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【連載版】幸子48歳、異世界転生したら出産中でした!?~後妻だったので産んだ子も連れ子もまとめて可愛がります  作者: よつ葉あき


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14.幸子、シンイチロウを先生に診てもらう


ヤヨイさんに相談をしてから、さらに数日たったある日──


私は少し緊張しながら、椅子に座っていた。


私の横にはヤヨイさん。

その前には、ヤヨイさんが紹介してくれた眼鏡の男性が座っていた。


ふと、私の視線に気がついたヤヨイさんは、安心させるように微笑み、私のいつの間にか固く握っていた手を、やさしく包み込んでくれた。


男性が口を開く。


「ミレイ様、大丈夫ですよ。

シンイチロウくんにとって、どんな工夫をすれば彼の才能を伸ばせるのか──


それをこれから、私たちと一緒に考えていきましょう」


ヤヨイさんのような、人を安心させる優しい笑顔で、そう言ってくれた男性。


以前、ディスレクシアと思われる患者を診たことがあり、大学教授も務めた経験のある、権威ある先生らしいが、見た目からはそんなすごい人には見えなかった。


大学教授や医者というより、もっとやわらかく……

保育園の園長先生と紹介されても納得してしまうような、そんなやさしい雰囲気の先生だった。


「──奥様、シンイチロウ様をお連れしました」


侍女の声に、「ありがとう」と微笑みながら応えた。


(よし……大丈夫、大丈夫。焦らず、焦らず)


自分に言い聞かせながら、扉に目を向けると、そこには──


おずおずと立つ、シンイチロウくんの姿があった。


(……きっと、すごく緊張してるんだろうな)


そう思うと、私はできる限りやわらかい声で、彼を招き入れた。


「おはよう、シンイチロウくん。今日は来てくれて嬉しいわ」


「……おはようございます」


ぺこりと小さく頭を下げる。


ちゃんと礼儀正しい子だ。


(偉いね、シンイチロウくん)


心の中でそっと拍手しながら、私は彼に椅子をすすめた。


「今日はね、ちょっとだけ、お話をするだけなの」


「……お話?」


「うん。この前の紙芝居の続きみたいなものよ。遊びながら、ね」


シンイチロウくんは、きょとんとした顔をしたものの、少しだけ緊張がほぐれたようだった。


私は、ふり返って先生を見る。


先生は頷き、何枚かの──それこそ紙芝居のような大きな紙を出した。


そして、シンイチロウくんの前に立つと、先ほど私を安心させてくれたのと同じ、やさしい笑顔で話しかけた。


「はじめまして、シンイチロウくん。おじさんは、君のお母さんのお友達なんだ。

今日はね、おじさんが作ったゲームを、子どもに遊んでみてほしくて、お母さんにお願いして君に会いに来たんだ。

一緒に遊んでくれるかな?」


「……ゲーム? はい、わかりました」


不安げだった青い瞳が『ゲーム』と聞いて、少し輝いたのがわかった。

見守っていると、先生が紙をシンイチロウくんに見せた。


まず、一枚目。


そこには、大きめの文字で短い文章が書かれていた。


それを見るなり、シンイチロウくんの表情が少しだけ険しくなったのが分かった。


先生が少し目を細め、その紙は無言でしまった。


そして、二枚目。


そこには、大きな文字で『ゆりか』と書かれていた。


今度は険しい表情にはならず、何かに気づいたような顔をした。



「これは、読んでみてくれる?」


「『ゆりか』……ぼくの妹の名前が書いてあります」


「そうだよ、ありがとう。じゃあ、次はこれ」


先生が次の紙を出した。それを見て、シンイチロウくんの顔がぱっと明るくなった。


「あっ! ゆりか姫としんいちろう……っ!」


それは、私が描いた紙芝居の最後の一枚。

ゆりか姫と騎士・しんいちろうが仲良く並んでる絵だった。


「うん、そうだよ。これは、お母さんが描いた紙芝居だ。──このお話、最後のシーンの内容は覚えてるかな?」


「──たしか……『そして、ゲーリュオーンと魔女が倒され、ゆりか姫は目を覚ましました。騎士・しんいちろうにより、王国は平和を取り戻したのでした──。』だと思います。」



私が紙芝居を見せてから、もう一週間くらい経ってる。作者の私でさえ、なんとなくしか覚えてないのに、たぶん完璧……


「うん。一字一句、合っているね」


紙芝居の裏の文字を見ていた先生が、まるで私が思っていたことに答えるように呟いた。


……すごいっ! すごすぎるよ、シンイチロウくん!!


私は思わず、椅子から立ち上がり拍手をした。



「……あ」



当然、みんなの視線が私に集中した。


……やっちゃった。でも、だって、嬉しかったんだもん!



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