↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心剣士は少女の夢を夢見るのか  作者: リュカギン
第二章 ロゼリアの弱点

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/14

第06話 EP02-02 襲撃

自分が読みたい物語を、趣味で書いてます。

オリジナル小説のみです。

 オレの名《な》は『新実《にいみ》 健二《けんじ》』。『内地《ないち》』では、中学校《ちゅうがっこう》に通《かよ》う中学《ちゅうがく》二年生《にねんせい》の、ごく普通《ふつう》の男子《だんし》。『外地《がいち》』なら、『人《ひと》が武器《ぶき》に残《のこ》した強《つよ》い思《おも》い』で戦《たたか》う魔法《まほう》使《つか》い『心剣士《しんけんし》』だ。


 不測《ふそく》の事態《じたい》『ロゼリアの不在《ふざい》』に、静妹《いもうと》の護衛《ごえい》のため、外地《がいち》の村《むら》の駐屯《ちゅうとん》軍《ぐん》の宿泊《しゅくはく》施設《しせつ》に来《き》ている。

 ロゼリアには後《あと》で絶対《ぜったい》に猛抗議《もうこうぎ》したいと思《おも》う。


 ユーナベルム騎士団《きしだん》の仮《かり》の拠点《きょてん》で、中学校《ちゅうがっこう》くらいの広《ひろ》さの空《あ》き地《ち》に木造《もくぞう》長屋《ながや》が並《なら》ぶ。施設《しせつ》は簡素《かんそ》だけど、広《ひろ》い。


「……」

 半開《はんびら》きの扉《とびら》に半身《はんしん》隠《かく》してコッチを覗《のぞ》くユーナ王女《おうじょ》様《さま》と、目《め》が合《あ》った。

 ユーナ王女《おうじょ》様《さま》が、『もしかして、わたくしの出番《でばん》ですか? わたくしが部屋《へや》に入《はい》っても、よろしいのですか?』って感《かん》じの明《あか》るい表情《ひょうじょう》をした。


 まだっす! まだっす!

 オレは慌《あわ》てて、片手《かたて》でユーナ王女《おうじょ》様《さま》を制止《せいし》する。

「すっ、すごいです! 本物《ほんもの》、生《なま》、すごいです、新実《にいみ》お兄《にぃ》さん! 御尊顔《ごそんがん》が、まっ、眩《まぶ》しいです!」

 もう片手《かたて》で、大興奮《だいこうふん》の静妹《いもうと》をステイする。


 戦《たたか》いは、もう始《はじ》まっている。


   ◇


 オレは今《いま》、木造《もくぞう》の広《ひろ》い部屋《へや》にいる。兵士《へいし》が共同《きょうどう》生活《せいかつ》する部屋《へや》を客間《きゃくま》に改装《かいそう》した感《かん》じである。

 ベッドが二台《にだい》、テーブルが一台《いちだい》、イスが二脚《にきゃく》、全《すべ》て壁際《かべぎわ》にある。全《すべ》てから離《はな》れて、部屋《へや》の中央《ちゅうおう》に立《た》つ。傍《かたわ》らに静妹《いもうと》がいる。


 角部屋《かどべや》で、二方向《にほうこう》の板壁《いたかべ》にガラス窓《まど》がある。残《のこ》りは、一方向《いちほうこう》が板壁《いたかべ》、一方向《いちほうこう》が扉《とびら》からユーナ王女《おうじょ》様《さま》が覗《のぞ》く。

 ユーナ王女《おうじょ》様《さま》が、『そっ、そうですよね。わたくしの出番《でばん》なんて、ありませんよね。こんな、わたくしに、出番《でばん》なんて……』って感《かん》じでシュンと肩《かた》を落《お》とした。

