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【連載版】幸子48歳、異世界転生したら出産中でした!?~後妻だったので産んだ子も連れ子もまとめて可愛がります  作者: よつ葉あき


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19.幸子、子どもたちの笑顔が見たくて


「むかしむかし、あるところに、ゆりかちゃんがいました。

ゆりかちゃんは、森で大きなカブを見つけました」


ユリカちゃんは、わくわくが隠せない様子で、じっと紙芝居を見つめている。


私は抑揚をつけてセリフを読んだ。


「『わぁ! 大きなカブ!』

ゆりかちゃんはカブをひっぱりました。

『うんとこしょどっこいしょー!』……でも、カブは抜けません」


私がそう言うと、ユリカちゃん「そんなぁ……」と、紙芝居の中のゆりかちゃんになってしまったように呟いた。


「困ったゆりかちゃんは考えました。

『そうだ! ゆりかだけでダメなら、おにいちゃんを呼んでこよう』

そうして、おにいちゃんのしんいちろうくんを呼んできました」


「えっ、ぼく?」


「お兄ちゃん、がんばって!」


相変わらず、ユリカちゃんは“ゆりかちゃん”になりきっている。

私は動作をつけながら、続けた。


「ゆりかちゃんと、しんいちろうくんは言いました。

『うんとこしょ、どっこいしょー!』

──さあ、みんなも一緒に!」


私の促しに合わせ、ふたりが元気よく声を上げる。


「「うんとこしょ、どっこいしょ!!」」


力いっぱい叫ぶユリカちゃんを、私は微笑ましく見つめながら──


「……でも、カブは抜けません」


「ええーー!」


「ゆりかちゃんは考えました。

『そうだ! 今度はママを呼んでこよう!』」


「ママ!? がんばれーー!」


ユリカちゃんが元気な声援を送る。

その期待に応えたい! ……けれど、お話の展開を変えるわけにはいかない。


「……それでも、カブは抜けません」


「なんでーーー!?」



その後も、どんどん登場人物が増えていく。

それに比例するように、「うんとこしょ、どっこいしょー!」の声もどんどん大きくなった。


そんな周りの盛り上がりに、シンイチロウくんの膝の上のマナミも、きょろきょろと目を輝かせる。


──そして。


「お次は、先生を呼んできました!」


「せんせーーっ!」


ユリカちゃんは「先生、おねがいっ!」と期待に満ちた目で先生を見つめる。


先生も照れながら、私のセリフに合わせて「うんとこしょ、どっこいしょー!」と、カブを引っぱる動作をしてくれる。


──しかし、当然ながら。


「それでも、カブは抜けません!」


私ははっきりと言った。


それを聞いたユリカちゃんは、「せんせぇ……っ」と、頼むよぉと訴えるような目で先生を見上げる。

先生は思わず「ごめんねぇぇ」と謝った。……うん、先生は悪くない。


──さあ、次でラストだ。


「とうとう、その次に呼んだのは……まなみちゃん!」


「……マナミだっ!」


みんなの視線がマナミに集中する。

当の本人は意味がわからずキョトンとしていたが、みんなに見られて嬉しくなったのか、ニコニコと笑った。


(──っ! かわいいなぁ、もうっ!)


悶絶するのは、どうにか心の中だけに抑えて、私は紙芝居に意識を戻す。


今までよりも大きな声で言った。


「みんなで力を合わせて、思いっきりカブを引っぱります!」


「「『うんとこしょー、どっこいしょっ!!』」」


子どもたちと先生。

みんなで声を合わせ、体を揺らしながらカブを引っぱる動作をする。


そして、私はページをめくった──。



「すっぽーーんっ!


とうとう、カブが抜けましたぁ!」



「やったーっ!」


ユリカちゃんが嬉しそうに拍手する。

それにつられて、先生も。


マナミはまだ自分で拍手できないが、シンイチロウくんが彼女の小さな手を握って、ぱちぱちと動かしてあげると、マナミは楽しそうに声を上げた。


私は、そんな幸せな光景に目を細めながら、最後のページをめくる。


──そこには、カブを抜いた後のみんなが描かれていた。


ここにいる人たちはもちろん、私にとって大切な人たちが、幸せそうにカブのスープを飲んでいる。



「──おしまいっ!」



また、温かい拍手が広がった。




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