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【連載版】幸子48歳、異世界転生したら出産中でした!?~後妻だったので産んだ子も連れ子もまとめて可愛がります  作者: よつ葉あき


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9.幸子、天使たちに出会う


小さな物音に気づいて視線を向けると、

庭の植え込みの影から、二人の子どもがこちらを見ていた。


ひとりは、八歳くらいの男の子。

髪は少しぼさっとしているが、青い瞳が好奇心いっぱいに輝いている。


もうひとりは、三歳くらいの女の子。

くるんとした栗色の髪に、男の子と同じ青くて丸い目をぱちくりさせながら、じっとこちらを見つめていた。


(……あれ? この子たち……?)


そう思った瞬間──ズキンッ!


頭に激痛が走った。これって……?


そう思ったのと同時に、私のものではない記憶が一気に流れ込んできた。


そう。幸子がミレイになった直後と同じ──ミレイの記憶が、また流れ込んできたのだ。


──そうか、この子たちは……。


私はマナミをそっと抱き直し、穏やかに微笑んだ。


男の子は興味はありそうなのに、どこかもじもじと足を踏み鳴らしている。

一方、女の子は──


「わあぁ……!」


ぱたぱたと小さな足で駆け寄ってきた。


慌てて受け止めようとする乳母をよそに、女の子はマナミを抱く私の足元までやってきて、まんまるな瞳でマナミを見上げる。


その無邪気さに、思わずふっと笑ってしまった。


「マナミだよ。まだ生まれて一ヶ月なの」


そっと教えると、女の子の目がきらきらと輝いた。


「まなみ! かわいい!」


「ありがとう」


私はマナミの顔が見えるように、女の子の前でかがみ、今度は遠巻きに立っている男の子にも視線を向けた。


「あなたも、こっちにおいで?」


優しく声をかけると、男の子は一瞬戸惑った後、

ゆっくりと──けれど確かに、一歩踏み出してくれた。


「……この子が、新しい妹?」


私は微笑みながら答えた。


「ええ、そうよ」


「え!? じゃあ、マナミはユリカの妹なの?」


「うん。よろしくね」


私は笑顔のままユリカちゃんに答えたが、内心ではパニックだった。


──そうよ。ミレイ()はこの五条家へ、ただ嫁いできたわけじゃない。



後妻として来たんだっ!!



この子たちは、マナミの兄と姉。

そして、あのモラハラ夫の子どもたちだ。


前妻であるこの子たちの母親は……ユリカちゃんを出産したときに──亡くなってしまったらしい。


お兄ちゃんのシンイチロウくんだって、当時五歳。

まだ幼い息子と、生まれたばかりの娘を残して逝くなんて……さぞ無念だっただろう。


そう思うと泣きそうになってしまったが、どうにか表には出さず、子どもたちに接した。


「うわぁ……。小さいね、かわいいねぇ!」


にこにこと、マナミを見つめながら私に話しかけてくれたユリカちゃん。


(マナミが世界一だと思ってたけど、あなたもかわいいわよ、ユリカちゃん!)


今度は悶絶しそうになったが、どうにか耐えた。


その時──ユリカちゃんが、ふいにマナミへと手を伸ばした。


「こら、ユリカっ!」


強めにシンイチロウくんが叫び、妹たちはびくりと身体を震わせた。そして……


「ふぇ……ふにぁぁぁぁ!」


マナミが泣いてしまった。

それを見たユリカちゃんまで泣きそうな顔になる。


「シンイチロウ様! ユリカ様!」


そこへ、新たな人物が現れた。

たしか彼女は……この兄妹に付いている侍女だ。


彼女は駆け寄ってきて、私の存在に気づくと、慌てた様子で深く頭を下げた。


「奥様、大変申し訳ございません!」


侍女が謝るのを見て、兄妹はさらに気まずそうな顔をした。

私は手を前に出して、それを制した。


「大丈夫よ。ユリカちゃんは、マナミを可愛がってくれようとした……のよね?」


「う、うん」


こくりと頷くユリカちゃん。

私は次に、シンイチロウくんを見た。


「でも、ユリカちゃんの手が汚れてたから……そのまま触るのは良くないと思って、シンイチロウくんが止めてくれたのよね?」


私の言葉に、ユリカちゃんはハッとしたように自分の手を見つめた。

その手は、たしかに砂や土で汚れていた。


「ありがとう、シンイチロウくん」


私がお礼を言うと、「あ……」と何か言おうとしたが、それは声にはならず、代わりにはにかんだ笑顔を見せてくれた。



ズキューーーーンっ!



なんなの、この兄妹。……天使?

すごい、かわいいじゃない!


義理とはいえ、こんな子たちが私の子どもなんて……っ!



──幸せすぎるっ!!



でも……。


私は、ミレイとこの子たちの関係を思い出していた──。




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