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鬼ごっこ ー秋&翔歌sideー2


翔歌が再び洞窟の外に出る頃には約束の時間ギリギリであった


「秋さんっ!」


「戻れたか…

って!背後(うしろ)のはーっ!?」


「あ。この子、協力してくれるって言って…

コレもくれたんです」


にっこりと笑ってポーチから取り出した水晶を見せると秋はさらに驚き言葉が出ないようだった


「なんとゆうか…、それでいいのか?」


「…えっと……

で、でも!明日の夕方までに連れて行けば良かったんですよね??」


「そうだ。

だが、今は夜中だ。森の中を歩くには危険が伴ってくるから、野宿する」


「…野宿?」


「ああ。幸い雨風はこの洞窟が防いでくれるしな。

夜が明けるまでは待機だ」


「分かりました」


「陣さんや鈴に連絡した方がいいな

風使い、式を飛ばしてくるから周りを探っておいてくれるか?」


「はい」


洞窟から出てすぐのところで秋は紙を取り出し言葉を込めてフッと息を吹きかける

蝶の形をもったソレは羽ばたくがすぐに力なくその場に落ちた


「?

おかしい…、何故飛ばない?

陣さん達は無事なのか?」


「あの、秋さん」


「なにかあったか?」


「はい、この辺り、魔力が安定しないみたいなんです

この子はこの場にあっているみたいなので姿を保っていますが…」


「そうか…、

長達が言っていたのはこのことか。

なら、俺が式を飛ばしても無理だろうな

お前がやってみるか?」


秋の問いに翔歌は首をふる


「私も無理です。…たぶん

情報も途切れ途切れで……わからないんです。

でも、陣さん、歩いてるみたい??」


「歩いてる?

陣さんがこの暗い中を?

リスクはとらない人のはず…、

んーー、考えても仕方ない、か

俺たちは明るくなるまではここで待つ」


「はい」


洞窟内で仮眠をとって過ごし、明朝、空が明るくなり道が見やすくなった頃に出発した秋と翔歌は辺りを警戒しながら広間へと向かった

秋と翔歌が広間へ着くと陣や鈴の姿を確認した


「陣さん、無事でよかったです。

風使いが、陣さん達が歩いていると言っていたのですが、夜道を進んでいたのですか?」


「…不可抗力だ。

式の確保後に大地使いが自信満々に分かると言って進んでいくもんだから着いていくしかないだろ?

道に迷わなかったのは奇跡だ」


そう隣で寝息を立ている煌牙を見ながら陣は言った


「鈴まで寝てるんですか?」


「あぁ、俺が到着するまでに力を使って霊符で長や神官を拘束してたからな。

疲れたんだろ」


「…相変わらずですねー…」


「だな

…ところで気になったんだが、ソレは?」


「……長の、白い狼の式神です」


「…はぁ?」


呆気にとられる陣と複雑な表情で告げる秋

長も翔歌に寄り添う自身の式神に驚きを隠せないでいる


「あの、この子、前の長様の式神?なんですか?

前の長様の事はすごく信じているけど、受け継がれた貴方のやり方は気に入らないって……」


翔歌の言葉に対して陣が続ける


「太陽の国は式神とは友好関係のはずだが…」


「この子は、人は好き。

でも、今の(あるじ)は好きじゃないって…

前の主のお願いだから、側にいてお願いを聞いてるって言ってます」


式神の言葉を代弁して伝える翔歌


「裏切るのか、シロツキ。お前は代々太陽の国の長に仕える式神の筈だ」


くぅんと鳴くだけの白狼に長は厳しい口調で告げる


「…えっと…、れきだいのものとちがい信頼できない?」


れきだいって?と聞く翔歌に秋が答える


「歴代っていうのは、今までその役職に就いていた人達の事だ。

今、風使いが言ったことを簡単にするなら、“今まで従ってきた長達は信頼できる人達だったが、今の長は考えとかが信頼にあたらない”って事だろう」


秋の言葉を肯定するかのように白狼が一声鳴く

「その前に、何故、お前は式の言葉がわかるんだ?」


「え?」


「普通は、契約した者にしかわからないはずなんだが…」


「そうなんですか?」


「…まぁいい。風使いだしな。

この式神の言葉をそのまま伝えてくれ、意味は分からなくてもいい」


「はい」


「『我は、汝の呼び出しには応える事はこの先ない。信頼できる者が現れる迄は深い眠りにつこう』」


それだけいい終えると白狼はすうっと消えた


「あれ、えっと…」


「わぁー、太陽の国の長が式神に見放された」


いつの間にか起きていた鈴がケラケラと笑う様に言った


「…まぁ、式神が契約者を見限る事はあるが…

代償、覚悟しておいた方がいいだろうな」


未だ、「何故だ」と同じ言葉を繰り返し呟き続ける長に神官も掛ける言葉が見つからないようだった

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