炎の剣舞2
その視線の先には、大型の獣の形をした魔物が威嚇するような目で対峙していた
「…子供が何故、こんな奥に?
親はどうしたんだ」
「力を貸しなさい」
浅葱の部隊が突入しようか迷っていると中にいた男女どちらかわからない子どもから予想をしてなかった言葉が聞こえ、全員が固まり動けなくなってしまう
詠唱でさえない言葉だったが、その言葉に応えるように炎が手元の剣に集まっていたからだ
剣が赤い炎に包まれると両手に力を入れ魔物に向かって足を踏み込んだ
数回の攻防で魔物は黒い霧となり飛散し対峙していた子どもは膝をつく
「はぁ、はぁ…」
荒い息をしているがこちらの気配に気がつくき鋭い視線を向ける
「誰?」
「お前は誰だ?お前は何故ここにいる?」
「…僕が聞いてる、あんた達誰?」
魔物に向けていた剣先をこちらに向ける
「…わかった、答えよう。
我々はクラン天空の者だ」
「クラン?なに、それ」
「この場の調査に来た」
「……前に来た人達と同じ?
その人達なら“あいつら”が食べたよ」
「そう、か…」
簡潔に答えを返した子どもをよく見ると孤児院にいる子とあまり変わらないように見えた
未だこちらに対して警戒を見せる子どもに、いつでも対応できるように魔法具に手を当てている
「…キミはどうするつもりだ?」
「わからない。
でも、何かするなら斬る」
「……風使い」
小声で翔歌に声をかける者がいた
「はい」
「あいつを抑えられるか?」
その問いに翔歌は首を振る
「私の魔法じゃ、無理…」
「…仕方あるまい、アレを使うか」
ため息をつくようにそう言うと背負っていた荷物から魔法具取り出し子どもに向かって構えた
「撃つ、んですか?」
「麻酔だ。量は少ないから害はない」
隙をついて撃った麻酔銃は子どもの足に命中し、即効性だったのかその場に倒れた。手元にあった剣見当たらず、子どもだけを保護して来た時と同様に風の情報を頼りに帰路についた。
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“気味の悪い子だ”
“漆黒の髪に深紅の瞳、ここまで深い色は初めて見る”
“炎は危険よ、扱いが難しい…火事になっては困るわ”
“制御装置をつけて様子をみたけど、もう、限界…”
“能力も怖いわ、《物を作り出す》だなんて”
“だが、子を手放すのはこの街では大罪だ”
“ならば、こうしよう
森ではぐれた事にすればいい。
「探したが見つからなかった」と”
“そうしよう”
“では、早速、明日決行しよう”
「ん…」
「あ。気がついた?」
「っ!?」
突然の状況の変化についていけずに距離をとるが手に拘束具が付いていたため反撃ができずに睨みつける
「大丈夫だよ?
ここは、あなたを守る場所
傷は治したし…もう大丈夫だと思うけど…」
「だ、れ…」
「えっと…、私は、翔歌っていうんだ。
ここでは、風使い」
「かぜ、使い…?」
「うん。
で、こっちが…」
「煌牙。大地使い」
「…僕は……亜希羅」
「えっと、あきらちゃん?」
「ん。
ここ、どこ?」
「孤児院だよ。
親がいない子ども達が集まってるの。
そのなかでもこの部屋は特別仕様なんだ。《四大元素使いの為の部屋》だから」
「……それは、僕の炎の魔力が強いから?」
自分の状況がわかったのか少女、亜希羅は疑問を口にする
「うん。そうだね
でも、亜希羅ちゃんだけじゃないよ。私達も同じで魔力が多くて危険視されてるからこの部屋にいるの」
「…そう」
「ねぇ、翔歌ちゃん、報告するんだよね?」
「うん、でももう少しで見回りがくると思うし…」
「あ。うん、その時間だね
じゃあ、このまま?」
「かな?」
その後、亜希羅は拘束具をなんとかして欲しいといったが、翔歌や煌牙にはどうしようもなく見回りにくる施設の職員と藍色の部隊を待つ事にした
しばらくして定刻になると、部屋を3名が訪れた。
一人は施設の職員。もう二人は藍色
「目が覚めたのか、“炎使い”」
「ほの、お 使い…?」
「お前の事だ。炎使い」
「僕が…」
「風使い、大地使い、説明をしろ」
「あ、はい。
目が覚める前に怪我の治療をしました
で、その後は交代で見てました」
「ねぇ、あの手についてるやつって取れるの?」
「これは、浅葱とマスターからの言伝だが…
死にたくないなら外さないこと。
制御ができていたとしても“炎”は危険だ。味方に被害を出せないから、我々が安心できると判断するまで外すことはできない。と」
「そうなんだ」
「もうしばらく様子をみた後、敵意が無く、安心材料があれば外せるか検討するらしいから我慢してくれ」
「だって」
「…そう。」




