番外編1:ルイーゼ・メリーベル①
まずはヒロインから
私はルイーゼ・メリーベル。
平民だけどファミリーネームがあるのは、ひいひいお祖母ちゃんが当時とても偉い貴族の方を助けた褒美としてファミリーネームと西の皇国フォルタン内での魔法薬のお店の許可証を下さった。それから我が家は魔法薬を生業としていて、私ももちろんそのつもりだった。
10歳になり、魔法の属性を調べに行くのをとても楽しみにしていたんだけど、そこから私の運命は大きく変わった。長女、長男、そして末っ子で次女の私。姉は水、兄は闇、魔法薬はどの属性でも作れるが水はとにかく重宝する。闇も状態の維持や劣化防止に大事で両親も祖父母もどちらが店を継いでもいいと思っていて、私たち姉弟間では姉が店、兄が研究開発と結論はほぼ出ていた。
私も属性が決まったら兄や姉のお手伝いができると並々ならん気合を入れて、毎月教会で行われる魔法属性の洗礼式を受けに両親と共に行った。結果は膨大な魔力量を持つが、属性はない……。
こんなことは前代未聞だと、なんと魔法学院の学院長先生も呼ばれ、私は検査を受けることになった。私は両親と共に不安な時間が過ぎたが、結論としてこのままでは魔法を使うのは難しく、各属性の魔法をしっかり扱えるように学院で教育を行うとの結論になった。難しい説明が多かったけど、まとめると可能性は無限大、でもちゃんと制御できない場合は危険なので魔力は封印される。
両親や姉、兄と共に魔法薬を作るのはずっと私の憧れだったので、簡単に諦める事はできない。幸い私はとてもレアケースとして学院長先生が学費等も持ってくださる特殊特待生として15歳になったら魔法学院へ入学することが決まった。それまでは魔法が暴発しないように、魔力制御のピアスを付けられたのはちょっと悲しかった。とはいえ、完全に魔力を封じられている訳ではなく、魔法学院入学までは基本的な魔力の制御は各個人である程度やらないといけない。と言っても、日常生活のなかで問題なく過ごせればいいので、負担は軽い。
ただし、私はこれに当てはまらない。
もう一度、大事な事なので。
ただし、私には当てはまらない、んです!!!
ちょっと魔力を使おうとするとすると、上手く制御できなくてボン!っと爆発した。
その結果、危ないからと、店の魔道具や魔法薬には接近禁止をされてしまった……。最初の頃はランプすらまともに付けられない事に、子供ながらショックでだったけど自覚はあまりなかった。でも、お気に入りのランプを爆破させてしまい、悲しくて、悔しくて、そこで初めて自覚して訓練するって心に決めた。毎日毎日必死で練習用の魔道具で最低限魔道具を壊さないように訓練だけはとことんやって、12歳になる頃には問題なく魔道具は使えるようになった。
それから3年、たまに姉や兄に付き合ってもらって属性魔法を使えないか練習を重ねたんだけど、どうしても発動の時に爆発してしまう。姉には最後で気が緩んでいると言われ、兄には気合を入れ過ぎて暴発していると言われ、要領の悪い私はもうパニックだった。
気合を入れ過ぎず、しっかり魔力を注ぎ、最後まで気を抜かず発動させる…… 難しくない?こんなのみんな毎回やってるの?
そう両親に相談すると、1つには私の魔力量の多さが制御を難しくしているらしい。
「例えばお花の水やりにジョウロなら同じくらいの細かく水を出し続けるのは難しくないでしょう?これがバケツだったらどう?
ジョウロと同じように少しずつ全体的にまくのは大変じゃない?
