表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王とプリンセス  作者: 藤ともみ
27/54

4-3 ダーリング家へ 

「・・・また、助けられちゃいましたね。」

「お気になさらず、と言いたいところですけど、本当に気をつけていただかないといけませんよ、サラさん。今回は銃を買っていたお友達がいらして良かった。」

「はい・・・ごめんなさい。でも、それだけじゃなくて、アレクさんが貸してくださったペンダントのおかげで、助かりました。ありがとうございます。」

 その言葉に、アレクサンダーは嬉しそうに微笑んだ。

「・・・お役に立てたのなら、何よりです。」

それに、サラも嬉しそうに笑うが、すぐにため息をつく。

「はあぁ・・・また兄さんに怒られそう・・・それにしても、なんでアレクさんのことを兄さんはわかってくれないのかなあ・・・」

「ルーク様は、やはり銃を売る僕を認めてはくださらないのですね。」

 アレクがフェトラにやってきて、街の人々を救うようになってひと月以上になっても、サラの兄、ルークはアレクの銃商売を快く思えないらしい。

 先日、サラは学校帰りにアレクと会ったところをたまたまルークに見られて、淡々と叱られた。

 それ以来、アレクは街の見回りという名目だけでしか、なかなかサラに会うこともできなくなっていたのである・・・といっても、サラの学校が終わる頃を見計らって、学校の周りを歩いているのだから、アレクも結構図太い。

「・・・本当はこんな形ではお会いしたくないのですが・・・でも、あなたに会えることは、僕は嬉しいです。」

 そう言って、サラの方を見るが・・・

「ううう兄さん怒るだろうなあ・・・」

 サラは頭を抱えていた。自分の照れくさいセリフは全く聞こえていなかったらしい。それにしても、サラが魔王たちよりも実の兄の方を恐れているように見えるのは気のせいだろうか・・・・・

 街を抜けて、街灯もない道を歩いていくと、ルーク・ダーリング氏がランタンを持って向こうから走ってきた。

「サラ!・・・お前!どうしてまた森に入ったりして・・・」

「うわああぁごめんなさい兄さん!」

 大慌てで頭を下げるサラ。

「サラさんたちは魔物に操られて、この森に迷い込んでしまったようなんです。怒らないであげてください。」

 なだめるアレクサンダーを、ルークは見下ろす。

「はぁ・・・また君に助けられたのか、ベルクール殿・・・。」

「はい、ご友人といるところに居合わせました。」

「・・・本音を言うと、あまりサラとは関わって欲しくないんだがな。」

「ちょっと兄さん、失礼でしょ!」

 冷たいルークの声にアレクは固くなる。

しかし・・・・・

「・・・ベルクール殿、よかったら今から家にあがっていきなさい。」

「え?」

「それって・・・」

「ここまで妹を助けていただいて、お礼をしないわけにはいかないだろう。是非我が家で夕食を食べていってください。」

「兄さん・・・・!」

 サラが嬉しそうに笑った。花が開いたようだとアレクはちらりと思った。

「では我々は仕事がありますからお先に失礼いたします・・・アレク様、どうぞごゆっくり。」

「え?いや、でも・・・」

「たまには楽しんでくださいよ~」

「では、我々はこれでっ!」

 兵たちは心無しかニヤニヤしながら、もときた道を帰っていった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