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【連載版】幸子48歳、異世界転生したら出産中でした!?~後妻だったので産んだ子も連れ子もまとめて可愛がります  作者: よつ葉あき


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15.幸子、幸せを噛み締める


「あ……」


突然立ち上がって拍手してしまった私に、部屋の中の視線が集まった。


私は、ちょっとだけ顔を赤らめながら、それでも胸を張って言った。


「すごいよ、シンイチロウくん! 本当にすごい!」


シンイチロウくんは一瞬きょとんとした後──

ふわっと、小さく、それでいて確かな笑顔を見せた。


(よかった……!)


私は心の底から、ほっとした。


そんな私たちを見て、先生──あの柔らかな雰囲気の男性も、静かに微笑んだ。


「──素晴らしいですね。彼は確かに文字を読むのが得意ではないようですが……

記憶力、そして耳からの情報処理能力が非常に高い」


先生はやさしく言葉を選びながら、シンイチロウくんに語りかける。


「本当にすごいね、シンイチロウくん。おじさんには、こんな長い文章、覚えられないよ。

このお話、1回聞いただけなんだよね?」


シンイチロウくんは「それは……」と呟くと、視線を泳がせた。

そんな様子を心配しながら見ていると、パチッと目が合った。


ハッとした表情を見せたあと、唇をぎゅっと結び、何かを決意したかのように先生へ視線を戻し、口を開いた。


「それは──お母さんが見せてくれた紙芝居がとても面白かったからです。

お母さんが一生懸命、描いて、読んでくれた紙芝居がとっても嬉しかったんですっ!」



──っ!



思わず泣きそうになった。


紙芝居……面白かったって言ってくれた。

私がやったことを……嬉しかったって言ってくれた。


そして──私のことを……「お母さん」って呼んでくれた……っ!


「えっ! ど、どうしたの?」


シンイチロウくんが驚いた顔でこちらへ駆け寄ってきた。


「へ?」


……何のこと? と思っていると、横からハンカチが差し出された。


「ミレイ様、涙も鼻水も出ています」


……あら、いやだ。

泣きそうどころか、思いっきり泣いてた。


ヤヨイさんが渡してくれたハンカチで、顔を拭う。


ハンカチから顔をあげると、目の前にはシンイチロウくんが立っていた。不安げに私を見つめている。


「……ごめんなさい。ぼくに『お母さん』って呼ばれるの、嫌……でした?」


私は勢いよく首を横に振った。


「そんなわけないじゃない! むしろその逆よ!


お母さんって呼んでくれて、すっっっごく嬉しい!」


そう言って私は、シンイチロウくんを思いきり抱きしめた。


最初は驚いた様子だったが、頬を染め、本当に嬉しそうな笑顔でそっと私を抱きしめ返してくれた。


その温もりが嬉しくて、私はますますシンイチロウくんをぎゅっと抱きしめた。


──と。



「あーーーー! ずるいっ! お兄ちゃんたち何してるの?」


いつの間にか現れたユリカちゃんが、私たちに近づいてきた。

その頬は、まるでハムスターのようにぷくっと膨らんでいる。


……かわいいが過ぎるっ!


私は悶絶しそうになりながら答える。


「えへへ。お兄ちゃん──シンイチロウくんがね。

私のことを『お母さん』って呼んでくれたから嬉しくて、ぎゅーってしてるの」


私の言葉に、ガーン! という効果音が聞こえそうな顔をするユリカちゃん。


「それ……っ! 本当なの? お兄ちゃん!」


「う、うん……」


私に抱きしめられながらも、少し照れくさそうに答えるシンイチロウくん。

それを聞いたユリカちゃんは、うつむいたかと思うと、すぐに顔を上げ、キッと──だけど全然怖くない顔でシンイチロウくんを睨んだ。


「ずるいよ、お兄ちゃんっ!

ミレイさんは、ユリカたちを産んでくれたお母さんじゃないから、『お母さん』って言っちゃダメって言ってたのに……っ」


……え。そんなことがあったの? と、心配して二人を見守っていると、ユリカちゃんの言葉は続いた。


「お兄ちゃんが、『お母さん』って呼ぶなら、ユリカは……っ


『ママ』って呼んじゃうかねっ!!」



──幸せすぎて、ぶっ倒れるかと思った。



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