ルイーゼは魔力量が多い、つまりタンクが大きいから、その出口も人より大きくて細かい制御は他の人より大変なんだと思うわ」
とは、母の言葉だった。
母さんの言うことは分かる、けど、結局私はどうすれば?との相談の結論は、場数こなして慣れろ、だった……。
楽な道は無かった。世の中無常だわ。
そんな状態ではあったものの、15歳になり魔力が安定する年齢となって予定通り魔法学院へと入学し、私は新しい生活に期待でドキドキしていた。
早くまともに魔法を使いたい、そして魔法学院での授業が楽しみだった。
魔法学院は完全寄宿制度のため、学生は入学式前にみんな学生寮にはいり、翌日に入学式が行われる。
私も学生寮での手続きを終え、荷解きも終えた頃に学院長室に呼ばれた。中に入ると同世代の男子生徒が6人いて、どぎまぎしていると学院長から説明が始まった。
「良く来ましたねルイーゼ。ここにいる6人は貴女の学院での生活のサポートをしてくれる補助役の生徒たちよ。
どの子も優秀なので、きっちり一緒に学び属性魔法を身に付けるようにね。
貴女は理論派ではなく感覚派なのだから、平均的に各属性を感じ、発動させるのが大事よ。では、皆を紹介するわ」
まず紹介されたのは薄い緑の髪に青い瞳の長身の男子生徒だった。
カーティス・フランク、風属性で研究員志望の所謂魔法バカまたは魔法オタクだ。私が無属性であり、全属性の可能性があると聞き率先して参加したらしいけれど、目が爛々としていて私を凝視する視線はちょっと怖い。
次に赤髪に琥珀のような黄金色の瞳の少し年下に見える男子生徒。
エドガー・セイブルは火属性で魔力が多く、細かな魔力操作は苦手だが3人で発動するような大掛かりな魔法も一人で発動できるという凄い人だった。本人曰く説明はあまり得意ではないとの事なので、文字通り実施でのやり取りになりそう。
3人目は南の王国、サウジーナの褐色の肌に銀に近い薄い蒼の髪に、濃いサファイアのような青の瞳の年上に見える男子生徒だ。
ディミシス・サウジーナと言う南の王国の第一王子であり、水属性の魔法の使い手だった。流石王子様で、エスコートは完璧、言葉も完璧で唯一驚いたのが辛党かつ極度の甘党だったこと。でも、話しも分かりやすいし、王族とは思えないフランクさで物腰柔らかな先輩でお話ししやすそう。
4人目はちょっと癖のある金髪に榛色の瞳のちょっと気障な男子生徒だった。いかにも貴族の子息っぽいなと思ったら、案の定東のレイシナ王国の侯爵令息だった。本当にこの学院は貴族や王族が普通にいるんだと、少し目が遠くなりそうだったけど、必死に意識を維持してお話を聞く。
ブライアン・バーンズ侯爵令息は礼儀正しく、優等生気質のようで少し口うるさく、でもとても紳士で面倒見が良さそうな人。
5人目は淡い紫の髪に、濃いピンクまたは赤に見える瞳の男子生徒だった。顔立ちは誰よりも整っていて、オシャレに着崩したスタイルが少し気怠そうでどこか人目を惹く色気があって、私はどぎまぎしてしまった。
アラン・ガーロンドは以外な事に光属性で、なんと魔法薬を専攻していた!是非とも色々教わりたい所なんだけど、ちょっと軽薄なところがあって苦手かもしれないと思ったのは内緒。
最後は黒髪に神秘的なアメジストのような瞳の男子生徒で、エドガーよりも年下かもしれない。例外的に13歳で入学を果たした超天才魔法使いらしく、気難しい雰囲気があった。
キース・プリミティは闇属性の使い手だった。兄と同じ闇属性だからお近付きになりたいと思いつつも、野良猫のように警戒されているのを感じでちょっと親しくなれるまで時間がかかりそうだった。
なんとも個性豊かな6人に助けてもらいつつ、明日から私の魔法学院での生活が始まるのだと思うと、ワクワクが止まらなかった。
読んでいただきありがとうございます。




