大地を駆ける3
「すごいね!」
「…うん、でも、もう未来は見たくないかな」
小さな身体を自分の両腕で抱えるように丸まり震える少年
“大地の魔法は私たちの誇りよ”
“だけど、未来が視えるなんて気味が悪いわ”
“でも、その能力はいい稼ぎになりそうだ”
“さぁ、視なさい 《未来を》
私たちのために、この先を教えなさい”
「人が死ぬ未来を視れば、殴られた。“明るい未来だけを視なさい”って
でも、そんなのは無理」
「私は、未来を視ることができる事がすごいと思うよ
魔力コントロールができれば《未来視》はすごくいい力になるよ」
少女が笑顔で少年にそういうと少年は意外そうに口を開けたまま固まった
「“いい力”って久々に言われた…」
少年もつられて口角を上げて笑みを見せる
「じゃあ改めて
私は、風己翔歌って言うんだ。ここでの呼び名は《風使い》、風と治癒能力の所有者だよ。これからよろしくね!
えっと…」
「…煌牙
俺の名前は、桐生煌牙
魔法は…《地》で《未来視》」
「よろしくね、煌牙くん」
柔らかい笑顔で手を伸ばす翔歌に煌牙は同じく軽く笑みを浮かべてその手を握り返した
「うん、翔歌ちゃん」
ーーーーーーーーーー
それから2年後
「あー……やっぱダメか…」
「だから、いつも言ってるじゃない“無理だよ”って」
「でも、閉じ込められてるみたいでヤダ」
「煌牙くんも“仕事”の時は出てるでしょ?」
「まぁ、そうだけどさ…
自由にいろんなところに行きたいなって」
翔歌に回復魔法をかけてもらいながら煌牙は口を尖らせる
「私たちは一応、まだ“未発達な”魔術師なんだから仕方ないよ
特に煌牙くんはコントロールが不安定だし暴走が起こっても対処しきれないからこの空間は当然だよね」
「…翔歌ちゃんは制御装置なくて大丈夫なの?」
「うん、私は大丈夫だよ。
許可でてるから」
2人が暮らす部屋の周りには結界装置が三重になっていて、
内側が《魔法の威力を抑えるもの》真ん中が《魔法を跳ね返すもの》
外側が《他から隔離するもの》
「…とりあえずさ、毎回毎回、怪我してて何で諦めないかな?」
「…えっと……暇つぶし?」
「怒るよ?」
笑顔を見せる翔歌だが目が笑っていないのをみて煌牙は謝る
「ごめんなさい…」
「この結界は、私たちを隠す為でもあるから
もう少しの辛抱、かな」
「…ねぇ、翔歌ちゃん」
「なに?」
「夢の話、聞いてくれる?」
「ゆめ?」
「うん、夢。…多分、未来視なんだけど」
「どんな夢?」
「真っ暗な中を一人で歩いてるんだ。
少ししたら火がボッ!っていきなりついて…
すごく怖い視線みたいなのがいっぱい感じた」
鮮明にその映像が思い出され狐狼は体を抱える
「んー、“火”かぁ
攻撃タイプの魔法使いがなにかするのかな?それとも、ランクの高い火属性の魔物がいるとか?」
「俺も、わかんない…」
「じゃあ、情報として“藍色部隊”に伝えようか」
すっと立ち上がった翔歌は窓辺に移動してポケットから白い紙を取り出す。
祈るように紙を包み込むと言葉を呟き、手を広げ、それにフッと息を吹きかけると小さな鳥の形となり外へ飛んで行った。
その様子を煌牙はあんぐりと口を開けてみている
「な、何、今の!
魔法は、ダメなんじゃないの!?」
「今のは魔術具を使った連絡方法だよ。“藍色部隊”の人に教えてもらったの。
何か伝えたいことがあれば“式”を飛ばせって
魔力は使うけど、攻撃とはみなさないからセーフかな?」
たぶん、と小さく付け加えた。
次は、3人目!




