表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王とプリンセス  作者: 藤ともみ
32/54

5-2 剣に導かれて


「まさか・・・・・・これが、伝説の聖剣・・・?」

 魅惑的な剣の輝きに、アレクは脚が震えた。

『さあ、勇気があるのならば、我を手に取るがよい。』

 いつの間にか、アレクを捉えていた闇の塊は消えていた。

ついに、ついに聖剣が自分の目の前に現れたのだ!なんて神々しい美しさだろう。自分がやってきたことは間違いじゃなかった。自分は神に選ばれたのだ。

これで、あの恐ろしい白の魔王を倒すことができる!サラを救い出すことができる・・・!

アレクは大きな剣を、両手でしっかりと掴んだ。


 その瞬間アレクは激しい目眩を覚えた。立っていられないほどの激しい頭痛に襲われる。

 ――なんだこれは・・・・・・!?

 先ほどの神々しい雰囲気からは一変し、剣からは邪悪な瘴気が一気に放出された。悪霊たちの叫び声や嘲笑い声、呪いの言葉がアレクを襲う。

アレクは膝を地面についた。しかし、アレクは剣から手を離さなかった。

 ・・・いや、離せなかった。

 いつの間にかアレクの両手は、先ほど彼の体を捉えていた黒い闇によって拘束され、剣にしっかりと固定されていた。どんなにもがいても、アレクの手から剣は離れない。

 透明な水晶のようだったはずの剣の刃は、いつの間にか真っ黒に変わっていた。

 そうして、信じられないことに、その黒水晶のような刃の中に、アレクの体はどんどん吸い込まれていった・・・

「やっ・・・やめろおおおおお!ぐあああああああ!」

 アレクの断末魔もむなしく、彼はどんどん真っ黒な剣に吸い込まれて、そして・・・消えてしまった。


 アレクを呑み込んだ魔剣は、元の透明な剣に戻り、辺りには静寂が訪れた。先程の嵐が嘘のように、穏やかな青空が広がっている。

 剣に、一人の少年が近づいてきた。手に林檎を一つ持った、赤い髪の少年である。彼は金色の瞳で、青年を呑み込んだ魔剣を見つめながら、その場にしゃがみこんで林檎をムシャムシャとかじり始めた。

「さーてと、コイツは生きて出られるかねえ・・・」

 少年は虫でも観察しているかのように、そうつぶやいた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