訓練場にて
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「…お前は相変わらず安定しねぇな……」
「うぅー。」
一方、煌牙を指導するのは“浅葱”そのなかでも好意的に接してくれる人であった
「ただ、的を狙うだけなんだが…」
「俺は、狙ってる!」
「だったら、何故外す!?」
指導者が指差す先には的から2メートルは外れている攻撃痕が壁に残っている
「わからない!」
「…はぁ。
魔力を込めすぎなんだよ。
まずは、魔力の出力を抑えてだな、そして、標準を的の中心を狙い定める」
「しゅつりょく?って何?」
「……魔法を使う際に10の魔力を込めず6ぐらいに抑えてみろ
そう、その調子だ。そのまま放て」
煌牙の背後に周り身長を合わせるように屈む指導者は右手を肩に添えて的にむけて同じように左手を伸ばす
煌牙は指示されたように魔力を込めて的へ向かって放つ
「で、きた。
当たった!」
「なんだ、落ち着けばできるんじゃないか」
少なからず褒められたことで煌牙は嬉しそうにする
「さ、その調子で練習続けるぞ」
「うん!」
ーーーーー
早々に役目を終えた翔歌は訓練場の端で周りをぼんやりと眺める
「…暇だなぁ」
コントロールや威力の調整など、周りに合わせることは既にできているため戦闘訓練に参加することない翔歌は怪我人が出ない限りはやることがない。
部屋に戻ってもよかったが、2人が気になり残ることにした
それから約一時間
ぐったりとした様子で2人は翔歌の前にきた
「「疲れたぁ…」」
「お疲れ様、煌牙くん、亜希羅ちゃん
お部屋、戻ろうか?」
2人に労いの言葉をかけると後ろからついて来た浅葱部隊の1人が声をかけてくる
「また、明日、大地使いと炎使いは同時刻にココへこい。いいな?」
2人は無言で頷いた
「私は…?」
「部屋で待機だ」
翌日も同様の訓練が行われたが翔歌だけは部屋で待機のため、2人が戻るまで暇な翔歌は窓を開け、ひんやりとした冬の風を受け身震いした。
その中で1つの情報が風に乗って流れてきた。
「ーー。“タスケテ”?」
小さなその声の意味を探ろうと目を瞑り風から情報を得ようとするが、声は聴こえず、風の精霊達も分からないと首を振る
「んー…これ、伝えた方がいいかな?
でも、“タスケテ”だけじゃ……」
「何のこと?」
「きゃあっ!?
び、びっくりたぁ……
亜希羅ちゃん、もう終わったの?」
「うん!僕はもういいんだって」
「“僕は”って事は、煌牙くんまだやってるんだ…」
「みたいだよ?」
命令や大人達を嫌がっていた亜希羅も真剣に向き合う人や柔軟に接してくれる人が多く、態度が軟化してきていた。
煌牙とは離れた場所での訓練らしく、互いの情報がわからないままで1人帰ってきた亜希羅は、部屋に入るとブツブツと独り言を呟く翔歌が気になり声をかけていた
「で、助けてって?」
「なんでもないよ」
そう言って笑うが、再び窓の外へ視線を移した
煌牙が戻ってきたら《未来視》があったかどうか確認しようとその場を流した
その一時間後、煌牙が疲れた様子で戻ってきた
「わぁー…。また、いつにも増して傷だらけだねー」
「…攻撃魔法が自分に向かって跳ね返った」
「「なんで?」」
綺麗にハモった声に2人は顔を見合わせるが、治療が先だと煌牙に向き合う
「と、とりあえず…
治療、しようか?」
「…お願いします……」
「“光よ、傷を癒せ。ヒール”」
治癒魔法も詠唱の省略ができるようになってきた翔歌は呆れながらも傷を治していく
「最近、訓練キビシーよな…」
「僕はいっぱい動けて楽しいけど、制限付きだからなぁ…
翔歌ちゃんは、魔法訓練しないの?」
「私は…、ずっと前からやってるから…」
「ずっと前??」
「そういえば翔歌ちゃん、前に“いつからいるの?”って、質問した時も言ったよね。“ずっとだよ”って」
「…うん、私はずっといるよ」
そう寂しそうに笑う翔歌に2人は首をかしげる




