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罪過を綴る  作者: asahi
中学生編。

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10/20

鏡。


「さぁ、入って。」


「お邪魔します.....」


ひどく、小春が緊張している。


彼氏の家にくるとは、そういうものなのだろうか。


「じゃあ、二階が僕の部屋だから。」


「案内するね。」


「うん....」


僕は音を立てて階段を上がるのに反して、


小春は足音を立てずに階段を上った。


「はい。ここが僕の部屋だよ~。」


ゲームにしようか。


いや、漫画かな....


「案外綺麗っていうより、ほとんど何もないじゃない。」


「そうだよ。あんまり物欲ないしね。」


「こんな場所じゃ、本当にやることなんて、ひとつしか.....」


小春の顔が赤くなる。


体調でも悪いのだろうか。


「夕日....ゴムは持ってるよね?」


あ~。それがあったか。


一度、小春の髪を結ってみたかったんだ。


「もちろん。持っているけど。」


「小春は持ってないの?」


「純粋な女の子がそんなの、持ってるわけないでしょ....」


「うん?ゴムくらい女の子なら持ち歩くと思うけど。」


「ばか////」


さっきから、小春の様子が少しおかしい....


「じゃあ、今から何個か持ってくるよ。」


「何個か!?」


「夕日って、結構そっちの方の体力あったんだ。」


「その前に……シャワーくらい浴びたいかな……。」


確かに。もうすぐ夏で、今日は気温が高い方だったか。


「あ~確かにね。ごめんごめん。」


「じゃあ、案内するね。」


小春と一緒に一階に降りる。


「ここが洗面所ね。」


「あと、タオルはこれ使ってね。別に、ゆっくり浴びてていいからね。」


「こっちも色々準備しないとだし。」


「.....期待していいの?」


「あ!それなら、色々小道具とかも持ってくるね。」


リボンと、ヘアピンと、あとシュシュがあったかな。


「!?」


「なんで、そんなの持っているのよ...」


「うん?だって毎日使うでしょ?」


「いや。そうだけど.....」


「初めてでそんな.....」


「ちゃんと、優しく触るから大丈夫だよ。」


「////じゃあ、入ってくるね。」


「うん。」


「飲み物と、ヘアゴムと、アクセと、コテと、あとドライヤーかな~。」


「よし。後は、部屋に戻ってっと。」


う~ん。小春をどうアレンジしようか。


やっぱり、小春の顔の雰囲気的に...


「お待たせ。夕日////」


小春が部屋の入口から、こっちを覗いている。


「って何それ。」


「ん?飲み物とヘアゴムと、ブラシと、その他ヘアアレンジ用品だけど。」


「そうそう。小春はハーフアップとか似合いそう!」


小春が顔を覆いしゃがみ込んだ。


「大丈夫!?いまそっちに。」


「来ないで!絶対に.....」


「うん?分かった....」


「絶対にこっち覗いたらダメだからね。」


部屋に入ってきた小春は少し怒っていた。


「はい。いいよ。好きにして。」


「うん!」


「じゃあ、初めに、髪をブラシでとかして。」


「凄い!小春の髪、さらさらだね。」


「何か、使ってるの?」


「別に。」


「なんか素っ気ない。」


「じゃあ、僕のオイル使っていい?」


「ダメ。」


「え?どうして?」


「もう!なんでもよ!」


「てか、なんでこんな上手いのよ。」


「う~ん。昔からやってたからかな。」


「じゃあ、この部分を三つ編みにして...」


「あとは、リボンで止めて。」


「はい!できたよ~。」


「......」


「なんで無言?」


「次は私が夕日の髪をやる番ね。」


「はい。座って。」


「え?椅子くらい座らせてくれても。」


「座りなさい。」


「はい.....すみません」


小春に言われるまま、床に正座した。


「なんか希望は?」


「おまかせで....」


「なら、ツインテールね。」


「まって!さすがに恥ずかしいよ。」


「じゃあ、ハイツインテールね。」


「もっと恥ずかしいじゃん!」


「うるさい。」


「......」


「はい。できたよ。」


「仕上げに前髪をピンで留めて....」


「ごめん。それだけはやめて.....」


「え?どうしてよ?」


「一重で目が細いから、あんまり好きじゃないというか....」


「パパとママにも汚いって言われてるし。」


「.....」


「ねぇ、一回見せて。」


「いやだ...」


「.....」


「.....」


「....夕日?」


「.....うん。」


「私が、何で夕日のこと好きになったか覚えてる?」


僕が可愛いから。


じゃなくて、僕の性格を好きになってくれたんだ。


「うん。」


「大丈夫だよ。私は、それで嫌いになったりしない。」


僕は無言で前髪をずらした。


「......」


やっぱり、何も言わない。


「ごめん。変だったよね。すぐにまた戻すから。」


「綺麗だよ。」


「え?」


「綺麗。確かに目は細いけどさ。」


「瞳はカラコン入れてるみたいに綺麗だよ。」


おかしい。


パパとママも、ずっと汚いって言ってたのに。


.....変だ。


視界が霞んだ。


そっか、涙ってこんな勝手に出る物なんだ。


「夕日。」


「うん。小春。」


小春に強く抱き着かれた。


「私は、夕日になにも要求しない。」


「ただ、」


「一緒にいよう。」


「温っかいね。小春は。」


「夕日の体温が低いんだよ。」


「え?僕の体、冷たいの?」


じゃあ、あの時のパパとママは嘘をついたってこと?


いや違う。今日はたまたま体温が低いだけだ。


きっとそうだ.....


「夕日。」


「うん。」


「私が温めるから安心して。」


「......ありがとう。」


僕も小春を抱き返した。


改めて、小春の温もりを感じた。


「.....小春。」


「なに?」


「ねぇ、もっと強く抱きしめて。」


「怪我しちゃうよ?」


「うん。壊れてもいいの.....」


「分かった。」


小春が僕を徐々に強く抱きしめる。


それに比例して、涙の出る速度も上がった。


そして、何分か抱き合ったあと。


「ガチャ。」


玄関の鍵を開ける音がした。

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