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【連載版】幸子48歳、異世界転生したら出産中でした!?~後妻だったので産んだ子も連れ子もまとめて可愛がります  作者: よつ葉あき


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10.幸子、ミレイとシンイチロウの出会いを思い出す

幸子とシンイチロウくんとの出会い──。


そのときはまだ、五歳だったシンイチロウくん。それも、大好きなお母様を亡くしたばかりだった。


──そう。ミレイは前妻の奥様が亡くなってから、半年もしないうちに、後妻として五条家にやってきたのだ。


……ほんとに、あの(おとこ)は妻や子どもたちのことを、どう考えてるのかしら!? 妻たちはともかく、シンイチロウくんの気持ちをちゃんと考えろっ! と、またもムカムカしてしまった。


今は、その怒りはさておき。


初めてシンイチロウくんと顔を合わせたミレイ。


まだ15歳だったミレイが、夫よりも歳が近いシンイチロウくんに戸惑うのは当たり前のことだ。

自身の子どもはもちろんのこと、ミレイに弟や妹はおらず、小さい子どもとどう接していいか分からなかった。


それでも……。


(私は、五条家の妻っ! シンイチロウ様の新しいお母様!)


そう決意し、シンイチロウくんに話しかけた。


「シンイチロウ様、わたくしが新しく貴方のお母様になる、ミレイです。

よろしくお願い致しますね」


そう言って、緊張で震えそうになる右手をシンイチロウくんに差し出した。


──が、シンイチロウくんは傍にいた侍女の影へ隠れてしまった。


そして、侍女の着物を掴みながら……シンイチロウくんは泣き出してしまった──のだった。




客観的に、幸子目線でみれば無理もないと分かる。


たった五歳の男の子の目の前に、いきなり見知らぬお姉さんが。それも新しい母親として、やってきたのだ。

緊張し、上手く会話が出来ないだろう。


だけど、そんなことが分からないミレイにとっては、とてもショックな出来事だった。


(私の、何がいけなかったんだろう)


(笑顔で話しかけたつもりだったのに──泣かせてしまった)


(お母様として、シンイチロウ様と仲良くしなきゃと思ってたのに……嫌われちゃった)


そう考え、ミレイはシンイチロウくんに背を向けた。



それからというもの──。

同じ家に住んでいれば、顔を合わすことはある。


だが、会ってしまった時は、お互い気不味くてまともな会話が出来なかった。


そして、ミレイは──そのことがトラウマとなり、赤ちゃんであったユリカちゃんにも接することに脅え、子どもたちとの交流を一切持たなかった。



…………。


あーー! もやもやするっ!


どっちも悪くない! 年上のミレイが歩み寄るべきではあったのかもしれないが、ミレイもまだ15歳。

自分の子どもも居ないのに、いきなり五歳の男の子のお母さんに。と言われても無理があるだろう。


そして、そんな無理ある中であってもミレイは歩み寄ろうとしていたのだ。

だけど、シンイチロウくんの態度を見て、心が折れてしまったんだ。


でも、もちろんシンイチロウくんだって悪くない。


周りの大人たち……特にそう、父であり夫であるあの男こそが仲を取り持つべきなのに──っ!


うがーーーーっ!!


脳内であの男に、私はヘッドロックを決めた。





「ミレイ様。シンイチロウ様とユリカ様がいらっしゃいました」


私は侍女が告げた言葉にハッとして顔を上げた。


「二人とも、待ってたわ」


笑顔を二人に向け、歓迎をした。



シンイチロウくんは緊張の面持ちで、ユリカちゃんは初めて入った私の部屋をきょろきょろと見回していた。


「──お義母さま、ご招待いただきありがとうございます」


すっときれいにお辞儀をし、シンイチロウくんが言った。


うーん。所作は完璧だが……だからこそ硬いなぁ。と心の内で苦笑いを浮かべた。


「そんなに緊張しないで。今日はあなたたちにコレを見てもらいたくって呼んだだけだから」


そう言って私はある物を取り出した。


「なぁに、それ?」


不思議そうにユリカちゃんが首を傾げる。


「ふふ、これはねぇ……“紙芝居”よ!」


きょとんとする二人。そんな顔も可愛いわっ!


「紙芝居? ……とはなんでしょうか?」


「紙芝居っていうのは、読み聞かせる絵本のようなものよ。表には絵が、裏には文が書かれているのよ」


そう言って、私は一枚手に取り、裏面をちらりと見せた。


ユリカちゃんは、よく分かってないが面白いおもちゃにわくわく。

シンイチロウくんは、文字を見て眉間にシワを寄せたのが、わかった。


私は説明を続ける。


「ちなみにこの紙芝居は──私の手作りよっ!」


「え!? この絵、描いたの?」


「うん」


「ええー! すごーい」


拍手してくれるユリカちゃんに、ふふんと笑った。


最初はほかの遊びをしようと思ったが、侍女からシンイチロウくんの“ある話”を聞き、紙芝居を披露することにしたのだ。


ちなみに私は絵を描くのも文章を書くのもちょっと得意。

何を隠そう、高校生の時から“マンガ研究部”に所属し、大学生のころから、子どもを産むまで同人活動までしてたのだっ!


「では、はじめるわよ!

むかしむかし、あるところに……」


と、お決まりのセリフで紙芝居を読み始めた──。



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