昨日の悪魔は今日も悪魔
「でもボクが街に入れないんだとしたら教会にも行けないんですけど、サポートってできるんですか?」
「大丈夫です。街の外にも私たちの施設がありますから当分の生活はそこでできると思いますよ。ついて来てください」
シスターさんはそう言うと門の壁に沿って歩きだす。てくてくと静かな夜に足音だけが響く光景が少しの間続く。そして歩いていくと
階段のようなものを発見した。
それは街の下層に位置するように続いていて、もの凄く大きい。そしてその壁や床など節々から時の流れを感じるような跡があって、よく言えば歴史を感じる遺跡、悪く言えば少しボロい廃墟って感じだ。
「ここは?」
「私たちが活用してる遺跡です。元々この街での主な仕事は遺跡を管理することなんです。まぁこの見た目じゃ説得力ありませんけど、でもこんなにボロボロでもちゃんと管理しているんですよ。外見には手が回らなくても中は十分綺麗ですから。…それに外装はこの方が色々と都合がいいですし」
シスターさんに案内されながら階段を降りていく、階段を一歩一歩降りていくごとに小さな衝撃が可視化されるように波紋が広がる。それは気づかなくてもおかしくないぐらいのささやかな現象。
それでも普通だとありえない光景にワクワクして心躍らせながらしっかりとした足取りで階段を降りていく。
「今、帰りました。門を開けてくださいますか?」
シスターさんが階段を降り切った先の門に向かってそう話しかけると紋章のような物が浮かび上がって音を立てながら開いていく。人の5倍ほど大きいその門が自動的に動く様子は圧巻だ。
でも何でこんなのにでかいんだろう。巨人属とかっていたっけ、もっとどんな種属がいるのかを把握しておけばよかった。
大きな門の下を通り遺跡の中に入る。中は地下ということもあって少し薄暗い。しかし暗い部屋でも全てが白色だということがわかるぐらい壁も床も真っ白な広い部屋。そしてそこら中から青い光を放つ亀裂が走っておりそれだけがぼんやりと辺りを照らしている。
「うわー幻想的で凄い綺麗だ。でもあんまり生活はしづらそうだね。ちょっと薄暗いし」
「レン君、あまり贅沢は言わない方がいいんじゃ。一応あなたは街に入れないですし状況的に指名手配みたいなものですよ」
「大丈夫です。今、明かりをつけますから」
そう言って壁に触れる。すると亀裂から強い光が漏れ出して全体に広がっていく、そして最終的に壁にそれぞれついている照明器具に集まって青い炎を灯した。
部屋はその青い光で包まれて真っ白な部屋が青に染まる。暗くて気づかなかったが遠くには椅子や机などの休憩できるような生活感がある家具もあった。
そして辺りを見回すとこの広い部屋はたくさんの通路が繋がっていることが分かる。ここはおそらく大広間だろう、奥には複数の廊下が見えるし、横にも廊下があるのでかなり広範囲に施設があるんだろう。ていうか廊下についてるドアもやっぱり白い。
「やっぱ、この部屋真っ白じゃん。今は真っ青だけど」
「この遺跡は特殊な材質で作られていて魔力を通せば何かしらの効果が発動するんです。なのでこの場所で魔法を使ったりしてしまうと誤作動を起こす可能性があるので気をつけてください」
「分かりました」
ボクが多分1番、魔力を頻繁に使うから気をつけないと。戦闘を終わらせてこの場所に帰ったら魔法のバフとか魔力を流したままで、部屋入った瞬間に何か発動するってこともあり得そうだからね。
それにしてもこの椅子なんなんだろう。それはソファーのような形をしていて、上の教会とは違いずらっと並んでいるというよりは何人かで机を囲めるようにいくつか纏って置かれている。
そして材質が床や壁と同じで水晶のような見た目だが近づいて触るとふわふわしてて座り心地が良さそうだ。外見とのギャップすごいけど
気になったソファーの座り心地を確認した後、元の場所に戻ろうと手を離す。
「シスター様、やっぱりお一人で上の教会に行ったのですね」
後ろから急に声が聞こえてきてバッと振り返る。そこにはさっきまでボクが触って座り心地を確かめていたソファーに黒い肌と長い尻尾が特徴的の人が座っていた。
何で!今さっきまでボクはずっとソファーを見てたけどいなかったよ。いつの間に、いやっ、いつから座ってたんだ?ていうかこの人暗い部屋でずっと誰か入ってくるのを待ってたの?
「すみません。桃さんの言葉を無視するような形になってしまって」
「いいんです。貴方が誰よりも強いのは知っています。それでも俺は貴方を守りたいし、恩人として役に立ちたい」
ボクはその人に意識を集中して見る。プレイヤーは普通にしてるとお互いの名前は見えないが。その人の名前を見たいと思うとでてくる。これはプレイヤー限定で、NPCだと名前を教えてもらえないと出てこなかった。えーっとプレイヤー名は黒桃かな。
「へー、久しぶりだね。悪魔ちゃん、この前とキャラ違くない?」
まーたこの人は。色んな人に突っかかって行こうとしちゃうんだから。
「ワンコさんですね。あなたにもダンジョンではお世話になりましたよ。」
「ふふっ、そうだね。何なら今続きを初めても…」
ピシッと割れる音がして座っているソファーにヒビが入る。空気は互いに極寒の寒空の下みたいに冷たく周りに青い火を照らしているのに暖かいとは到底思えない。
「やめとく、俺はあそこのダンジョンのボスとしての恩恵は確かにありがたかったんだけどそこまで固執してたわけじゃないし、どっちかっていうと感謝しているんですよ。貴方のおかげでシスターさんに助けて貰いましたから」
「ほっ、とりあえず一ちゃんと戦闘になることはないみたい」
「そういえば、くろももさんは」
「俺はこくとうって名前だ!」
「桃さん、その辺で。それとあまり声を荒げないようにしてください」
あれ、でもやっぱりシスターさんは桃さんって呼んでたし何でボク達は桃って呼ぶのはダメなんだろう。黒桃って呼んで欲しいみたいだけど長いしな。
「一さんは贖罪最中、ヨウさんもまだ新人ですけど私たちの立派な一員です」
「そして今回あなたに頼みたいことはここにいるレンさんをダンジョンの最下層まで案内して欲しいのです。その時はレンさんはもちろん、一さんやヨウさんと一緒に協力して進んでください」
「また、あそこに行くんですか。別にいいんですけどね、こんな俺を救ってくれた恩はしっかりと返します」
こうして被害者と加害者を含んだ不思議なパーティは結成された。
この作品を読んでくれてありがとうございます。面白ければ評価とブックマーク登録をよろしくお願いします。
ただ私が嬉しくなってやる気が上がります(>_<)