 床《ゆか》と天井《てんじょう》も板張《いたば》りで、天井《てんじょう》の数《すう》か所《しょ》にはオイルランプがさがる。


 快晴《かいせい》の午後《ごご》で、窓《まど》の外《そと》が明《あか》るい。窓《まど》から陽光《ようこう》が差《さ》し込《こ》み、部屋《へや》の中《なか》も明《あか》るい。遠《とお》めに、訓練《くんれん》する騎士《きし》兵士《へいし》たちの暑苦《あつくる》しい掛《か》け声《ごえ》が聞《き》こえる。


 重要《じゅうよう》なのは、ここから。事前《じぜん》に得《え》た情報《じょうほう》だ。

 すでに、敵《てき》が侵入《しんにゅう》している。敵《てき》の所持品《しょじひん》には、少《すく》なくとも超強力魔法品《アーティファクト》が二個《にこ》ある。二個《にこ》とも、低《てい》ランクの、人《ひと》の気配《けはい》を薄《うす》くする効力《こうりょく》のもの。


 警備《けいび》は何《なに》してんの!?

 そこは、ほら、村《むら》を魔物《まもの》から守《まも》るための警備《けいび》だから。敵《てき》が人間《にんげん》で、超強力魔法品《アーティファクト》まで持《も》ち出《だ》したなら、已《や》む無《な》し。

 さらに、外地《がいち》では機械《きかい》が機能《きのう》しない。防犯《ぼうはん》カメラとか赤外線《せきがいせん》センサーなんて便利《べんり》道具《どうぐ》は無《な》い。あるのは精々(せいぜい)、人《ひと》の目《め》と望遠鏡《ぼうえんきょう》と鳴子《なるこ》くらいだ。


 ……思《おも》わず、現実《げんじつ》逃避《とうひ》の自問《じもん》自答《じとう》をしてしまった。

 落《お》ち着《つ》け、オレ!


 オレの武器《ぶき》は、左右《さゆう》の手《て》に嵌《は》めたフィンガーレスグローブ。カッコイイ! 能力《のうりょく》は主《おも》に、高速《こうそく》回避《かいひ》、動体《どうたい》認識《にんしき》、軌道《きどう》予測《よそく》である。

 対人戦《たいじんせん》に好《い》い、と思《おも》う。碌《ろく》に対人戦《たいじんせん》したことないから、思《おも》う、と思《おも》う。

 正直《しょうじき》、怖《こわ》い。静妹《いもうと》のために頑張《がんば》る。けど、どこまでできるか、自信《じしん》はない。

 自信《じしん》がないから思《おも》わず、現実《げんじつ》逃避《とうひ》したくなる。


「いいか、静妹《いもうと》よ。お兄《にぃ》ちゃんの側《そば》を離《はな》れるんじゃないぞ」

 興奮《こうふん》する静妹《いもうと》に声《こえ》をかける。

 一箇所《いっかしょ》しかない簡素《かんそ》な木板《きいた》の扉《とびら》が、キィと軋《きし》んで、少《すこ》し動《うご》いた。

 オレは、風《かぜ》でも吹《ふ》いたのかな?、と思《おも》った。


   ◇


 ……思《おも》った。思《おも》ってしまった。事前《じぜん》の情報《じょうほう》がありながら、風《かぜ》かな?、と思《おも》ってしまった。

 事前《じぜん》の情報《じょうほう》が無《な》ければ、きっと、思《おも》ったまま終《お》わっていた。

 オレの全身《ぜんしん》に、冷《つめ》たい汗《あせ》が滲《にじ》む。

 侵入者《しんにゅうしゃ》がいる。気配《けはい》を薄《うす》くする超強力魔法品《アーティファクト》を所持《しょじ》してる。扉《とびら》が少《すこ》し動《うご》く。

 と、なれば?


