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【連載版】幸子48歳、異世界転生したら出産中でした!?~後妻だったので産んだ子も連れ子もまとめて可愛がります  作者: よつ葉あき


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23.幸子、ベビーグッズに思いを込める


「こっちのこれは……何ですか?」


そう言ってヤヨイさんが手に取ったのは、授乳クッションだった。


「それはね、授乳クッションよ」


「授乳……? 授乳のときに使うんですか?」


私は、見せた方が早いと思い、クッションを受け取って膝の上に乗せた。


「こうやって使うのよ」


「……あっ! なるほど。このくぼみに体を入れて、クッションの上に赤ちゃんを乗せるんですね!」


私は笑顔でうなずく。


「授乳中、腕や腰にかかる負担を減らしてくれるのよ」


「へぇ……変わった形だと思ってたけど、よく思いつきましたね!」


……うっ! いや、別に私が考えたわけじゃない。これは幸子が第一子を産んだ平成の頃から普通にあった、定番の育児グッズだ。

あたかも自分の発明みたいに思われるのは、ちょっと気が引ける。


気を取り直して、話を続けた。


「授乳だけじゃなくて、赤ちゃんを寝かせたり、座る練習をさせたりするときにも使えるの」


「こんな便利なものがあるなんて……みんな、座布団やタオルを重ねて工夫してましたよ!」


「それでも悪くはないけど、授乳中にずれたりするのよね。抱っこし続けると腕も肩も痛くなるし」


そう言いながら、もう一度ヤヨイさんにクッションを手渡した。


「そうなんですね! でも、これなら……!」


クッションを受け取り、目を輝かせるヤヨイさん。

そんな彼女の様子に、私は思わず微笑んだ。


「特に新生児は首がすわってないから、授乳の姿勢ひとつで飲みやすさが全然違ってくるの。だからこういうクッションがあると、お母さんも赤ちゃんも楽なのよ」


そう、ミレイになったあと大変だった……授乳。

産後と寝不足でぐったりしながら授乳をしてて、思ったのだ。


(授乳って、こんなにやりにくかったっけ……あっ! 授乳クッションないじゃん!?)


と気がついて乳母たちに聞いたけど、「そのようなものはありません」と言われてしまって……寝不足ながらもがんばって作ったのだ。


大変ではあったけど、やっぱり授乳クッションがあった方が断然楽で、


(できれば妊娠中に作っておきたかった……っ!)


と、思ったのよね。


「すごい……赤ちゃんのことも、お母さんのことも考えられてるんですね」


「ええ。でも、実はユリカちゃんがマナミを抱っこしたがったときにも、大活躍したのよ」


「えっ?」


「今はもうマナミもしっかり座れるけど、まだ首がすわってなかった頃はね。ユリカちゃん、ひとりじゃ支えられなくて、私たちが手を貸すと『ユリカが抱っこするの!』って怒るの」


ハムスターのようにふくらんだ頬で怒る、あの全然怖くないユリカちゃんの顔を思い出して、私はクスッと笑った。

授乳クッションを使えば、少し手を添えるだけでひとりで抱っこできる。だから、ユリカちゃんもご機嫌だったのだ。


「あの……ミレイ様……」


「ん?」


ヤヨイさんが控えめに声をかけてきた。

あら、やだ。かわいいユリカちゃんを思い出してたせいで、変な顔してたかも……っ


と、少し焦ったが、そうではなかったようだ。


「これ……他の人にも紹介してもよろしいですか?

今、ミレイ様がおっしゃっていたことを……同じように困っているお母さんはたくさんいます。そんなとき、ミレイ様が作ったグッズがあれば、ずいぶん楽になると思うんです」


「──えっ?」


「あ! もちろん、作るのは自分たちでやりますので、作り方を教えていただけないでしょうか?」


一瞬、言葉が出なかった。


この世界に転生してから、「何かの役に立ちたい」とは思っていた。

でも、それを誰かに“届ける”ことまでは考えていなかった。


──でも。


授乳クッションがないだけで、「大変だぁ」と思ってしまった新生児期。

だけど前にも思ったように、ミレイには乳母をはじめとしたお手伝いさんがいれば、ヤヨイさんの手厚いサポートまである。

それは……ミレイがかなり裕福だからだ。


この世界で、一般的なお母さんたちは……幸子の生きた平成・令和の世界より、いろいろ不足してそうなこの世界で、どれほどの苦労をしているんだろう──。


そう思うと、自然と言葉が出た。


「もちろん、いいわよ。型紙を用意して、作り方を書いて渡せばいいかしら?」


「ありがとうございます! それで、できれば……」


「?」


ヤヨイさんを見ると、少し緊張したような表情で、ごくりと唾を飲むのが分かった。


心配して見ていると、ぐっと顔をあげ私の目を見て続けた。



「自分たちで使うだけじゃなく


──販売もさせてもらえませんか?」



「……販売!?」



まさかの申し出に、思わず声を上げてしまった。



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