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【連載版】幸子48歳、異世界転生したら出産中でした!?~後妻だったので産んだ子も連れ子もまとめて可愛がります  作者: よつ葉あき


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22.幸子、もう一度抱っこする


紙芝居を披露した日から、半月──。


「……これが噂のっ!」


「トッポンノーチというらしいです!」


「と、とっぽん……?」


ヤヨイさんが、私の作った“トッポンチーノ”を手に、先生から間違った名前を教えられて困惑していたので、私は思わず口をはさんだ。


「先生、“トッポンチーノ”ですよ」


「えっ、あ……すみません!」


ヤヨイさんに向き直って、私は丁寧に説明を加える。


「ヤヨイさん、これは赤ちゃん用の“小さなお布団”なの。おくるみに似てるけど、包むのではなく、下に敷いて使うものなのよ」


あのカブの紙芝居のあと、先生に披露した私の手作りベビーグッズたち。


抱っこ紐にトッポンチーノ、ぬいぐるみやおもちゃ、ベビー服などの小物類──。


どれも先生は感激してくれたけれど、「男の自分では分からないことが多い」と言って、ヤヨイさんにも見せてはどうかと提案され、こうしてお披露目することになったのだった。


私の話を真剣に聞いていたヤヨイさんは、トッポンチーノをそっと抱きかかえるように持ち直す。


「たしかに、おくるみとは使い方が違うんですね。布団のように柔らかいのに、しっかり形が保たれている……」


「そうなの。赤ちゃんを抱っこするときも、この上に寝かせたままトッポンチーノごと抱くと、すごく安定するのよ。

シンイチロウくんやユリカちゃんみたいに、まだ赤ちゃんに慣れていない子でも抱っこしやすくなるわ。うちは特に、私以外にも乳母や侍女がマナミを抱くことが多いので、この布団があると、私とマナミの匂いに包まれて安心できるみたいなの」


「なるほど……」


「それに、ベッドに寝かせるときも“背中スイッチ”が入りにくくて──」


「……背中、スイッチ?」


ヤヨイさんが不思議そうに首をかしげた。


しまった。また専門用語っぽく言ってしまった。


「えっと……赤ちゃんって、抱っこではぐっすり寝てるのに、ベッドに降ろした瞬間に起きちゃうこと、ありません?」


「ああっ、ありますあります!」


「それが、背中が布団に触れた刺激で目を覚ましてしまう、“背中スイッチ”よ。でもトッポンチーノに寝かせておけば、赤ちゃんにとっては常に“同じ布の感触”なので、安心して眠りやすいのよ」


「……すごい。私も、もっと早く知っておきたかったです……」


ヤヨイさんがしみじみと呟いた。


(うんうん、そうなのよ! 幸子も、まったく同じことを思いました!!)


心の中で、私は大きくうなずく。


そう、このトッポンチーノ。私が自分の子を育てていたころには、まだ知らなかった。


でも、娘が孫のコウタを妊娠したとき──


「お母さん! この“トッポンチーノ”ってやつ、すごくいいらしいの! 作れるよね? 作って!」


そう言って、作り方の載ったWebページをタブレットで見せてきた。


言われるがままに作ってみたけれど、完成したものを見て最初は、


「本当にこんな座布団みたいなので赤ちゃんが安心するの?」


と半信半疑だった。


でも、それが見事に効果を発揮!


寝かしつけのときに背中スイッチの発動を防げるし、何より、ママっ子だったコウタが私の抱っこではギャン泣きしていたのに、トッポンチーノを使えば、私の腕の中でも落ち着いてくれたのだ。


──素晴らしい! トッポンチーノ

──ありがとう! トッポンチーノ!


思わず、心の中で賛辞を叫んだ。


「次に自分が産むときには、絶対使いたい!」とまで思ったけれど、当時すでに40代に突入していた私には、その予定はもうなかった。


なのに! まさか、我が子のために作れるなんて……!



「こっちのこれは……何ですか?」



ヤヨイさんの声で、私は現実に呼び戻された。


彼女が手に取ったのは、淡い色のカバーに包まれた、ふかふかの授乳クッションだった。



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