 オレは緊張《きんちょう》して、扉《とびら》の方《ほう》に意識《いしき》を集中《しゅうちゅう》した。薄《うす》く透《す》けて、現代《げんだい》アレンジの忍者《にんじゃ》みたいな黒装束《くろしょうぞく》の男《おとこ》が見《み》える気《き》がした。

 意識《いしき》を逸《そ》らしたら消《き》えそうな、見《み》えても錯覚《さっかく》かと疑《うたが》う程度《ていど》の存在感《そんざいかん》しかない。透《す》けた黒装束《くろしょうぞく》の向《む》こうには、シュンとしたユーナ王女《おうじょ》様《さま》だって見《み》える。


 黒装束《くろしょうぞく》の武器《ぶき》は、アーミーナイフを片手《かたて》持《も》ち。もう片手《かたて》には超強力魔法品《アーティファクト》を持《も》っているはず。

 怖《こわ》い! 落《お》ち着《つ》け、オレ! 対人戦《たいじんせん》怖《こわ》い!


 とにかく、目《め》の前《まえ》の透《す》けた黒装束《くろしょうぞく》に集中《しゅうちゅう》する。たぶん黒装束《くろしょうぞく》の目当《めあ》て、静妹《いもうと》の前《まえ》に立《た》って視線《しせん》を遮《さえぎ》る。フィンガーレスグローブの記憶《きおく》に引《ひ》っ張《ぱ》られて、ボクシングのファイティングポーズを取《と》る。


 透《す》けた黒装束《くろしょうぞく》が、ゆっくりと動《うご》いた。一瞬《いっしゅん》で、オレは見失《みうしな》った。


 っ!??? ヤバい!!! 否《いな》!、まだだ、落《お》ち着《つ》け、オレ!


 あんなヤバい効力《こうりょく》があれば、奇襲《きしゅう》の強襲《きょうしゅう》で瞬殺《しゅんさつ》できるはずなのに。そうしなかったのは、たぶん、超強力魔法品《アーティファクト》の能力《のうりょく》に制限《せいげん》があるから。例《たと》えば、速《はや》く動《うご》くと効果《こうか》が発揮《はっき》されない、とか。


 フィンガーレスグローブに残《のこ》る『燕《つばめ》の記憶《きおく》』が、分析《ぶんせき》し、予測《よそく》する。


 今《いま》の動《うご》き出《だ》し程度《ていど》の速度《そくど》で動《うご》き続《つづ》けると仮定《かてい》。オレを回《まわ》り込《こ》んで静妹《いもうと》を狙《ねら》うのは、オレの不測《ふそく》の動《うご》きに邪魔《じゃま》されるリスクがある。静妹《いもうと》より先《さき》にオレを狙《ねら》う、負傷《ふしょう》させて動《うご》きを妨《さまた》げる、が相手《あいて》の初手《しょて》と予想《よそう》できる。


 相手《あいて》が『オレに見《み》られてない』と認識《にんしき》してるなら、一直線《いっちょくせん》に近《ちか》づいて、アーミーナイフで真《ま》っ直《す》ぐに突《つ》けばいい。この場合《ばあい》、小細工《こざいく》を混《ま》ぜ込《こ》むのは、オレのチャンスを増《ふ》やすだけの下策《げさく》だ。

 動《うご》き出《だ》し程度《ていど》の速度《そくど》。一直線《いっちょくせん》の踏《ふ》み込《こ》みと突《つ》き。


 予測《よそく》が、見《み》えない相手《あいて》のイメージとなって浮《う》かんだ!


 オレは『燕《つばめ》の記憶《きおく》』を運動《うんどう》能力《のうりょく》に変換《へんかん》して、左右《さゆう》のパンチを小刻《こきざ》みに振《ふ》り回《まわ》した。

 フィンガーレスグローブ越《ご》しに冷《つめ》たく硬《かた》い感触《かんしょく》があった。弾《はじ》かれたアーミーナイフがクルクルと飛《と》んで、板床《いたゆか》に突《つ》き立《た》った。黒装束《くろしょうぞく》の男《おとこ》が、慌《あわ》てて後退《あとずさ》った。


