉ちゃん。」


「え?」


「そこの写真あるでしょ。」


「そこに映っているのが、僕のお姉ちゃん。」


「交通事故で、亡くなったんだけど。」


「それ以来、僕を美月って呼ぶようになったり。」


「髪を伸ばすように言ったり。」


「でも、目は似てないから、隠すように言われてて。」


......また、視界が滲んだ。


「あとは、なるべく高い声をだせとか.....」


「夕日。もう、大丈夫だよ。」


「分かったから。」


「夕日。」


「.......」


「ねぇ。何回でも呼ぶよ?」


「夕日?」


「.....うん。」


「来ていいよ?」


「辛いならさ、私に吐き出していいから。」


僕は、小春に強く抱き着いた。


それと同時に涙が溢れる。


「なんでさ。」


「僕はこんな思いしないといけないの?」


「ずっと、誰かの代わりとして生きることを要求されて......」


「なんで、パパとママは僕のことを認めてくれないの?」


「何でよ!何でよ!」


「おかしいって本当は、分かっていたよ。」


「辛いよ。苦しいよ。」


「誰からも必要とされない人生なんて。」


「もう、消えたいんだ.....」


「......」


「私が必要としてるよ。夕日のこと。」


「それじゃ、満足しないの?」


「ごめん。」


「何か、足りない。」


「じゃあ、夕日。」


「うん。」


「目、瞑って。」


「どうして?」


「秘密。」


小春は、優しく微笑んだ。


それに安心して、目を瞑った。


「......ドクン。ドクン。」


「分かる?私の心音。」


「.....うん。」


小春の心音だけが、何度も何度も、僕の中で響いた。


「これなら、私が夕日のこと、好きだって分かるでしょ?」


「....うん。暖かい。」


「とても、安心するよ。」


「もっと、聞いていたい?」


「うん。もっと、近づいていい?」


「うん。いいよ。」


「......聞こえる?僕の音も。」


「うん。聞こえてるよ。」


「小春?」


「なに?夕日?」


「もう少しだけ。このままでいい?」


「......」


「少し、じゃなくいい。」


「お互い。聞き飽きるまで。」


「ずっと、こうしていよう。」

読んで頂きありがとうございます。

投稿頻度落ちます。誠に申し訳ございません。

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