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【連載版】幸子48歳、異世界転生したら出産中でした!?~後妻だったので産んだ子も連れ子もまとめて可愛がります  作者: よつ葉あき


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8.幸子、マナミと初めてのお外


──……産後30日目。


つまり、私がミレイになってから、とうとう1ヶ月が経った。


「問題はありません。母子ともに健康です」


ヤヨイさんが、私とマナミの診察を終え、穏やかな笑みを浮かべながらそう告げた。


「じゃあ、今夜からはマナミは沐浴じゃなくて、私も湯船に浸かっていいのね!?」


「はい、大丈夫ですよ」


「やったー! マナミ、今夜はママと初めてのお風呂だね」


マナミはもう新生児ではなくなり、特有のひょろっとした感じがだいぶなくなってきた。

少しずつ、ぷくぷくしてきて──その姿が、たまらなく可愛い。


……と同時に、過ぎてしまった新生児期が早くも懐かしく、寂しさすら感じてしまう。


幸子だった頃も、何度も味わってきた感情だ。

でも、最初の三人のときには、まだ次がある、また赤ちゃんに会える──そんな風に思っていた。


けれど、今は……


脳裏に、あの男──一応“夫”と呼ばれている人物の姿が浮かんだ。


──『女など、跡継ぎにもスペアにもならん。役に立たない。次は男を産め』


……あんのやろぉぉぉぉぉぉっ!!


私は脳内で、アイアンクローを決めた。


なぁにが“次は”よっ!

うちの世界一かわいいマナミをバカにして! 次なんて、あるわけないでしょうがっ!!


あんなやつともう一度子づくりなんて、ぜっっったいお断りよ!!


ひとりでムカムカしていたそのとき、ヤヨイさんが声をかけてくれた。


「お日様も出ていますし、少しだけお庭に出てみませんか?」


「行きたいっ!」


思わず即答していた。


マナミをふんわりとおくるみに包み、両腕で大切に抱きしめる。

乳母とヤヨイさんも一緒に、私たちはゆっくりと庭へ向かった。


春の陽射しはやわらかく、空はどこまでも澄み渡っている。

足元には青々とした芝生が広がり、花々がちらほらと咲き始めていた。


異世界とはいえ、不思議な色や形の植物ではなく、サクラソウやスミレに似た可憐な花たちが、どこか懐かしさを感じさせてくれる。


「眩しいね、マナミ」


私はそっと語りかける。


マナミの小さな顔がふにゃりとゆがみ、きょとんと空を見上げた。

ぱちぱちと瞬きをする姿が、たまらなく愛おしい。


「いい子ですね……」


隣で、ヤヨイさんがやさしく微笑む。


「初めてのお外。初めてのお日様。……マナミ様は、これからたくさんの“初めて”に出会っていくんですね」


「うん……そうだね」


私は静かに答えながら、マナミの頬にそっと触れる。

小さくて、あたたかくて──確かに、ここに生きている。


(大切で、大好きなマナミ。私がこの子を守る。ちゃんと育てるんだ……)


胸の奥に、静かに。でも確かな決意が芽生えていくのを感じた。


「──大丈夫ですよ」


ぽつりと、ヤヨイさんが言った。


「ミレイ様なら、きっとどんな困難があっても乗り越えられます。私、信じています」


私は驚いてヤヨイさんを見た。


彼女は、春の光に目を細めながら、穏やかで、それでいて力強い笑顔を浮かべていた。


「……ありがとう、ヤヨイさん」


不思議だ。

この世界に来て、まだたった一ヶ月しか経っていないのに。

私は、こんなにも支えられている。


小さな命と、そばで見守ってくれる人たち。

──それだけで、もう十分に幸せだ。


私はそっとマナミを抱き直す。

この腕の中のぬくもりを、絶対に守っていこう。


──あなたと一緒に、強く、優しく生きていこうね、マナミ。


春の光に包まれながら、私は心の奥で、そっと誓った。


そのときだった──


カサッ、と何かが動いた気配に気づき、私は視線を向けた。


──そこには、二人の子どもが立っていた。

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