 黒装束《くろしょうぞく》の男《おとこ》が、はっきりと見《み》える。飛《と》び退《の》いた速度《そくど》ゆえか、男《おとこ》の動揺《どうよう》ゆえか。

 突然《とつぜん》の出現《しゅつげん》にユーナ王女《おうじょ》様《さま》がビックリしている。見《み》えていなかった、突然《とつぜん》に見《み》えた、との認識《にんしき》で間違《まちが》いない。


 オレも、静妹《いもうと》も、ユーナ王女《おうじょ》様《さま》も、その男《おとこ》に注目《ちゅうもく》した。次《つぎ》の動《うご》きに備《そな》え、体《からだ》を硬《かた》くした。

 静妹《いもうと》の斜《なな》め後《うし》ろに立《た》つ美月《みつき》が、静妹《いもうと》の横《よこ》の空間《くうかん》に踏《ふ》み込《こ》んで、横《よこ》の空間《くうかん》を掴《つか》んだ。さらに、横《よこ》の空間《くうかん》を掴《つか》む手《て》を縦《たて》に巻《ま》くように握《にぎ》り込《こ》んだ。

 別《べつ》の黒装束《くろしょうぞく》の男《おとこ》が、背中《せなか》から板床《いたゆか》に叩《たた》きつけられた。


   ◇


 ……怖《こわ》い! 対人戦《たいじんせん》怖《こわ》い!

 オレは、目《め》の前《まえ》の黒装束《くろしょうぞく》しか見《み》えてなかった。事前《じぜん》情報《じょうほう》で『超強力魔法品《アーティファクト》が二個《にこ》』なら、二人《ふたり》いると想定《そうてい》すべきだった。

 そんな余裕《よゆう》、オレには無《な》いっす! 美月《みつき》さん、さすがの優等生《ゆうとうせい》っす!


 板床《いたゆか》にバウンドした黒装束《くろしょうぞく》が床《ゆか》を転《ころ》がり、勢《いきお》いで素早《すばや》く立《た》ちあがり、後退《あとずさ》り、再《ふたた》び姿《すがた》を薄《うす》くする。

「ボーッとするな! お前《まえ》も早《はや》く消《き》えろ!」

 その苛立《いらだ》った一喝《いっかつ》に、オレの目《め》の前《まえ》の黒装束《くろしょうぞく》も我《われ》に返《かえ》り、姿《すがた》を薄《うす》くした。


 美月《みつき》は、内地《ないち》では普通《ふつう》の中二《ちゅうに》女子《じょし》だ。体《からだ》は華奢《きゃしゃ》で、肩《かた》までくらいの長《なが》さのピンク髪《がみ》で、年《とし》相応《そうおう》に可愛《かわい》くも、芯《しん》の強《つよ》そうな凛々(りり)しい顔立《かおだ》ちで、声《こえ》が澄《す》んで高《たか》い。

「こちらは、ワタシが相手《あいて》をするわ。健二《けんじ》は、扉《とびら》の方《ほう》をお願《ねが》い」

 外地《がいち》なら、超強力魔法品《アーティファクト》を認識《にんしき》できる魔法《まほう》使《つか》い『アーティファクトシーカー』である。今《いま》や最強《さいきょう》の騎士団《きしだん》の一《ひと》つ『ゲシュペンスト騎士団《きしだん》』の長《ちょう》の養女《ようじょ》で、黒《くろ》の軍服《ぐんぷく》に、黒《くろ》のミニスカートを穿《は》いて、素肌《すはだ》の腕脚《うであし》が細《ほそ》く伸《の》びる。


 美月《みつき》もモロ軍人《ぐんじん》で、『頼《たよ》ってはいけない』に分類《ぶんるい》されるのだけれど。まぁ、何《なん》と言《い》うか、やっぱり他《ほか》に頼《たよ》れる相棒《あいぼう》なんていないので、頼《たよ》ることにしたのだった。



心剣士《しんけんし》は少女《しょうじょ》の夢《ゆめ》を夢《ゆめ》見《み》るのか

第06話 EP02-02 襲撃《しゅうげき》/END

読んでいただき、ありがとうございます。

楽しんでくれる人がいると、書く励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。