大地を駆ける2
少年を連れて行くか否か話していると少年の背後から女性と男性が慌てた様子で走ってきた
「何をしているの!?」
「“厄日を視た”のはお前だろう、早く家に戻りなさい!」
「や、やだ」
「あなた達は…」
「皆様方には関係ないことです。」
「…お子さんは私たちに保護を求めました。理由を知る権利はあります」
夫婦は少年を後ろに隠した
リーダーと夫婦が話している間に少年が小さな声で何かを呟いているのは誰も気づかなかった
「“大地に眠りし力よ、我が手に集え。
我の意思に従いこの地を揺らし砕け”
アースブレイク!」
詠唱が終わると同時に少年と夫婦を隔てるように地面が割れた
「俺は、もう、こんなとこにいたくない!」
制御装置をつけていながらここまでランクの高い(Cランク)“地の魔法”を扱っていることに驚きながらも「この少年が四大元素の一つ《大地使い》だ」と瞬時に悟る
素早く動き少年を部隊の中に引き入れ、夫婦から引き離すと少年を取り戻そうと夫婦が声を荒げる
「私たちの子供よ!どうしようと私たちの勝手じゃない!
“未来を視て、大地を自在に扱える”なんていい商売道具なのよ!」
「あんたらだって同じはずだ、力のある魔法使いは“いい道具”だろ?
それは、私たちのモノだ返してくれないか」
「…そういう事なら、わかりました」
その言葉で少年は目を見張り夫婦には一瞬笑顔が戻るがすぐに再び怒りの表情になる
「あなた方のような家庭にいたらいい教育はできないでしょう。
私たちの元で丁重にお預かりいたしましょう。保護いたします」
笑顔で対応するリーダーに掴みかかろうとするがそれは叶わず空を切った
「ああ、そうだ。彼を取り戻しに来るなら森の魔物にご注意を」
村の門で一礼をしてからその場を去った。
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少女の元に風から情報が届く
「…そっか、この事だったんだね。
“もうすぐ会えるよ”って」
それから約一日半、少女の元に“藍色”の職員が訪れる
「少年を一人保護したそうだ。
もうすぐでこちらに運んでくるそうだから後を頼むぞ」
「はい」
少女の元に新しい風が吹く
午後に3人の男性が部屋を訪れ、内2人の間には少女と同い年ぐらいの少年が連れられていた。
“浅葱”のローブを羽織った2人と“橙”のローブを付けている男性は“保護”を専門とする部隊で孤児院の職員だ。
「こいつの怪我を治してしばらく面倒を頼む」
右側に立つ男性がそういい、少年を室内に入れ座らせる
そして、もう一人が嫌味のようにこう言い放つ
「仲良くしろよ?“バケモノ”同士な」
「おい!」
「すみませーん」
悪びれる様子もなく少女達を鼻で笑うようにして立ち去った
「情報通りだった。
一応は、保護という形で連れてきた。
体力の消耗も激しいが、魔力も多いから回復は早いだろう。風使い、お前なら大丈夫だろうが注意はしろ」
「はい」
“バケモノ同士”と言った男性の言葉で少女には察しがつく“あぁ、この子も私と一緒なんだ”と
少女達をバケモノと呼ぶのはクランや施設の中でもいる。
理由は、扱いの難しいとされる四大元素の一つを幼い時から自在に操ることができることと“特殊能力”を持っているため
少女はゆっくりと少年に歩み寄り顔を覗くが少年は警戒し後退る
「怪我、大丈夫?」
「…」
「じっとしててね?
我を守護し光よ、彼の傷を癒したまえ」
少女が唱えると掌に淡い光が灯り少年の身体にそれを向ける
攻撃をされると思った少年は身構えるが痛みは一向に襲ってこない
少年が恐る恐る目を開けると目の前には微笑む少女、そして「終わったよ」の言葉
「おわっ、た…?」
首を傾げる少年
「うん。
その首のやつも壊そうか?」
「え?」
少年の後ろに回り込むと少女は“ウィンド・エッジ”と呟き少年の制御装置を切った
「これでよし!」
「…なにしたの?」
「ケガを治したのと機械を壊したよ」
「え?」
「私の魔法、《治癒能力》って言ってね、どんなケガでも治す力なんだって、もう一つは《風》
君は、何の能力を持っているの?」
「俺は……
《大地》だって言われた
あと、少しだけどこれから起きる事事が分かる」
「未来の事?」
少女の言葉に少年は頷く




