訓練場にて
それからしばらく経った頃、浅葱部隊が部屋を訪れる
「御用ですか?」
戸を開いた直後に翔歌が聞く
翔歌の前には亜希羅が大人しく座り髪を結われながらも浅葱部隊を睨む
「…話の前に、炎使いをなんとかしろ」
「亜希羅ちゃん?」
自分を捨てた親により大人に対してよく思わない亜希羅は睨み続ける
「…何もしない。話をするだけだ。
お前達、今から着いてこい」
「どこへ?」
「…くればわかる。
あぁ、風使い、お前は治療に専念してもらう」
「…わかりました」
どこへ向かうのか予想がついた翔歌は小さく答えた
「もしかして、あそこかな?」
煌牙も行ったことのある場所を思い浮かべながら首を傾げる
「あれ?3人っていった?」
「ああ。3人だ」
3人が連れて行かれた先は人が溢れかえっていた
「なに、ここ」
怯えるように翔歌と煌牙の後ろに隠れている亜希羅は様子を伺うように覗いている
「訓練場。
たぶん、戦争の下準備かな
話し合いが上手くできなかったら、戦うしかないんだって。
……参加なんてしたくないけど、私達に拒否権はないから…
私、怪我した人の治療してくるね
2人は頑張って」
翔歌はそれだけ言うと怪我人の方へ歩いていく
「頑張るってなにを…?」
「亜希羅ちゃんは、初めてだったよね
いまから、魔法の訓練するんだよ」
「くん、れん?」
「うん。俺達、戦争のコマなんだって
だから、多くの敵を倒すために強くならなきゃダメなんだってさ。特に俺は、コントロールつけろっていわれた」
「コントロール??」
「俺、ランクが上がると制御できなくなるから…
味方傷つけないようにしろって。
だから、俺はいつも結界装置の中」
「へぇ」
煌牙と亜希羅が話していると、それぞれを指導する人が2人を連れて行く
「またね」
煌牙は手を振るが亜希羅は無言で連れて行かれる
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「炎使い、お前には今から魔法の使い方を見せてもらう。
目の前にある的を攻撃しろ
お前の得意な方法でいい」
「…」
両手につけられている制御装置を見下ろし
「これ、外さないと威力でない」
「外す許可は出てない。そのまま使え」
「…。
我の意に従えーー」
胸の前で拳を強く握り下に振り下ろすと刀身から柄まで真っ黒な長剣が現れる
「いくよ、鐵」
小さく呟いてから両手で柄を持ち右下に構え左足を少し前にし体を前かがみにして的を見据える
「炎よ、鎧となり纏え」
剣に炎が渦を巻くように纏うと亜希羅はは口角を上げると踏み込む
ターゲットはすぐに灰となり地面に落ちた
「ほぅ、これはすごい
すぐにでも戦力になるな…
コントロールも威力も申し分ない。
だが、詠唱が適当すぎるな…、その練習をさせた方がいいな」
「…僕は、命令になんか従わない」
亜希羅は睨みつけながらそう言うと剣先を喉元に突きつけるよう腕を伸ばす
「お前らバケモンが意思を持つのは間違いだろ。言うことを素直に聞いてりゃいいんだよ
まぁ、もっとも拒否権なんて最初からねぇんだ
お前らが嫌がろうが関係ねぇな」
「僕は、バケモンなんかじゃない!」
「驚異的な魔力を持ち、四大元素の扱いに長け、特殊な力も持ち合わせている奴なんかバケモン以外になんて言ったらいいんだ?」
「ぼ、僕は……」
化け物としか言いようがないという目の前の人物に亜希羅はなにも言い返すことができず俯いてしまう
「我が国が勝つ為の駒なんだ。
指示に従ってればいいんだよ」
「…先輩、俺が言える立場ではないのですが、まだ子どもなわけですし、もう少し言い方を……」
「子どもだろうが、バケモンに変わりはない。戦力に使えるなら使うだけだ
ただの子どもと見ていたら痛い目にあうぞ?
お前らのようなひよっこにはな」
ひよっこと呼ばれた男性はぐっと言葉を詰まらせる
彼らのチームは浅葱だがその部隊のなかでも低い位置に属している
そのため、何を言われても仕方がないと思い反論ができない。
まして、編成部隊をまとめているリーダー格に意見できる者は少ない。




