「枷の鍵」
「――魔弾の砲手」
「!」
『!!』
出来る限り丁寧に唱え、背後に多数の弾丸を展開、間を置かず放つ。
こちらに飛来した弾丸は残らず相殺され、残った弾が二人を襲った。
竦んで動けない男子を女子が引っ張って回避、共に大きく距離をとる。
予想的中だ。
離れたとはいえ、奴らは弾丸飛び交う主戦場へ飛び込んだ。
こちらへ意識を向ける余力を失くすように、ダメ押しの魔弾の砲手を――
「ッッッッッ?!??」
「きゃっ!?」
――瞬間的に目玉が裏返るような、圧のある痛み。
堪らずナタリーを降ろし、顔だけは下げずにその場にへたり込み頭を押さえた。
「っ……痛むんですね、呪いが」
「ああ」
「私はマークを潰しました。とっとと貴方のも壊してしまいましょう」
「ああ――」
「よう。無事かお前さんら」
ナタリーが素早く横を向く。遅れて俺も見る。
視界外から近付いてきていたか、気付かなかった。
やはり注意力が散漫になっているようだ――
「――トルト、シャノリア」
「もう大丈夫だから安心して、ケイ。ザードチップ先生が守ってくださるから」
「いや守りゃしねーですよ」
「守ってくださいますよね!?」
「ああっ、わ、分かったから怒りなさんなそんなに……」
「というわけで守ってくれるから。辛いでしょう、すぐにそれ壊してあげる。いいわね、コーミレイさん」
「え、ええ」
「じゃあ――」
「あ。ちょっと待ってくれるかい、先生」
「――え?」
肩越しに振り向き、険のある声でシャノリア。
トルトは「ちょっとだけだから、たぶん」などと曖昧なことを言いながら俺の前で屈み、どこか不安げな不服そうな、そんな顔を俺に向けた。
「………………」
「……なんだよ」
「あ? あー、なんだ、そのよ。……『痛みの呪い』なんだよな。今の状態は」
「それ以外考えられん。糞っ……」
「…………イラつくな」
「……?」
「闘争心を消せ。体に力を入れすぎるな。相手からの、自分の攻撃を、ただの計算式とでも思い込め。淡々と処理しろ。それで、お前さんならやれるはずだ」
「――――」
「ざ、ザードチップ先生何を言って――」
「……そう、心静かなら、呪いはさして騒がねえ」
――前日に暗記した何かを、思い出すような口振りで、トルトは言った。
魔弾の砲手の爆音が、やけに遠くに聞こえる。
トルトは頭痛でもしたかのように目を細め、俺から離れた。
「また来てんぞ。あいつら」
「……! トルト、それは」
「…………やってみるか?」




